雑誌「つるとはな」の創刊号を買った。
須賀敦子の手紙が掲載されると知ったからだった。
表参道の四つ角そばにある山陽堂書店に予約しにいったら、
今日はうちでトークショーがあるわよ、と言われた。
でも発売は明後日だからまだ、今日だったらトビチさんに
行けばあるよ、とあっちの方を指さして言った。
商売抜きの親切であったが、いや飛び地にまでは行けません、
こっちがいいです、予約していいですか、と言ったら店の
レジに座った店主のおばちゃんの方が、もちろん、ありがと、
と笑ってくれた。
予約して10日もたって取りに行った。
おねえさんもおばちゃんも覚えていてくれたのか、すぐに
出してくれて、ついでといっちゃなんだけど、と上に座って
読めるようにしてあるからどうぞ、トークアバウトなんかも
置いてありますから、と予想外のおススメをしてくれた。
だいたい青山界隈でゆっくり歩いたり座ったりしていること
はまったくないこの十数年であるが、この時、ふいに座りたく
なって、言われるまま、ありがとございますーと三階にある
ギャラリースペースへ上がっていった。

ほうほう、こんな具合ね。
さっき買った雑誌を取り出して、さっそくめくってみる。
よそ様でゆっくり読む、なんて久しぶりだ。
表紙がいいなあ、ああ、写真、多めでいいなあ。
紙質がいいなあ、タイトル小さくていいなあ。
書体もいいなあ。ああ、なんかひさびさに力が抜ける雑誌。
宣伝臭がどこにもなくて、こんなんで雑誌作ったんか?と
まっとうさに驚きつつ、誰にでもなく頭を下げる。

須賀敦子のてがみ、折りたたみ式のエアメールにびっしり
と書かれた文字が生々しくて、見入ってしまった。
じっと見て、読むのはとっておくことにした。
本文の方も、なんだか、読まずに持ってかえりたくなった。
これが知りたいばかりに買ったのだけれど、
好物は最後にとっておく主義…ではなく先に食べる派なのに
雑誌を閉じて、三階から見る青山通りをしばらく眺めて
ふうっと息をして、帰り支度をした。
ここを出ると現実だわさ、と思った。
(須賀敦子の未発表の書簡続きは次号に掲載とのこと)
須賀敦子の手紙が掲載されると知ったからだった。
表参道の四つ角そばにある山陽堂書店に予約しにいったら、
今日はうちでトークショーがあるわよ、と言われた。
でも発売は明後日だからまだ、今日だったらトビチさんに
行けばあるよ、とあっちの方を指さして言った。
商売抜きの親切であったが、いや飛び地にまでは行けません、
こっちがいいです、予約していいですか、と言ったら店の
レジに座った店主のおばちゃんの方が、もちろん、ありがと、
と笑ってくれた。
予約して10日もたって取りに行った。
おねえさんもおばちゃんも覚えていてくれたのか、すぐに
出してくれて、ついでといっちゃなんだけど、と上に座って
読めるようにしてあるからどうぞ、トークアバウトなんかも
置いてありますから、と予想外のおススメをしてくれた。
だいたい青山界隈でゆっくり歩いたり座ったりしていること
はまったくないこの十数年であるが、この時、ふいに座りたく
なって、言われるまま、ありがとございますーと三階にある
ギャラリースペースへ上がっていった。

ほうほう、こんな具合ね。
さっき買った雑誌を取り出して、さっそくめくってみる。
よそ様でゆっくり読む、なんて久しぶりだ。
表紙がいいなあ、ああ、写真、多めでいいなあ。
紙質がいいなあ、タイトル小さくていいなあ。
書体もいいなあ。ああ、なんかひさびさに力が抜ける雑誌。
宣伝臭がどこにもなくて、こんなんで雑誌作ったんか?と
まっとうさに驚きつつ、誰にでもなく頭を下げる。

須賀敦子のてがみ、折りたたみ式のエアメールにびっしり
と書かれた文字が生々しくて、見入ってしまった。
じっと見て、読むのはとっておくことにした。
本文の方も、なんだか、読まずに持ってかえりたくなった。
これが知りたいばかりに買ったのだけれど、
好物は最後にとっておく主義…ではなく先に食べる派なのに
雑誌を閉じて、三階から見る青山通りをしばらく眺めて
ふうっと息をして、帰り支度をした。
ここを出ると現実だわさ、と思った。
(須賀敦子の未発表の書簡続きは次号に掲載とのこと)