NHK特別番組「終の住処はどこに・老人漂流社会」を見た。
見たくはなかったが、現実を知らなくては間近な分れ道で、適切な選択ができないので見た。
内容は想像どおりの暗澹たる状況だった。だれもがこういう状態に堕ちる恐れがある、と思った。
今、高齢者が自らの意思で「死に場所」すら決められない現実が広がっている。
一人暮らしで体調を壊し、自宅に居られなくなり、病院や介護施設は満床で入れない「死に場所なき高嶺者」は、
短期入所できる施設を数ヶ月おきに漂流しなければならない。
超高齢社会を迎え、一人暮らしの高嶺者は今年500万人を突破する。
「住まい」を追われ、「死に場所」を求めて、漂流する高齢者が溢れ出す異常事態が、既に起き始めている。
日本は今、東京オリンピックを誘致するどころではないのである。
番組中、意外なところがあった。
80代になっても働いていた元運転手は5年前に妻に先立たれ、体調を崩し、一人で生活できなくなった。
現在は8万円の年金に生活保護費を加え、施設を転々としている。
住み慣れた町営住宅も整理すると、手元に残ったものは妻の遺骨と位牌。他には残高14万円の通帳だけである。
身体は利かないが意識は正常である。
最後(と思われる)転居に際し、行政職員が終末医療について本人の意思を確認した。
延命治療を望まず自然死を希望するのかと思ったら、驚くべし。なんと、最後まで治療を希望したのだ。
もちろん希望は記録されたけれど、そういうものかなぁ、と感じ入った。
医学の際限の無い進歩は考えものである。
僧侶、神父牧師など宗教家は人間の最期について、もっと語るべし。
再放送は23日深夜、つまり1月24日(木)0時25分~1時14分です。
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