公務員試験の世界では、
・面接官「あなたは、なぜ民間でなく、公務員を志望したのですか」
・受験生「はい、民間は営利目的で活動しますが、公務員は営利目的でなく、広く住民の役に立つことができるからです」
といった受け答えが、当たり前のように行き来している。
当たり前過ぎて、逆にこの受け答えだと減点されてしまうかもしれない。
しかし、「公務員が広く住民の役に立つことができる」はあくまで建前である。
実際のところは、
・面接官「あなたは、なぜ民間でなく、公務員を志望したのですか」
・受験生「はい、公務員の方が安定しているからです」
9割9分9厘、これが受験生の本音だろう。
そんな本音を裏付けるようなニュースが、先日流れていた。
そのニュースとは、平成25年2月で退職手当が削減される自治体で、年度末を待つことなく退職する職員や教員、警察官が続出している、というもの。
このニュースを受け、ネット上では、
「教師が途中で教育現場を放棄するのはけしからん!」
と怒る人と、
「そりゃ駆け込みでも早期退職するわなぁ」
と納得する人とで二分されている。
ちなみに、金額の差は・・・
“早期退職”7県で450人余に NHKニュース
=====【引用ここから】=====
埼玉県教育委員会によりますと、勤続35年以上、月給41万円の標準的な教職員の場合、減額される前の1月末に早期退職した場合は、退職金は月給の59.28か月分で2430万円となります。一方、早期退職せず3月末に定年退職した場合、3.42か月分減額され月給の55.86月分となり退職金は2290万円となります。
このため、早期退職した方が退職金が140万円多くなり、退職して失った2月と3月の2か月分の給与合わせて82万円を差し引いても58万円多くなります。
=====【引用ここまで】=====
とのこと。
2月、3月と働き続けて、教育委員会から怒られ、保護者から無理難題を言われ、生徒は言うことを聞かず、日々の授業や成績表、報告書の作成、卒業式の準備・・・これらを経て、2月分、3月分の給料と、減額された退職金を受け取ることができる。
一方で、1月末に退職すると、仕事に終われない悠々自適の2ヶ月間を手にすることができる。さらに、トータルで58万円儲かる。3月末まで勤務し続けるということが、タダ働きどころか、58万円の罰金が科せられるというのと同じことを意味している。
「早期退職者が、7県で450人によく留まったなぁ」
と、逆に褒めてやりたいところだ。
早期退職しなかった人の理由としては、
・同僚、後輩や隣近所から浴びるであろう、冷たい視線が怖い。
・退職後の再就職、天下りの世話をしてもらえなくなる。
・中途退職する手続きが分からない。人に聞けない。
・30数年勤めて、あと2ヶ月で全うするのだから、最後まで勤めよう。
等が考えられる。
こうした数々の抵抗を、450人は58万円で乗り越えた。
「聖職者」として生徒と接するよりも、58万円を選んだのだ。
この金額がもっと大きかったら、当然、早期退職者はさらに増えていただろう。
さて。
公務員は、聖人君子が志望して就く職業ではない。個々の公務員は、自分の懐に入る金と、労働・苦痛・拘束とを、いつも天秤にかけている。これは公務員に限らず、誰でも概ねそうだろう。
少しでも楽に仕事をしたい。
少しでも給料を増やしたい。
そのためには、少々の地方公務員法違反をしてでも組合活動に取り組んで組合推薦候補者を応援しよう。
「人の役に立ちたい」なんて、多くの公務員が最初の2~3年のうちに忘れているんじゃないか、と思っている。
教員、ゴミ収集、給食調理、保育士etc、同じ仕事内容なのに、民間よりも役所での採用を希望する人は多い。同じ仕事内容なのだから、どちらの方がより役に立つ、ということはない。受験生が公務員を志望するのは、ただただ、親方日の丸で安定しているからだ。徴税権に支えられた安定に人は集まるが、メリットが失われれば人は離れる。
公務員は聖人君子ではない。だから、民営施設で起きる事故は公営施設でも起きるし、個人情報は業者からも公務員からも漏洩する。そして、退職までの賃金総額が減れば途中で辞める。生活保護を不正に「受給させる」ための詐欺を働く者もいる。「人の役に立ちたい」と考える聖人君子でなく、保身と利益に奔走するただの人なのだ。
「公務員は広く住民の役に立つ」というのは、事実に基づかない妄想だ。公務員の主な仕事は再配分と利益誘導。つまり、刑罰を振りかざして無理やり集金し、この金を裁量で特定の団体に補助金として配ったり、特定の個人に融通を利かせたりするのがメインの仕事である。広く住民の役には立たないが、特定対象の役に立つ事業の方が、票になる。
本当に人の役に立ちたい、社会の役に立ちたいと思うのであれば、補助金や公共事業に頼らない会社を自分で作るか、そういった会社に勤めるのが正解だと思う。安定を選ぶのであれば、公務員は良い選択肢だ。ただし、費用対効果も含めて、本当に人の役に立てる場面は極めて少ないということを、覚悟しておくべきだ。公務員は聖職ではない。
・面接官「あなたは、なぜ民間でなく、公務員を志望したのですか」
・受験生「はい、民間は営利目的で活動しますが、公務員は営利目的でなく、広く住民の役に立つことができるからです」
といった受け答えが、当たり前のように行き来している。
当たり前過ぎて、逆にこの受け答えだと減点されてしまうかもしれない。
しかし、「公務員が広く住民の役に立つことができる」はあくまで建前である。
実際のところは、
・面接官「あなたは、なぜ民間でなく、公務員を志望したのですか」
・受験生「はい、公務員の方が安定しているからです」
9割9分9厘、これが受験生の本音だろう。
そんな本音を裏付けるようなニュースが、先日流れていた。
そのニュースとは、平成25年2月で退職手当が削減される自治体で、年度末を待つことなく退職する職員や教員、警察官が続出している、というもの。
このニュースを受け、ネット上では、
「教師が途中で教育現場を放棄するのはけしからん!」
と怒る人と、
「そりゃ駆け込みでも早期退職するわなぁ」
と納得する人とで二分されている。
ちなみに、金額の差は・・・
“早期退職”7県で450人余に NHKニュース
=====【引用ここから】=====
埼玉県教育委員会によりますと、勤続35年以上、月給41万円の標準的な教職員の場合、減額される前の1月末に早期退職した場合は、退職金は月給の59.28か月分で2430万円となります。一方、早期退職せず3月末に定年退職した場合、3.42か月分減額され月給の55.86月分となり退職金は2290万円となります。
このため、早期退職した方が退職金が140万円多くなり、退職して失った2月と3月の2か月分の給与合わせて82万円を差し引いても58万円多くなります。
=====【引用ここまで】=====
とのこと。
2月、3月と働き続けて、教育委員会から怒られ、保護者から無理難題を言われ、生徒は言うことを聞かず、日々の授業や成績表、報告書の作成、卒業式の準備・・・これらを経て、2月分、3月分の給料と、減額された退職金を受け取ることができる。
一方で、1月末に退職すると、仕事に終われない悠々自適の2ヶ月間を手にすることができる。さらに、トータルで58万円儲かる。3月末まで勤務し続けるということが、タダ働きどころか、58万円の罰金が科せられるというのと同じことを意味している。
「早期退職者が、7県で450人によく留まったなぁ」
と、逆に褒めてやりたいところだ。
早期退職しなかった人の理由としては、
・同僚、後輩や隣近所から浴びるであろう、冷たい視線が怖い。
・退職後の再就職、天下りの世話をしてもらえなくなる。
・中途退職する手続きが分からない。人に聞けない。
・30数年勤めて、あと2ヶ月で全うするのだから、最後まで勤めよう。
等が考えられる。
こうした数々の抵抗を、450人は58万円で乗り越えた。
「聖職者」として生徒と接するよりも、58万円を選んだのだ。
この金額がもっと大きかったら、当然、早期退職者はさらに増えていただろう。
さて。
公務員は、聖人君子が志望して就く職業ではない。個々の公務員は、自分の懐に入る金と、労働・苦痛・拘束とを、いつも天秤にかけている。これは公務員に限らず、誰でも概ねそうだろう。
少しでも楽に仕事をしたい。
少しでも給料を増やしたい。
そのためには、少々の地方公務員法違反をしてでも組合活動に取り組んで組合推薦候補者を応援しよう。
「人の役に立ちたい」なんて、多くの公務員が最初の2~3年のうちに忘れているんじゃないか、と思っている。
教員、ゴミ収集、給食調理、保育士etc、同じ仕事内容なのに、民間よりも役所での採用を希望する人は多い。同じ仕事内容なのだから、どちらの方がより役に立つ、ということはない。受験生が公務員を志望するのは、ただただ、親方日の丸で安定しているからだ。徴税権に支えられた安定に人は集まるが、メリットが失われれば人は離れる。
公務員は聖人君子ではない。だから、民営施設で起きる事故は公営施設でも起きるし、個人情報は業者からも公務員からも漏洩する。そして、退職までの賃金総額が減れば途中で辞める。生活保護を不正に「受給させる」ための詐欺を働く者もいる。「人の役に立ちたい」と考える聖人君子でなく、保身と利益に奔走するただの人なのだ。
「公務員は広く住民の役に立つ」というのは、事実に基づかない妄想だ。公務員の主な仕事は再配分と利益誘導。つまり、刑罰を振りかざして無理やり集金し、この金を裁量で特定の団体に補助金として配ったり、特定の個人に融通を利かせたりするのがメインの仕事である。広く住民の役には立たないが、特定対象の役に立つ事業の方が、票になる。
本当に人の役に立ちたい、社会の役に立ちたいと思うのであれば、補助金や公共事業に頼らない会社を自分で作るか、そういった会社に勤めるのが正解だと思う。安定を選ぶのであれば、公務員は良い選択肢だ。ただし、費用対効果も含めて、本当に人の役に立てる場面は極めて少ないということを、覚悟しておくべきだ。公務員は聖職ではない。