イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

熱湯コマーシャル

2008-12-07 16:57:13 | 朝ドラマ

『炎神戦隊ゴーオンジャー』1130日放送のGP41ではゴールド大翔(徳山秀典さん)の、メットオン封印した華麗な生身アクションと、日頃の(ときどきズレた)クールっぷりとギャップ大なヘン顔が見どころと思いきや、ストーミーワールドからガイアークにさらわれてヒューマンワールドで孵化しちゃったワメイクルの造型もなかなかよかったですね。お子さんたちが大好きなピンクとイエローを基調に“キモかわいい”を強調して、「ガイアークに利用されただけで、本質敵性はない」を示し、成長・凶暴化態でも“怖いというより、どっか笑っちゃう”という持ち味をうまく立体化していました。

127日放送のGP42は、一転、シルバー美羽(杉本有美さん)の、怪しい高校潜入捜査→セーラー服コスプレが見もの。アニ大翔もゴーオンゼミナール解答篇でシンクロしてくれてましたね。こちらは『轟轟戦隊ボウケンジャー』のチーフが“30戦隊大全集”で披露したときのそれほどじゃないけど、かなーりトウのたった高校生ではありました。

気がつけば今年のヒーローたちの姿を見られるのも、仮面ライダーは来年1月中旬、戦隊は2月前半までですからあと数えるほどの話数しかないんですね。ネット上では既にそれぞれの次期作品の情報も少しずつ出回ってきていますが、先取りチェックはもう少し封印して、現行作品の終盤への熟成進化に集中したいと思います。

『ゴーオン』はゴーオンジャー、ゴーオンウイングスメンバーの強化より、ヨゴシュタイン様亡きあとのガイアークの逼迫ぶりのほうがちょっと心配になりますね。害地目蛮機獣が事実上絶滅(?)状態だし、GP40でサムライワールドから雷雷剱、獄獄丸の容喙を許したかと思えば、41ではストーミーワールドのワメイクルの泣き声パワーに目をつけて拉致してくるという、何やら某民主主義人民共和国の工作部隊みたいな姑息な戦法に出て、しかもその卵を紛失してウガッツに川浚いさせてる始末。

GP42に至っては、マジックワールドの魔法の杖を拾ってひそかに解読を進める変人高校生・湯島くん(森廉さん)を協力させようと、ケガレシア様(及川奈央さん)みずから再び汚石冷奈(けがれいし・れな)に変身して、保健室の養護教諭になりすまし湯島くんをだまくらかすという、他力本願にもほどがある作戦。ヘルガイユ宮殿にひとり残されたキタネイダス様「ひとりのトランプも地味ゾヨ」と哀愁背負っちゃってました。次週GP43で参入する新大臣に期待したいところですが、故・害地副大臣ヒラメキメデスも、アレルンブラ家のニゴール王子も、参戦前は正統派の凶悪(?)そうに見えたのに、ガイアークと盟するととたんにおもしろ風味になっちゃうんですよね。

ガイアークの、敵組織としてのこういう怖くなさと言うか、ヨコシマなキュートさと言うか、なんとなく、ヒーロー側のゴーオンジャー自体の、いい意味の“ゆるさ”とナイス調和なのかもしれない。

最近の戦隊でしっかり見たなという自覚があるのは『デカレン』『マジレン』『ボウケン』の3作なんですが、中では『ゴーオン』がいちばん“職業性”“逃れられない宿命性”の重圧が少なく、辞めようと思えば辞めやすいヒーローな気がするんです。

モーターレース会場でのウガッツ襲撃現場で“人命を助けるためなら自分が率先して危険を買って出る勇気”をボンパーくんに見初められてスカウトされたレッド、ブルー、イエローに、グリーンとブラックに至っては「ドキドキしたい」「オレのほうがヒーローにふさわしい」と“自薦”。「オレ疲れたし、もっと勇気あって戦闘能力高いヤツ見っけたから代わるよ」と申し出ても、ボンちゃんが「ボンボン!」と一瞬慌てるだけで、炎神たちは「そうか、残念だけどもっといい相棒が来るならそれもいいだろう」「いままで組んでくれてありがとな、元気でな」と温かく認めてくれそうだし、脱退後も一般人として、メンバーと交流できそうなんだな。

『マジ』なんかは、両親が魔法使いということで思いっきり代替性のない血縁宿命戦隊だったし、マジレンジャー=魔法使いとして活動していることを一般人に知られてもいけないという厳しい戒律のもとにあったわけで、彼らに比べるとゴーオンジャーは比較のしようのないくらい自由意志に根ざした、風通しのいい戦隊です。

宿敵ガイアークの、邪悪だけどどっか底抜けな可愛げありありっぷりは、ヒーロー側の自由さ、重苦しくなさとの好一対とも言えます。

そもそもガイアークが標榜する“もっともっと環境汚染”だって、外っ側から災いとして理不尽に降って来て人間を苦しめているわけじゃなく、そもそも人間自身の行き過ぎた産業技術発展や無節操な利潤追求がもたらしたものなので、“自分で自分の首を絞めている”という人間の間抜けさの象徴の、エッセンスを具現化した存在がガイアークとも言える。

つまりガイアークは、いくら戦略計略に打ち込んでヒューマンワールド汚染を企てても、企てれば企てるほど本質的に“マヌケでナンボ”という組織なのでした。

それにしても、高校潜入する美羽のために大翔が持たせた秘密武器がヨーヨーって、大翔は『スケバン刑事』ファンだったのか。斉藤由貴さん版は85年、南野陽子さん版は86年、浅香唯・大西結花・中村由真さん版は87年放送。大翔、年いくつだ。年代合ってるのか。DVDで見た可能性もあるか。

こんな“年代遠近法崩壊”の瞬間を最近TVで他にも見たな…と思ったら、『だんだん』の松江のお祖母ちゃん・初枝さん(三林京子さん)が、ボクシング復帰を決心してトレーニング再開した忠(吉田栄作さん)を心配するあまり、「ロープに頭をぶつけて、力石って人が死んだんだが」と口走って嘉子さん(鈴木砂羽さん)に「…マンガですが」と絶句されてましたな。『あしたのジョー』の力石徹と言えば団塊世代のヒーローですが、ドラマの2001年時制で60代中盤に見える初枝お祖母ちゃん、忠さんがボクサーに憧れて大阪に飛び出した頃、息子の本棚で見つけてこっそり読みふけっていたのかな。

この辺り、人物の設定どうこうより、脚本や製作のスタッフさんの嗜好、愛すべき偏愛ぶりが垣間見えて興趣尽きません。

コメント
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