★福島原発問題の初期、『海水注入』の問題が昨日の新聞には大きく取り上げられた。
朝日新聞は、主観をまじえずに、事実関係をこのように伝えている。
(朝日新聞のデジタル版、リンクを貼ってもお金を払ってない人には見れない仕組みとは知りませんでした。それとも、見えてるのですかね?)
その大要はこのように述べている。
『東京電力福島第一原発1号機の海水注入問題で、一時中断したと説明してきた海水注入を、実際には中断せずに継続していたと発表した。国会でも追及された問題が根底から百八十度くつがえされた。
「首相の了解が得られていない。議論が行われている」との状況判断で協議し、注入の中断を決めた。
吉田所長は、「事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何よりも重要と判断して継続した」と説明。新聞や国会で問題になっているうえ、国際原子力機関(IAEA)の調査団が来日したこともあり、事実を打ち明ける決意をしたと話しているという。
事故時の注水は発電所長の判断で基本的にできることになっていた。
吉田所長の注入継続の判断について、武藤栄副社長は「現場の安全を考える上で技術的には妥当な判断」と評価した。
だが、その後、長期にわたって事後の報告をしていなかったことから、東電は吉田所長の処分を検討している。 』
というものである。
★ 『海水注入』という判断は正しかったが、本社の指示に従わず、報告もなかったので、処分を検討していると言うのである。
直ぐに『海水注入が再開』されたことを見ても、その判断は間違いなく正しかったのである。
この問題は、政府や東電もさることながら、地域住民が直接被害を受けるような問題なのである。
戦略、戦術、戦闘のどの段階であったかと言えば、まさに戦闘の分野であり、専門知識もあり、現場を熟知している現場指揮官の判断が最優先されて然るべきである。
のんびりと東京で、戦略、戦術論を展開している段階で無かったことは事実である。
でも、現実の問題としては、東電の処置もなかなか難しい。
処分もせずにいると、必ず『何もしない』『管理統率が出来ていない』と言うに違いない。
★同じ新聞だが、産経はちょっと違った取り上げ方をしている。
原子力委員会の専門委員で独立総合研究所の青山繁晴社長の話として
『「あの官僚主義から抜けきれない東電にあって、気骨のある人物。現場を知らない本店に口答えをするのは責任感の表れだ」
事故後、現場にとどまって指揮を取り復旧作業を支えてきた。
本店や原子力安全・保安院とをつなぐテレビ会議では、本店側に「やってられねーよ」と発言し物議を醸したことも。』
などと伝えている。
●そんな吉田所長の肉声も聞かれる、You Tubeがあったので、興味のある方はお聞きください。
★ いろんな見方があるのは当然だが、
実際のこの問題を処理するのは、東電としても、難しいだろう。
どのように処置しても、世のマスコミや評論家は、いろいろと理屈をつけて文句を言うのは、目に見えている。
ちゃんとした具体的なリーダーシップも発揮できない政府も、こんなことだけにはもっともらしいコメントを発表する。
この際の最善の解決方法は、
菅総理が自ら、
『総理の了解』がないことで、一時中断を指示したのだが、、
『吉田所長がそのまま海水注入を継続したことは、現場所長の判断として最善であった。』
と言えば、みんな解決するのである。
吉田所長を処分してみたところで、現実に何の改善にも、解決にもならないのである。
幾ら議論しても何の役にも立たない、後味の悪さだけが残る解決方法になってしまうのである。
★自分の意見や指示を撤回することもまた、リーダーの資質の一つだと思う。
全然、話は違うが、大阪の橋下さんは、『鳥取の6人の議員発言問題』をこんな風に謝って解決している。
いつも思うのだが、橋下さんの『謝り方』はいつも爽やかで気持ちがいい。
これもリーダーが持たねばならない資質の一つだと思う。
堂々と持論を言うのはいいが、間違っていると思ったら直ぐ謝ればいいのである。
間違ったことを幾ら弁解したり、頑張ったりしていても、ややこしくなるだけで、何の解決、前進にもならないのである。
吉田昌郎所長問題、どんな幕引きをするのだろうか?
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