想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

眼を瞑ると…

2014-10-12 01:00:00 | Weblog

シリア渡航計画を立て公安警察から事情聴取を受けた
学生の言い分に、さもありなんとも思いつつ残念すぎて
悲しい。
戦場で死ぬことについてどう思うか? との質問に
「どうせ1、2年のうちに自殺するかと思っているので
どこで死のうと同じことじゃないかと思った」と答えて
いる部分である。

甘ちゃんだともバカモノだとも言えない。
おそらく、思いつきではなくて本音であろうかと思う。
かわいそうなことだと思う。
発覚して止めてもらって、よかったね、と思うのである。

彼のそばに「生きよ」とひっぱってくれる神さまの
お使いがいて、ひらひらしているらしい。
ひらひらの波が彼の中の暗がりまで届くには、他に何が
あればいいのか。





まだ子どもだったころ、あまり言葉を知らなかったころ、
ひらひらはもっとたくさん彼の周りを飛んでいたことを
思い出してくれないだろうか。

人は歳を重ねて利口になる一方で、忘れものをしていく。
自分が誰かを忘れて他の何者かにあこがれたりもする。
そして、帰る場所などはじめからないのだなどと
ふてくされ、迷子を志願する。おろかないきものだ。

現実逃避と漢字四文字でひと括りにされたりする。
後付の話は次々に出てくるだろう。
ゲーム好きで殺戮や暴力など歪んだ嗜好等々。
人の内面はもっと複雑で奥深いのに。

それでも、ただ一つ、ひらひらから伸びた紐をつかんで
離さなければチャンスはある。
誰に教わるわけでもなく持っている。
頭で考えても決してわからない明日への縁を繋ぐ紐。


目には見えないけれど、魂はそっと、今日もひらひら
やわらかな波を送るはずだ、迷い子の彼らに。



先日ひさかたぶりに会った三才上の姉がふいに言った。
「生きててよかったじゃない、こんな日がくるなんて、ね」
姉は覚えていた。ふいをつかれて口ごもってしまった。
姉の愛をとても感じたが、何も言えなかった。
そうね、くらい言えばよかったか?
アホな妹はデパ地下のスイーツのショーケースに目を向け
ねえ、お姉ちゃんはどれにする? と尋ねた。

わたしのひらひらは、とても多くの愛を運んでくれた。
愛と愛はつながっていき、わたしは生き延びてきた。
毎日そのことを思わない時はない。
いつからか、愛されるより愛する人になり、悲しみも
その分増えたけれど、ひらひらがまた運んでくれるから
だいじょうぶだ。

悲しい日には目を瞑り、ひらひらと遊ぶ






コメント
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