想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

樹下山人の歌とラビッツ・ムーン

2016-05-21 09:14:56 | 
(江戸ちゃんがわたしの足音で走ってくる、
猫って耳がいいのか…犬みたいだな)



(欲張って大量買いしたラベンダーの苗、
植えるのが一苦労で、まだ半分ほど…)

一息ついて、歌集「樹下集」を手にとった。
めくってすぐに目に入った歌。

「むらくもに出で入る鳥を眺めつつ
   木樵のわれは 人を忘れむ」

「在るもののなべてはわれとおもふ日や
   泪ぐましも 春のやまなみ」

「無心よりほか知らざりきわが歌の
   恃みがたしも 誰に告ぐべき」

まだ事務の雑用がたくさん残っている
けれど、久々にゆっくりとした朝、
珈琲を飲みながら歌集をめくった。
春になると、どうしても前登志夫の吉野
ばかりが気になってしかたがないのだ。
今年はまったく動きがとれなかったので
奈良へも行かずじまいで春も終ろうと
している。
こちらの山はまだ春の気配なのだが。

最初の一首は他人事とは思えず、
次の一首は しばらく思案し、嗚呼と
思う。そして三首目である。
ひとすじ、乱れのない心、奥の奥に
あるものは、場所を変え形を変えても
湧き出てくる。
前登志夫の歌は万葉歌と同じひびきが
する。詠まれた場所のせいだけでは
ないということは、全歌集を通して
読めばよくわかる。
結局、その人のこころが何を求めたか
であるだろう。



数年前の前登志夫展で出会った小野小町と
いう忘れようのない名の小町さんと
あれから会っていないが、もうじき
彼女も新しい本を出す。彼女は劇作家
なのだが、前登志夫の門下で歌を詠む
人でもある。
六月上旬に発売、第一歌集。
「ラビッツ・ムーン」題名も
表紙もかわいらしい。

パンフに載った歌数首はどれも母として
の彼女の言葉が綴られていて、温かい。
彼女は活動的で元気、キャリアウーマン
のような印象なのだが、その心底に
こんなにやさしいものがあったのかと
驚きもし、うれしくもあった。
ご本人は「やっつけで作った」とか。
まさかのやっつけ、照れやさんすか?

小町さんの書く劇はわかりやすい言葉で
わかりやすく訴えてくる。
歌もまた深い感情を素直な言葉で詠まれ
ている。次に小町さんに会ったら言いたい、
「似合わないんだけど、しょうがないねえ
ほんとのことは出てしまうねえ、このさい
ぜんぶ出しちゃえば」と。

全部書いたと思ったが書き終われば
書き足りず次の準備で頭の中がぐるぐる
しているのはこちらも同じ。
本は読んでもらわなきゃならないので
小町さんのようにイベントでもすっかなあ
…しかし、こっちのうさぎは人見知り
なのでやっぱ、山ん中がいいのである。
















コメント
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