地方公務員法
(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第24条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
2 前項の規定の趣旨は、できるだけすみやかに達成されなければならない。
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
4 職員は、他の職員の職を兼ねる場合においても、これに対して給与を受けてはならない。
5 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
6 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
この規定について、阿久根市の竹原市長はブログで次のように述べている。
さるさる日記 - 阿久根時事報
※職員の給与は阿久根市議会が条例を作って決めてきた。そもそも、市役所の職員給与を国家公務員に合わせる必要などない。 公務員給与が阿久根市の民間事業の従事者との間に激しい格差があるとするならば、過去の市長と市議会が法律に基づくあたりまえの仕事をしてこなかったということだ。今の状況はできるだけすみやかに修正されなければならない
至極もっともな意見だと思うのだが、そう思わない人もいるわけで。
ブログで有名な阿久根市長: 公務員のためいき
過去に「公務員賃金の決められ方」という記事を綴ってきましたが、竹原市長の思いだけで本来固定費であるべき職員の給与が恣意的に手を付けられることには大きな問題性を感じています。そもそも「条例で定める」という意味合いは、議会の議決を通じて予算上の裏付けをすることであり、条例化することによって労働条件の安定性を確保するという点が主眼だったはずです。
さらに人事院勧告などの役割を無視し、独自な削減を企図する場合は最低限、当該の労働組合との協議や合意形成が欠かせないものと考えています。竹原市長が強弁するような地場賃金と市職員との水準格差を問題視するのならば、決して歓迎すべきことではありませんが、数年前に導入した地域給のような全国的な制度論議を通して見直されるべき課題ではないでしょうか。
さて、ここで法の規定を改めて見てみる。
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
5 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
地方公務員法は、
「職員の給与を決めるにあたっては、国家公務員や他の自治体職員、民間労働者の
給与とかを考慮せよ」
「給与以外の勤務条件については、国家公務員や他の自治体職員と横並びにせよ」
と定めている。
そして、民間労働者の給料を考慮するということで、人事院勧告(人事院が従業員50人
以上の民間の事業所と国家公務員の給与とを比較検討して、内閣と国会に提出する勧告)
に準拠した形で、地方議会が条例で定める。
人事院勧告は、国の機関の出すものだから、当然ながら全国一律の基準である。
そこに地域の事情は反映されていない。しかも比較対象は従業員50人以上の事業所。
地域住民と職員との収入に開きのある「官民格差」が出てくるのは必然。
「阿久根の職員が、東京の企業や国のお役人の給料を基準に給料決めてどうすんだ。
俺達と比較しろ、地元の俺達と。」
という声が上がっても不思議は無い。
むしろ、今までがおとなしすぎたんじゃなかろうか。
大分の姫島村のように、地域の事情を考慮し、
「ワークシェアリングで職員数は増やすけど、給料はラスパイレス指数で70・6ね」
という選択肢もありだろう。
国家公務員の給与と地場の民間事業の従事者の給与とを比較検討し、どちらに軸足を
置くかの選択は、首長や議会の裁量の範囲内として地方公務員法も認めるはず。
国家公務員を基準とするか、地場の民間事業の従事者を基準とするか。
どちらを選ぶかは裁量の範囲内としたとき、私は地場を基準とすることに賛成。
地元住民は自治体にとって株主であると同時に、逃れられない顧客なのだから。
ちなみに。
6 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
この規定について、「公務員のためいき」では
>条例化することによって労働条件の安定性を確保するという点が主眼だったはずです。
と述べている。
安定性の観点については、
「条例で決められた勤務条件で働き、条例で決められた額の給与を受け取る」
という内容で十分足りるだろう。
竹原氏がどんな個人的動機を持っていようとも、首長として議会に提案し、
議会で改正給与条例が可決されれば、そのとおりに給与は支給される。
十分に安定している。
この規定の趣旨について、判例は「お手盛りの防止」を指摘している。
職員が自身の給与を定めると、際限なく上がってしまうおそれがあるため、職員の
給与については納税者の代表たる議会が条例で定めるべし、というものだ。
お手盛りの防止という観点からすれば、労働組合が給与の決定に介入することは
好ましくない。
ましてや、
>独自な削減を企図する場合は最低限、当該の労働組合との協議や合意形成が欠かせない
なんてことになると、さぁ大変。
協議が調わず合意形成がなされなかったら、給与削減はできない。
見まごう事なき「聖域」の出来上がり。
(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第24条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
2 前項の規定の趣旨は、できるだけすみやかに達成されなければならない。
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
4 職員は、他の職員の職を兼ねる場合においても、これに対して給与を受けてはならない。
5 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
6 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
この規定について、阿久根市の竹原市長はブログで次のように述べている。
さるさる日記 - 阿久根時事報
※職員の給与は阿久根市議会が条例を作って決めてきた。そもそも、市役所の職員給与を国家公務員に合わせる必要などない。 公務員給与が阿久根市の民間事業の従事者との間に激しい格差があるとするならば、過去の市長と市議会が法律に基づくあたりまえの仕事をしてこなかったということだ。今の状況はできるだけすみやかに修正されなければならない
至極もっともな意見だと思うのだが、そう思わない人もいるわけで。
ブログで有名な阿久根市長: 公務員のためいき
過去に「公務員賃金の決められ方」という記事を綴ってきましたが、竹原市長の思いだけで本来固定費であるべき職員の給与が恣意的に手を付けられることには大きな問題性を感じています。そもそも「条例で定める」という意味合いは、議会の議決を通じて予算上の裏付けをすることであり、条例化することによって労働条件の安定性を確保するという点が主眼だったはずです。
さらに人事院勧告などの役割を無視し、独自な削減を企図する場合は最低限、当該の労働組合との協議や合意形成が欠かせないものと考えています。竹原市長が強弁するような地場賃金と市職員との水準格差を問題視するのならば、決して歓迎すべきことではありませんが、数年前に導入した地域給のような全国的な制度論議を通して見直されるべき課題ではないでしょうか。
さて、ここで法の規定を改めて見てみる。
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
5 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
地方公務員法は、
「職員の給与を決めるにあたっては、国家公務員や他の自治体職員、民間労働者の
給与とかを考慮せよ」
「給与以外の勤務条件については、国家公務員や他の自治体職員と横並びにせよ」
と定めている。
そして、民間労働者の給料を考慮するということで、人事院勧告(人事院が従業員50人
以上の民間の事業所と国家公務員の給与とを比較検討して、内閣と国会に提出する勧告)
に準拠した形で、地方議会が条例で定める。
人事院勧告は、国の機関の出すものだから、当然ながら全国一律の基準である。
そこに地域の事情は反映されていない。しかも比較対象は従業員50人以上の事業所。
地域住民と職員との収入に開きのある「官民格差」が出てくるのは必然。
「阿久根の職員が、東京の企業や国のお役人の給料を基準に給料決めてどうすんだ。
俺達と比較しろ、地元の俺達と。」
という声が上がっても不思議は無い。
むしろ、今までがおとなしすぎたんじゃなかろうか。
大分の姫島村のように、地域の事情を考慮し、
「ワークシェアリングで職員数は増やすけど、給料はラスパイレス指数で70・6ね」
という選択肢もありだろう。
国家公務員の給与と地場の民間事業の従事者の給与とを比較検討し、どちらに軸足を
置くかの選択は、首長や議会の裁量の範囲内として地方公務員法も認めるはず。
国家公務員を基準とするか、地場の民間事業の従事者を基準とするか。
どちらを選ぶかは裁量の範囲内としたとき、私は地場を基準とすることに賛成。
地元住民は自治体にとって株主であると同時に、逃れられない顧客なのだから。
ちなみに。
6 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
この規定について、「公務員のためいき」では
>条例化することによって労働条件の安定性を確保するという点が主眼だったはずです。
と述べている。
安定性の観点については、
「条例で決められた勤務条件で働き、条例で決められた額の給与を受け取る」
という内容で十分足りるだろう。
竹原氏がどんな個人的動機を持っていようとも、首長として議会に提案し、
議会で改正給与条例が可決されれば、そのとおりに給与は支給される。
十分に安定している。
この規定の趣旨について、判例は「お手盛りの防止」を指摘している。
職員が自身の給与を定めると、際限なく上がってしまうおそれがあるため、職員の
給与については納税者の代表たる議会が条例で定めるべし、というものだ。
お手盛りの防止という観点からすれば、労働組合が給与の決定に介入することは
好ましくない。
ましてや、
>独自な削減を企図する場合は最低限、当該の労働組合との協議や合意形成が欠かせない
なんてことになると、さぁ大変。
協議が調わず合意形成がなされなかったら、給与削減はできない。
見まごう事なき「聖域」の出来上がり。