サン・ラリー・スオン(Saint Lary Soulan)の町を出て北へ280kmまっすぐ伸びているN21 を快適にとばす。
道路も良いしあちこちに咲いている桜の花を愛でながらフランスの春を楽しむ。いつものように通り過ぎる小さな町には人影も見えない。ローマ人が作ったかもしれない立派な橋を見てフランスがローマのプロヴィンス(属国)だったことを思い出した。ローマ人お得意のまっすぐな道路がいたるところにみられる。
ちょうど藤の花の真っ盛り、あちこちに素晴らしく咲き乱れる薄紫の花が目につく。ボルドーの真東にあたるこの地域は見渡す限りのブドウ畑が続いている。4月はまだ畑で手入れする人も見えない。
そしてこのボルドーの真東にあたる田舎のキャンプサイトに一泊した。ここはオランダ人が経営するプール付きの広々としたサイトで到着したこの日4月12日が今季の仕事始め、私たちが今年初めての客になった。オフィスの後ろの背の高い木は真っ白の藤の花が盛りで近寄ってみると素晴らしい香りとその香りにつられたミツバチがたかっていた。
翌日も素晴らしい天気に、朝日が昇る前の空がきれいなうろこ雲に覆われ気持ちの良い朝だった。
名前も読めないフランスの小都市の立派な大寺院を横目に見ながら通り過ぎた。ここにもどんなに素晴らしい観光名所があるかも判らない。広々とした畑地は菜の花畑で彩られそれがどこまでも続いている。
14日日曜日には420km走ってシャートレ(Chartres)の南のキャンプサイトに着いた。この街は古い城下町らしく、町の周囲を城壁が囲んでいて、早く着いたおかげで町を散策することができた。
古い城壁の近くで散歩しているまるで貴婦人のような犬を見かけ写真を撮らせてもらう。この犬たちたぶん犬のコンテストや本や写真のモデルになっているらしくカメラを構えるとしっかりポーズをとってくれる。
お堀に囲まれたお城の正門は病院の入り口だった。この日が日曜日だったからか、もしかして精神病院かもしれない病院の入り口は警備が厳しく玄関奥の花壇を写真に撮ろうとしたら女性警備人が飛び出てきて止められた。広大な病院を3方回った奥にキャンプサイトがあるが高い塀と頑丈な鍵のついた出入口はしっかり閉められていて、道路から見える病院の庭や建物には人影が一切見えず、物音もしない死のような静けさで薄気味悪かった。