オリンピックの開催とほぼ同じ頃、英国の郵便局では金メダルを取った選手には翌日彼らの記念切手を発売するとのニュースが報道された。開会式が終わって数日英国勢は銀と銅のメダルは一つづつ取れたが金メダルが取れない。その頃日本ではすでに金メダル2個取っていたし、あの憎っくき北鮮ですら金メダル2個取っていて ’うーんチームGBはどうなったことか、だらしない。などと思っていた。
8月1日に待望の金メダル2個、英国が沸き立ったのは当然のことだった。午前中女性ペアのボートレースでHelen GloverとHeather Stanning の若い女性がらくらく他を引き離して金メダルに輝いた。テレビの前で亭主と大声援を送った後は目頭が熱くなった。それからはテレビに釘付け、この日午後にはサイクリング・ロードレースでBradley Wigginsが金メダル。このブラドリー・ウイギンと言う人はこの夏のトアー・デ・フランスで優勝した人だったから彼のメダル受賞は予想されていたものの、一日に2個の金メダルにオリンピック開催国としては沸き立ったのも無理からぬことだった。
本当に切手が発行されるのだろうかと疑い半分で翌日ローカルの郵便局へ行ってみたが中央郵便局でしかと買えないといわれた。
8月2日はリー・ヴァリーで行われた男性2人乗りカヌーのスロラームで優勝。室内自転車競技でも男性3人組のスプリントで優勝し、今まで名前も知らなかった射撃でもPeter Wilsonと言う若い男性が金メダルをもらって、一躍英国はゴールド・ラッシュと騒がれるようになった。
8月3日も女子ダブルス・スカルでKatherine Grainger と Anna Watkinsが金メダル、カソリーン・グレンジャーは過去3回のオリンピック出場で今回がはじめての金メダルとあって大喜びしていた。英国の室内自転車競技は4年前の北京オリンピックでもメダルをたくさん貰っていたから驚くに当たらす、この日もVictoria Pendletonの女子競輪で優勝。この競輪と言う競技は日本からの競輪をルールもそのままやっているらしく英語でもKeirinと書かれてあり発音できないアナウンサーはキーリンという。
室内自転車競技にはいろいろな種目があってこの日も男性チーム・パースーツで3人の若い英国人が勝った。
8月4日土曜日の朝電車でチャリング・クロスの駅近くの中央郵便局へ行って切手の有無を聞いた。昨日までの8枚が全部あって一枚3ポンド60ペンス、もうあまり金メダルも取れないだろうからと全部買うことにした。
なのにこの土曜日はなんと言うこと、金メダルが6個も取れてしまった。もう買うのは辞めにしよう、財政がもたないよーもうメダルは要らないよーなんて勝手なことを言ってた私。
またぞろたくさんの金メダルの切手の中でヨットの写真はないし、ハイドパークで行われた男子トライアスロンでは24歳の兄アリスター・ブラウンリーが金メダル22歳の弟のジョニー・ブラウンリーが銅メダルを取った。全くタフな兄弟だ。
グリニッチで行われた競馬にも金メダル2個貰っているからせめて切手も1セットは欲しい。このスマートな制服だけでも記念にしておきたいと8月8日郵便局へ出かけた。この日は何と長い行列を作って30分も待ってやっと欲しい切手を手に入れた。
今日16日とうとうこれが最後と3枚の切手を手に入れた。5000メーターと1万メーターで金を貰ったモー・ファラーと女子陸上5種目で優勝したジェシカ・エニスで特にモー・ファラーはレースのゴール寸前まで手に汗を握り声をからしての大声援。テレビ局の中で解説する人達が大狂乱だった。
英国歴史上初の29個の金メダルでは切手全部を買えば104ポンド40ペンス。全部そろえるつもりはないし、保存するよりもこれから記念切手を貼って大いに手紙を書き送ろうと思っている。