想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

老犬のしあわせ2

2011-07-03 08:30:00 | 親分
ベイビーは日に日に老いていくのがわかる。しかし老いの進行を麻酔
のせいだとは思わない。いや、思いたいくらいあれから老化している
けれども、治療のための処置として行ったことを忘れてはいない。
高齢者が入院し、治って退院しても急に老け込んでしまうというのに
とてもよく似ている状況である。

治療のためにと、諸々のことをその時々によく考えてきた。
考えが足りないことも知らないことも多々あり、後に知ったりすると
わたしは自分を責めるタチである。悔いれば立ち直れない。
悔いがあれば今生きていることを、現実を、否定することになる。
そういう自分を思い知っているので、目の前の今を受け入れる。


(4歳の頃だぜぃ、かっけー、ヒーハー、親ばかちゃんりん)

ベイビーは退院後、週に一度は病院へ行き鍼を打ってもらっている。
気持ちよさそうにしている。その日は帰ってからも調子がいい。
だけど翌日翌々日はまた腰がひけたようなたよりない歩行へ戻る。
カメに相談すると、鍼で治すというより進行を遅くするということ
なのだと言われた、まさにその通りだ。やってて今の状態なのだから。
アスファルトの上での散歩はもう危なくて無理である。
森の土の上なら自分のペースで歩けるだろう。
すっかりじいちゃんになった。

じいちゃんのベイビーのからだの触りごこちはやわらかい。若い時は
全身が弾き返す固い筋肉だった。マッチョだった。
今それがふにゃっとして、細い脚。
シオシオのぷ~ちゃんと呼んでいる。
膝枕して寝ている耳元へ、しおしお、しおしお、しおしおのぷ~、と
ささやく。ベイビーはシッポの先をかすかにかすかに震わせて応える。
(キャベツに塩を振ってよく揉む、キュウリに塩を振ってよく揉む、
縮んでシオシオになるでしょ、あの感じ。食べやすいのであるね)

老いを先に体験しているベイビーに、今、わたしは老いを教わっている。
わたしが本格的なバアさんになったらどう過ごしたいかを思えば、彼が
どうありたいかもおのずとわかってくる気がする。
コメント
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