テームズ河のほとり、ビックベンのある国会議事堂から歩いても15-20分ほどに昔からあるティト・ブリティンは有名な英国の無料の美術館。
ここの殆どは英国人芸術家の作品が多い。本当に久しぶりでこの美術館へ来た。いつも無料だと思うといつでも来られるという安心感でなかなか腰をあげられない。
ちょうど12時に玄関についた。入ってすぐの丸天井が素晴らしい。毎日1時間毎にフリートークがある。このフリートークというのはボランティアの人たちが自分の得意とする分野の絵の説明、紹介をするもので全部只。
12時のには間に合わなくてその間私の一番好きな絵を見て回り写真を撮った。
ホープ(希望)という題名のこの絵、ロンドン生まれのジョージ・フレデリック・ワッツの1886年の作品。地球の上で目隠しされた女神ホープがただ一本の弦以外切れてしまった竪琴をだいている。
この作品はピカソにも影響を与えたという。じっと見ていたら涙が滲んだ。
1800年代、英国画壇で起こったラファエル前派のジョン・エヴェレット・ミレイ(1829-1896)の有名な作品。オフェーリア はハムレットに嫌われたと心痛めて狂ってしまい投身自殺?か誤って水に落ちて死ぬ。
とってもきれいな絵。
この絵もラファエル前派の画家ジョン・ウイリアム・ウォータハウス(1849-1917)の The Lady of Shalott (シャロット婦人)1888年の作品。
1833年英国詩人のアルフレッド・テニソンの同名の詩でナイト・ランスロットに恋をしたシャロットが幽閉されていた塔から死を覚悟で逃亡する。これもなんてきれいな絵だろう。
この絵 Love Locked Out はラファエル前 派の女流画家 アナ・リー・ミリッツ(1844-1930)の作品1890年に発表された。この絵は彼女の夫が結婚2ヶ月後に亡くなった記憶を描いたもので、キューピットが墓地のドアから締め出されている。
もう20年ほど昔この絵を見た頃に、まだ10代の学童たちが先生の説明を熱心に聞いていたのを見て、絵よりも生徒たちに感激したのを忘れられない。
The Athlete Wrestling with a Python (大蛇と戦う男)フレデリック・レイトン(1830-1896)のブロンズ像。この迫力、すごいに尽きる。
アメリカ人画家ジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)の作品で、題名がカーネーション・ゆり・ローズと言うきれいな絵。1970年代からこの美術館へ来るたびに必ず見る一番好きな絵。
ジョンの英国南西部の友達の庭で、友達の娘二人を描いた1885-1886年作、英国の夕暮れを描いたもの。この美術館の看板絵になっている。
ヘンリー・スコッツ・ターク(1858-1929)は英国南部ファルマス湾で子供達が水遊びをしている様子を数多く描いた。
ジョージ・クローセン(1852-1944)の題名ウインター・ワーク は当時のフランス画家ミレーの作品を彷彿させる。ここで収穫されているのが砂糖大根にちがいない。
ドロシー・スタンリー(1855-1926)の題名 His first Offence(初犯の裁きの場)この男の子の心配そうな顔、貧しい服装、見ただけで哀れを誘う。この画家はロンドンの通りの貧しい人々や子どもたちの絵を数多く描いたことで有名。
ここに上げた写真のすべてが1800年代に描かれたもので、私の好みが偏っているかもしれない。実際にはもっと以前の宗教画や、1600-1700年代の貴族、王族の肖像画なども多くある大きな美術館である。
1時から1時間取ったフリートークのおじさんは近代画の説明で、私の興味を引いたのは
ヘンリー・モア (1898-1986)のブロンズ像。これは1949年作のFamily Group (家族)。
ヘンリー・モアの作品は英国のみならずヨーロッパの各地でもよく見るが、この人の初期の絵はここで始めてみた。画家や彫刻家は有名になる前の初期から基礎がしっかりできているとつくづく思った。
ヘンリーモアの Atom Piece (1964-1965)
1963年、ヘンリーモアはシカゴ大学に招かれ、原子力の彫刻を依頼された。頭の丸さは頭部と原爆を意味したもので、5基作ったうちの1基が1987年広島市によって買い上げられた。