想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

自然と猫生と人生と

2018-07-24 00:10:00 | Weblog
子ねこたちは見ている。
おっかあがミルクをねだる。
ああやって、こうやって…と。



おっかあの脇からすり抜けて
侵入を試みる。



捕まっても逃げない。
ぽや〜んとしている。



おっかあは、自分のためか
はたまた、お乳をあげるためか、
せっせとおねだりする。
そして、先に食べ、先に飲み、
腹いっぱいになって
お乳をあげる。
……けど、またおねだりする。
子どもは口実のような気がして
ならない、とカメ先生は呟かれるが
酪王牛乳は欠かさない。
言っておきたいが猫担当はわたし
ではない。犬神さまとのちぎりが
あるので、猫にはかまけない…
つもりだ。ちょっとつきあっては
いるが。

しかし、子ねこを間近に見るのは
実にたのしく飽きない。





みていると、江戸が割り込んで
ちょうだいちょうだいが始まる、
それさえなければ、ずっと見て
いたい。



徳冨蘆花の「自然と人生」について
書こうとしたら、子猫の話になった。



写生帖の中の「國家と個人」最後の行
願わくば陛下の赤子をして
餓えへしむる勿れ。


次にある「断崖」の(一)最後の行
断崖、断崖、人生到る処この断崖多し

國家と個人を読むために自然と人生
(文庫版)を求め、さらに謀反論を
読んだだけで、蘆花の文学者としての
真の貌はほとんど知らないままで
きた。
今もまだよく知らないのだが
以前に比べると、はなはだ好意を
抱くようになった。

生誕150年記念の今年だが、蘆花
人気が起きる気配も無し。
旧字、旧仮名遣い、文語体と
読みにくい。だが内容はといえば、
わかりやすく、親しみを覚えさせる。
少しも高飛車でないし、さすがの
ミリオンセラー大作家である。

やや、あやうい感じさえする。
文学者以外、何者になりようも
無かったのではなかった。
善きひとだと思う。


東京都世田谷区粕谷にある恒春園、
(蘆花の旧宅と所有地を没後寄贈)
生前、自然を愛でた蘆花を偲びつつ
散歩していると、子どもがするりと
脇をすり抜けるように駈けていった。
危うし。

この世に崖っぷちがあることなど
未だ知らず、
跳ねるように駈けていく。

過ぎ去った時と子どもの今が
木々の間で交差していった。
いっしゅん、時の切れ目から
蘆花が見えた。
土の匂いを愛で、水を心を知って
いた人。














コメント
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