放送開始当初注目した『愛讐のロメラ』についても、最終話までに1~2回は触れておかなければと思っていたのですが、12月に入って一再ならず録画はしたものの、『相棒』旧シリーズ再放送の波に押されて、まぁー再生の手が伸びない伸びない。こんなに“先が気になる気持ちを起こさせない”連続ドラマも珍しい。
“点と線と面”の喩えで言えば、登場人物それぞれ、各場面ごとの情念は、怨恨であれ肉親愛であれ近親憎悪であれ、この枠の昼帯ドラマにふさわしいテンションにじゅうぶん達していたと思うんです。悲しいかなその場面限りの“点”で、後に線を引いて行かない。これは俳優さんの役読み込み、表現力の頑張りと裏腹に、どう考えても脚本が希薄だったんでしょうね。特にうじきつよしさんは、これがTV代表作になるかも…と思うくらいのコンプレックスキャラ熱演だっただけにもったいなかった。
いしのようこさんの“哀傷薄幸風味だけど屁理屈上等”な映子や、“雑草の花、でも大輪”な北原佐和子さんの恵もとても味わい深いキャラだったけれど、単発の瞬発力だけで終わった感。
アイドル性をじゅうぶん容姿にとどめながら、発声や目線の切り方の隅々に昼ドラ汁(じる)が濃厚に滲み込んだ、いしのさん北原さんたちを母世代脇役に起用したのもアンラッキーにはたらいたか、いとうあいこさんの珠希はヒロインなのに、最後まで影が薄かった。今日(26日)最終話を観て思ったのですが、字ヅラ通りのヒロインとしてウォッチせず、脇扱いの加賀見家とその周辺の人々の情動の触媒となる、『金色の翼』の修子のようなポジションを念頭に置いて、最初から見ていればよかったのかな。
ここら辺り、どうしてもヒロイン姉妹より親世代の吉田栄作さん石田ひかりさん鈴木砂羽さん、さらには夏八木勲さんと藤村志保さんらの潜在メロドラマ部分に興味が行ってしまう『だんだん』と似たジレンマがある。
2008年の日本TVドラマ界、何だかんだ言っても華と重みのある、TVのこちら側の大勢の視線を集中せしめ得る、見映えもまだまだイケる役者さんたちが、軒並み“親世代”なんですな。皆、老けなさ過ぎ。て言うか現役青春世代小粒すぎ。
今作、07年『愛の迷宮』に続いてコーニッシュさんの音楽に本格的に嵌まる契機になるかも…と思って、そこをいちばん楽しみにしていたのですが、ドラマ体温が右肩下がりに冷めていくのと軌を一に、音楽も、決して悪くなかったのに食いつきどころなく終わってしまいました。縁のないときは、クォリティとは別にこんなもの。次に“耳で会える”機会を待ちましょう。