東京国立博物館の「仏像展」へ行った。
木造、一木作りの仏像ばかりを集めた。(神像も1躯ある)
真冬の寒さと雨模様の悪天候で、落ち着いて鑑賞出来ると思っていた。
誰もがそう思っていたらしく、平日というのに、大変な混雑だった。
入場制限で会場の「平成館」に入るのに40分もかかってしまった。
会場内も大混雑で、鑑賞どころの話ではなく、黒山の人だかりを押し分けての「見物」だった。上に掲げたパンフ(これ、通勤電車かね)どおりの雑踏だった。
殆どが高齢者で、パンフの仏様に似ていなくもないな。
会場は人いきれでむんむんして、滞在1時間が限界。
新聞社の後援が付いた展覧会は着脱し易い服装で行かねばならない。
パンフと異なり、仏像の展示方法が素晴らしく、お寺に行って拝観するよりずっと見易い。
説明も、高い場所に大きな字で書かれて、分かりやすかった。
何よりも、これだけ多くの木造の仏像が集まるのは画期的。
仏像は、夫々優美、豪華、雄渾、静寂、躍動.........。
古色を帯びた木肌が素晴らしく美しかった。
一番気に入ったのは、滋賀県向源寺の十一面観音菩薩立像。
この仏像は特別待遇で、周囲から(混雑していなければ)じっくり拝める。
体躯はしなやかで、表情は魅惑的。
しかも、堂々たる迫力がある。
次ぎは、唐招提寺の持国天立像。
対になる増長天の方が動きは無いが、存在感がある。中国人の仏師が彫ったそうだ。
持国天は日本人が彫ったと説明があるから、持国天像を支持する。
踏んづけている餓鬼が何とも愛らしい。
三番目は、奈良県秋篠寺の十一面観音菩薩立像。
彫が実に丁寧だ。お顔は怖い。
円空、木喰作の仏像を、群像として展示した一角も良かった。
身の丈3~40センチの仏像も、よく見えなかったが立派だった。
こういう優れたものを見ると、ご先祖は立派だと思う。
最近亡くしかけてる愛国心が涌いてくる。
ここまでが褒め言葉。以下嫌味。
会期は2ヶ月あった。(12月3日まで)
今更どうしようもないが、これだけ人気があるのだから、延長出来なかったものか。
もっと、落ち着いて鑑賞したい。
仏様にしたって、暗いお堂に鎮座していては退屈。
都会に出た方が、迷える衆生をより多く救済できるのではないか。
夫々の仏様の前に賽銭箱を置いたっていいと思う。
そうすれば、お寺も会期延長に同意するかも、なんて勝手な空想をした。
特別展の入場料は1,500円で、高齢者割引なし。
都や川崎市・三鷹市などは割り引くが、国は無しだ。
来春東京・京都・奈良・九州の国立博物館が常設展の値上げをする。
これだけ混雑するのだから、特別展は3,000円でもいい、と考えるお役人が出ないことを仏様に祈ろう。
入館料を値下げして、優れた文化遺産を安く見せてくれ。
高齢者は除外しても、若年者割引はやるといい。
愛国心、向上すると思うよ、安倍さん。