Reiko's Travel 記事と現在の英国事情

在英51年、2020年7月未亡人になって以来、現在英国事情と過去の旅行の思い出を記載。

ロンドン塔のケシの花

2014-09-03 20:33:19 | ロンドン周辺

 

今年8月5日は英国が第一次世界大戦に参戦した100年記念日で、記念行事の一巻としてロンドン塔では陶器でできた真っ赤なケシの花を大戦で亡くなった英国戦士の数だけ植えることになった。5日のテレビのニュースではウイリアム王子とキャサリン妃、そしてハリー王子がケシの間を歩きまわり一本づつ植えていた。7月18日から8月5日までに植えられた数は10万本ほど、死者は888,246人にのぼる。 

 

 

2日後友達を誘ってロンドン塔へ行ってみた。たくさんの見物人で植えられたケシもほとんど正面入口サイドに集中している。窓から流れるように飾ってあるのは血が流れたように想わせる。第一次世界大戦はほとんどがフランスの山野が戦場になった。血塗られた土地に翌年は真っ赤なケシの花が咲き乱れた。それ以来英国では慰霊祭の前には小さな赤いケシの造花が売られ、ほとんどの人たちが胸に花を飾る。

 

 この日から11月11日までに亡くなった人の数だけのケシが植えられる。そこでインターネットでボランティアを募集しているのを知った。

近所の友だちアンのおじいさんはこの戦で亡くなり1週間後にボランティアとして植えてきたという。毎日百名づつの戦死者の名前を読み上げるとの事だった。

私も早速申し込んだものの毎日200人のボランティアに500人の申し込みがあるという。やっと2回目の申し込みで8月30日に参加できることになった。

 

 

朝9時から1時までとのことで早起きし、ロンドン・ブリッジ駅から歩いてタワーブリッジを通り、ロンドン塔に着いたがあまりに早くて誰も来ていない。もう秋の気配濃厚なこの朝は寒くて30分も待っておれない。近くのドックを歩きまわりとうとう大きなタワーホテルにお客のような顔をして入り、お手洗いを使って出てきたら9時近く、老若男女がずらっと並んでドアーの開くのを待っていた。

名前を告げて背中に大きくボランティアーと書かれた真っ赤なTシャツをもらい、貸し出しの庭用ゴム手袋を持って一同ぞろぞろとタワーのお堀を歩いていく。一同は2組に分かれ一組は長さ30cm,50cm,75cmの太い鉄の棒に硬いゴムの輪(ウオッシャーと呼ぶ、)を大小4個づつ取り付ける作業。もう一組は地面に鉄棒を差し込んで箱詰めされた陶器のケシを一個づつ載せて上からウオッシャー一個を載せて留める。

 

 

 私は植える方に回って早速36本は快調に植えたが、チームリーダーが途中からウオッシャーは大小2個をつけるようにと告げまわった。

この大きいウオッシャーが薄いのに固く穴が小さくて棒が入らない。両手親指がじんじんするくらい大変な作業になった。それでも60-70本ほど植えて11時近く、用意されたケシの花がなくなってしまった。

このケシの花はポール・カミンズという芸術家の案になるもので彼のハンプシャー(確かではない)州の作業場では24時間体制で手作りのポピーを毎日送ってくる。このポピーは一個として同じものがない。造るのにも限りがあるから、皆で頑張ればすぐ無くなってしまう。

  

 8月6日に行った時はこの辺りにポピーはほとんどなかったが、この日までに毎日200人づつのボランティアーが頑張っている。11月までにお堀が真っ赤に埋まってしまうだろう。また見に来なければ。

 

 このケシの花は11月11日以降一本25ポンドで売られ収益は4つのチャリティーに寄付される。欲しい人達はインターネットで申し込みが始まっている。全部売れたらいいなーと思うが、これら一本づつを洗浄して包装送付の作業のほうがもっと大変だろうと想う。

親指は2日も痛くて大変だったけれど思い出深い半日だった。

For your tomorrow We gave our today.(あなた方の未来の為に私達の今日を捧げる) この句は慰霊碑に刻まれている。

コメント
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