「徒然草REMIX」に続き「枕草子REMIX」を読んだ。これも頗る面白い。
枕草子を一旦ばらばらに分解し再編集して、清少納言の真の姿に迫るのは徒然草と同じだが、こちらの方が先に発売された。
作者の随筆家・酒井順子さんは、千年前の清少納言を自分と同い年のキャリアウーマンと見做し、いたく共感している。
そしてここでは清少納言と酒井順子が、架空対談をする。
話題は男・女同士・ブス・夜・下種・老い・覗き・お洒落・友達ほかである。
二人はホンネ丸出し。清少納言は貴族のお嬢様だから品格を保とうとしていても、下種の出身の順子さんは何かとアケスケ。
清少納言に「尾籠ねっ」とたしなめられたりする。
酒井順子さんは先輩・清少納言を、
自分をあくまでも客観視しながらも、露悪的ではない視線を持っている。
単なる閨秀ではなく、一筋縄ではいかない、侠気に溢れた、純情で、女心を知り尽くした、友だちは多いが孤独な女である。
そして枕草子は、女子校的極私的回覧雑誌である。
としている。
「原文で読んでみよう」という頁が多い。
始めはちょっと腰が引けるけど、各行の脇に添えた意訳がイマ風で鋭く、機知に飛んでいて笑える。
末尾に清少納言の外出先を追体験する「枕草子観光」が載っている
行き先は清水寺・下鴨神社・逢坂の関・伏見稲荷・長谷寺・石清水八幡宮・船岡山・鞍馬寺・泉湧寺など。
このはんなりとした小さな旅も、目の付け所が結構面白かった。
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