「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
2011年 日本 125分
■監督:
田中誠
■出演:
前田敦子
瀬戸康史
峯岸みなみ
池松壮亮
川口春奈
青木さやか
石塚英彦
大泉洋
●あらすじ
ドラッカーのビジネス本『マネジメント』を高校野球の女子マネージャーが実践するというユニークな設定が評判を呼び、
“もしドラ”の略称で一世を風靡し空前のベストセラーとなった同名小説を、
AKB48の前田敦子主演で実写映画化した青春ストーリー。
監督は「うた魂(たま)♪」の田中誠。
入院中の親友に代わり、弱小野球部のマネージャーを買って出た女子高生の川島みなみ。
入部早々、甲子園に連れて行くと宣言してしまう。
しかし、マネージャーの仕事を何も知らない彼女は、解説書を求めて本屋に立ち寄り、
勘違いからビジネス本の名著『マネジメント』を手にしてしまう。
しかし、その内容に感動したみなみは、これを野球部で実践してみようと思い立つのだが…。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
つい先日「もしドラ」を読んだばっかりだから、その勢いで実写化された本作も観てみようと思いました。
勢いが肝心ですね。
「もしドラ」の本はビジネス書のコーナーで何かないか物色していたら目に留まり
そういえば昔流行ったなあ。でもあの表紙で読む気しなかったんだよなあ。とか思ってた。
でも100円だから読んでみるかと思って、買ってみました。
内容は軽くて読みやすく、2~3時間くらいで一気に読み終わってしまったので、きっと面白かったのだろう。
まず着眼点と言うか設定にかなり無理があるが、逆にそこがこの小説の強みでもある。
ポイント・ポイントで『マネジメント』の内容が出てきて、その内容を独自に解釈し野球に落とし込んでいく。
その繰り返しが「もしドラ」のキモではあるが、途中からドラッカーの『マネジメント』が
どんなことでも解決してくれる魔法の書になってしまっているかのようなのが残念だった。
あと『マネジメント』で方法を考えつくのはいいんだが、その後それを野球部が実践していくところにもっと深みが欲しかった。
全体的に、
①どうしよう
⇒②『マネジメント』にはこう書いてある
⇒③やってみた。解決
の繰り返しだから、実践している中での気付きとか悩み・苦しみとかが全然描写されていないんだよね。
でもそこが主体じゃないからしょうがないのかも知れない。
さて「もしドラ」の作者はAKB関係の仕事をしていたらしい。
だから実写化でもAKBの子が出てくるのは既定路線なのだろう。
登場人物それぞれにモデルがいるらしく、まず主人公の川島みなみのモデルは峯岸みなみ。だから名前がみなみなのか。
だが本作で峯岸みなみは主役ではなく、後輩の北条文乃役である。
その北条文乃役のモデルは渡辺麻友らしい。ちょっと分からないな。
友達の夕紀のモデルは大島優子。ちょっと篠なんとか麻里子さんとごっちゃになってるな。
そんなこんなで実写化されたのが本作。
原作物の実写化と考えると
これは大合格!
脚本はほぼ原作通りだが、ドラッカーの『マネジメント』部分を解説する時の大仰なデフォルメとかは、逆に素晴らしいと思う。
映画のスタッフが「もしドラ」のキモをきちんと理解していると感じた。
あと決勝戦の描写は原作から二箇所アレンジしているが、どちらも良いアレンジでストーリーをより引き立てている。
その他のドラマ部分もAKB主演のアイドル映画として見れば全然悪くない。
ただ唯一原作からカットしてダメだなと思ったのは、主人公と文乃が仲良くなるプロセスがすっぱり無いこと。
映画だけみると、みなみが最初に文乃に話しかけたら「あの」だけ言われて逃げられる。
その次には何故か二人立ち並んでほかの部員達と会話している。これだとえ、何でってなる。
二人が並ぶ前に、みなみが病室で文乃と会話できなかったと言ってるからなおさら。
みなみと文乃の二人は、折角AKBの二人が演じてるんだからそのシーンは入れといた方が良かったと思うが。
そのAKBの二人だが、まず主演の前田敦子は特別上手くもないが、逆にそれが等身大とも言えてちょうどいいかも。
昔のアイドル映画って大体こんな感じだったよね。
後輩の峯岸みなみは可愛いと思った。ただ単に好みなだけかもしれないが(笑)
しかし映画の中では割と空気に近かったかな。でも原作でもあれくらいか。
夕紀役である川口春奈は、この時演技が絶賛されていただけあって上手だなと思う。
顔立ちも綺麗だし女優って感じ。女優一人とアイドル二人の組み合わせって感じだね。
川口春奈は今放送している朝ドラ「ちむどんどん」にも出演しているが、この朝ドラは本気で脚本がヒドイ。
現実を全く知らない・調査しない人が何も考えず、”適当に受けそうな単語”のスパイスを振りかけ
「お前らはこういうのやっとけば感動するんだろ」的に、圧倒的に観ている人を馬鹿にしている感じが話から滲み出ていて
受け付けないと言うか、許せない。
そしてつまらない。
とまあそんなことはさておき、本作の脚本に文句を付けるのはお門違いだ。
ほぼ原作通りだからね。
なので原作が面白いと思った人は観ても損はないと思う。
全体的に話のボリュームを圧縮し過ぎ。倍の時間掛けてじっくり描いた方がとも思えるが
それは原作も同様なので、原作通りに実写化しているのでしょうがない。
劇場公開時に大コケと言われているが、内容は別に悪くないと思うよ。