もう10年ほど前から名前を登録していたJapan Foundation では毎年夏に日本の映画を見せてくれる。一昨年まではNHKのドキュメンタリーだったり日本の高校生のストーリーだったり、猫侍の映画だったりしたが、あまり記憶に残っていない。特記事項はこれらが全部無料だということ。事前に送られたメールでの映画案内に、予約を入れて電子チケットをプリントしておくこと。
昨年8月のある土曜日、3本建ての漫画映画が上映された。ほかの映画は思い出せないが中の一つの漫画映画がとっても気に入った。漫画なんてという思いで友達と行ったのだけれど、画面の美しさには目を見張る思いがした。その映画 思い出ぽろぽろ(Only Yesterday) は子供時代の思い出に中で好きな男の子から声をかけられただけで舞い上がってしまう女の子、天にも昇る気持ちをそのまま映像にしたのはやっぱり漫画だから。ストーリーも良かったし一番思い出に残っている。
今年6月末の土曜日には日本映画4本立て、予約を入れたのがメールが来た6時間後くらいで一本だけ満杯で予約が取れなかった。
この日はロンドンでは今年初めての晴天で気温も30度を超え暑い日だった。午後12時半から夜9時半までソーホホテルの地下映画館での上映。暑いから薄着でサンダル履き、ランチにはおにぎりを持って映画が始まる前に食べて入場。暑いからと冷房がガンガン効いていてまず第一上映の福福ふくちゃんで、のどが痛くなり手足は冷えて、次の映画の上映間に30分ほどあったから、ホテルの外へ出て太陽にあたり手足の冷えをほぐす有様。これじゃまるで爬虫類だと笑っていた。
福福ふくちゃんは太った男の子が学校時代にからかわれ、いじめられ、大人になって気のいい男で忘れていたころにいじめた女の子が訪ねてくる物語。主人公の男ふくちゃんは実際は女性のコメディアンだと知りもっと驚いた。心温まる映画だった。
さて2番目はタヌキ御殿のタヌキ姫、寒くて面白くなくて途中で寝てしまったけれど、新聞を膝に置いて寒さを和らげ、早く終わらないかとイライラしていた。
そしてこの日のハイライトがTermae Romae (ローマの風呂)皆さん知っていたのらしい。この映画だけは満杯で予約が取れなかったから。でも久しぶりの暑さで映画へ来ない人もいたらしく、受付でどこでも空いているところで見たいと頼んだら、快く入れてくれた。
こんなに面白い映画を見たのは久しぶり。実際は漫画から映画に造られたと知って感心した。最高だった。
次の映画の間に1時間ほど待ち時間があり町を歩いてハンバーガーと熱いコーヒーで一息ついてみた映画はタイトルも思い出せないくらいつまらなかった。
映画が終わって帰宅時には寒さで震え、それから2週間もひどい風邪に悩まされた。
この国各家庭に冷房なぞ入っていない。扇風機のある家庭もそんなにないだろう。オフィスやスーパーなどでは冷房が当たり前になっているけど。
今年は大英博物館でも漫画を上映するくらいだったから8月17日の土曜日にまた漫画3本建てのオファーが来た。今度はすぐ予約を入れた後友達に行けるかどうかを聞いたくらい早かった。
場所も同じソーホ―ホテルの地下映画会場。この日はもうあの暑さは去って朝夕寒く感じるほど、おまけに曇り空だったけれど、先の冷房で懲りたから厚地の上着に厚地のパンツ、ソックス、靴でおまけに冬用のポンチョも持って出かけた。
冷房はあれほど冷たくしてなかったが昼の1時15分から夜8時まで、やっぱりじっと座っていると寒くなってくる。この日の映画はオリジナルが全部漫画から映画にしたもので全然期待していなかった。
まず第一上映犬屋敷が息をつかせぬ面白さ、人間がサイボーグに変化するなどの理不尽さもこれが漫画と思えばすんなり受け入れられる。それでいながら実社会の映像もしっかり入っていて漫画だとは思えない。
すっかり感心して日本のアニメは世界一がよーくわかった。
後の2本は犬屋敷にすっかり心を奪われた私たち二人には、記憶に残らず帰ってきた。
漫画だからと馬鹿にしてはいけない。素晴らしいエンターティンメントだ。