もう50年近く前まで住んでいた日本では、10年間スキーに熱中して、結婚するならスキーヤーと思っていた。ところがこの英国で図らずも結婚したのがダイバーだった。英国には山がないからスキーは余り人気スポーツではない。
ポールは彼の20代からスキューバーダイビングに熱中し、20代(1953年以降)から結婚した41歳まで世界中のほとんどの海でダイビングしていた。
私達がエジプトのシナイ半島やホガダなどでスノークリングをするようになったのは1990年代。子供たちが巣立ってしまった後は二人でシナイ半島には3回ホガダの近くでは2回そして最後に行ったマーサアラーム(Marsa Alam)に行ったのが2006年の11月だった。
2006年は私も退職して自由の身、マーサ・アラームはエジプトの最南端のリゾート地で、赤道に近いからまだ暖かいだろう。
もう15年も前のことで、当時はリゾート地と言っても高級ホテルが数軒建っているだけで、ホテルの外へ出ても周囲は荒れ果てた砂漠だった。
2週間泊まって毎日泳いでいたのがコラヤ・リゾート・ホテル(Coraya Resort Hotel)で時期外れ結構安かったのを覚えている。そしてこのホテルにはロシア人がたくさん休暇できていた。もう名前も忘れてしまったが、まるでロシアの大統領プーチンみたいなタフガイのご主人とセクシーな奥さんと友達になった。彼らはシベリアに住んでいると言った。
このホテルはコラヤ湾の砂浜に面したところにあり、ホテルの建物がぐるっと取り巻いた真ん中には温水プールがあった。エジプトとも言えども11月になると水温も下がって1時間もコラヤ湾の中を泳いでいると体が冷えてくる。
その時は温水プールは天国だった。
紅海は熱帯魚が多く地中海とは比べられない。初めて紅海で泳いだ時、私の前生は人魚だったのだと思った。いつまでも泳いでいたいと思った。
私はスキューバダイビングはしないが、中学生の時からシュウノークルで泳いでいた。だから撮影した魚たちも結構浅瀬で撮ったものばかり。
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体長1メーターくらいのバラクーダー、 ここでは1匹悠々と泳いでいたが、ポールはヨルダンのダイビングセンターでそこのインストラクターと潜った時は、このバラクーダーの群れが大きな輪になって回遊しているのを見たという。
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私達が金魚と呼んでいたジュールフィシュ(Jewel Fish)これらは紅海のどこでも一番多くに見られる魚で何度写真をとっても飽きない。
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サンゴ礁もきれいで、小さな珍しい魚が多い。
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初めてこの魚を見た時は本当にギョッとしたものだ。ワニみたいだねと言ってたら本当にその名もクロコダイル・フィシュと言う。
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ファイルフィシュ。色彩がきれいで口が小さい、まるでおちょぼ口みたい。30-40センチくらいのおとなしそうな魚。体の上と下の透き通るようなひれが細かく揺れている。上から見ると一本の線ほどしかないひらべったい魚だ。
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体長2-30センチくらい縞模様が美しいサージョンフィシュ、尾ひれの近くの黄色い線が非常にシャープな切れ味でサージョン(外科医)と呼ばれる。
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紅海のウミガメは南シナ海のウミガメと種類が違うのか甲羅の模様が美しくない。ここでは飽きるほど居た。ウミガメの好物はクラゲで、ホガダの海ではクラゲに取り巻かれて気持ちの悪い思いをしたが、カメさんはどんなに喜んだことだろう。
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ブルートゥリガーフィシュ【Blue Triggerfish)は体長50-60センチくらいきれい
なブルーで上下のひれと尾がそれそれ別な動きをしてとっても優雅な魚。
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見るからに獰猛なタイタン・トゥリガーフィシュ。体長50-60センチくらいで強力な歯をもち、海底の大きな石を歯でくわえて持ち上げエサを探す。
シナイ半島のシャーメルシェークで二人で泳いでいる時のお話。私が先頭を泳いで水深10メーターほどにこの魚を見かけた。そのまま進んでいったその後、6-7メータ後から泳いできたポールがこの魚にアッタクされた。
このタイタンはその水底で巣ごもりしているところを私が通り過ぎて、頭に来ていたところに、またポールがやってきたため、怒り狂って攻撃に出たもの。水底からまっすぐ上ってきてポールに噛み付こうとする。ポールは必死でフリッパーで蹴りまくり何度も攻撃していたがとうとう諦めて戻って行った。私は大笑いしたがポールは本当に水を飲んでの大騒ぎだった。
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体長1メーターを超すナポレオンフィシュ、大きい割にはおとなしい魚で人にはアタックした話は聞かない。ホガダで初めて見た時は、船に乗ったたくさんの観光客(私たちも含めて)が飛び込んで泳いでいるのに、船頭さんがくれるゆで卵が欲しくて水底をウロウロしていた。いつもゆで卵を貰っているから、慣れていたのだろう。魚でもこうして手なずけられるのは、面白い。
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ピカソフィシュ、体長20センチくらい、本当にピカソならこんな面白い魚の絵を書きそう。
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レッドシー・マックロ(Red sea Mackerel)は団体で一斉に口を開けてエサを取り込みえらでろ過する。銀色に輝いて向かってくると初めはギョッとしたものだが、見るからにおかしい。
ホガダ(Hurghada) の町は貧民街もあり汚い街で、観光に出歩くところはない。その町から割と近いところのホテル街では各自自分のビーチを持っている。ところがこのあたりの海にはビニール袋が大小ぷかぷか浮かんでいて、カメがクラゲと間違って食べる恐れがある。このホテルに滞在した時も、そしてコラヤリゾートホテルに滞在した時も海にはビニール袋が多く、もしかして毎朝ホテルのごみを海に捨てているのではないか?それとも貧民街から流れてくるのか?
それでいつも泳いでいてビニール袋を見つけると、中の水を出し切ってしっかり結び、次の袋の中に入れて結びだんだんビニールの塊が大きくなっていくと、陸に放り投げていた。ホガダの近くのホテルではプライベートビーチにも関わらず、水底に魚のトラップが仕掛けてあったので、しっかり結んで大きくなったビニールの塊を魚の代わりにトラップに押し込んでおいた。
コラヤリゾートホテルを去る日、ホテルのマネージャーに手紙を書いて、毎朝一人の泳げる人にビニール袋を集めるようお願いしたが、手紙がマネージャーまで届いたかも定かでない。
シャーメルシェークはエジプト人の住む町はなく、ホテル街だけのため、そしてここは海が売り物だから、ビニール袋は一度も見かけなかった。