山の上にある慈光寺へ行く参道には、桜の希少種を植えてあるそうだ。
役場の特製地図によると、①御車返(みくるまがえし)はJR八高線明覚駅前で、②は当たり前の染井吉野である。
参道は③河津桜で始まり、④霞桜、⑤南殿⑥陽光⑦思川桜と続き、鬱金(うこん)、朱雀、紅時雨、普賢象など凝った名前の桜が全部で42種類。染井吉野から山桜までを含めれば合計500本を超えるらしい。
しかしわれら三案爺が上った参道には、全く咲いていなかった。だいいち桜がまだ幼木段階で、咲いてもなぁ.......。
品種名を達筆で大書篆刻した大層立派な立て看板が、位牌の見本みたいに異様に目立つだけだった。
開花しない原因は高地で寒いだけでなく、桜としては場所を確保するために、花より成長を優先しているのかも。
満開の桜並木を存分に楽しめるのは、まだ十数年先のことだろう。死んで堪るか。
坂道を独りで下りてくる上品な初老の夫人が挨拶してくれた。下の村まで買物に行くそうだ。
立ち話のあと坂道を大分上ると、林の奥に別荘風の洒落た家が数軒ある。お近付きになり覗いてみたいね。
坂道は匠さん、うさじぃ、そして森生の三爺が並ぶと一杯になる狭い舗装道路である。
途中、車には全く逢わず、鶯も沈黙するほど賑やかに歩いたので、案外楽だったのは幸運だった。
都幾川村慈光山歴史公苑の開花状況は「ときがわ花めぐり」をどうぞ。
大橋巨泉氏が永六輔さんのラジオ番組で話したこと。
東京の桜の満開が、温暖な伊豆より早いのは、排気ガスで都心の温度が高くなっているためだ、と。
なるほど。わが高麗の里やここ都幾川村の開花が遅いのは、空気が澄んでいるからなのだ。
写真は、全国の桜を集めた森林総合研究所多摩森林科学園の絵葉書のほんの一部を転写しました。
上から、狩衣・御衣黄・白山大手毬・楊貴妃・天城吉野・福禄寿・思川桜です。
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