林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

桜はまだかいな

2008-03-31 | 林住期

 下界では満開とか。桜はまだかいなぁぁぁ......

今朝は氷雨が降っていて、心は晴れない。
桜がなかなか満開にならない、と不平を並べたら、楽しみはこれからでいいじゃないか、という慰めのお言葉を頂いた。

でもね、あと4~50年で高貴高嶺者になる森男に希望の明日はあるのだろうか?
猫額亭の滅びゆく片栗(かたくり)の花を見ると、悲観的になる。

 

丘の上公園の奉仕作業とその後のお花見の宴会に申し込んだ。
公園の大斜面は淑やかな山桜と、白い花が美しい大島桜が林になっている。
ここまで満開が遅れたのなら、いっそ、その日まで遅らせて欲しい。
この寒さで風邪ひいちゃまずいな。

 

   あしたも無事に
   生きられますように・・・・・・

暦を見ながらしんみりと、そう念じ、昼寝をします。

▲片栗の花は27日撮影。
挿絵は五味太郎先生作「08年暦」絵本館刊と山藤章二シールより。


ゆすら梅

2008-03-31 | 庭いじり

 梅は咲いたが桜はまだかいな、である。
一方、桜そっくりの「ゆすら梅」が咲き始めて見事である。

 

ゆすら梅は潅木だ。挿木でも実生でも簡単に増やせる。
しかも、初夏にはルビーのように赤い実をたわわに付け、味はぐみよりも甘い。

真夏に何故か落葉することがあるけれど、性質は至って強健。
行政は街路樹に染井吉野を植えるが、ゆすら梅の方がずっとマシである。

昨日今日は股引が必要な寒さになった。
そういうわけで、ここ高麗の里はそう易々と桜は満開にならない。

.........のだが、町を歩いていたらもう桜が散っている!
見上げてもあんまり咲いてないのに。

 

これは月代を伸ばした愚連隊、鵯(ひよどり)メの仕業であるな。

桜の花には蜜があり、甘いものが無かった子どもの頃は椿、桜、躑躅の花芯を舐めた切ない思い出がある。
鵯メは今頃になって真似をしやがって、せっかく咲いた桜をついばみ、落とすのだ。わが猫額亭庭園の枝垂れ梅「月影」も鵯の食害があった。

「ゆすら梅」は中国原産。あちらでは果樹栽培され「桜桃」という名前で、日本で桜桃はさくらんぼのことである。実はさくらんぼより柔らかい。
「ゆすら」は朝鮮語起源とか、揺さぶって実を収穫するとか、諸説がある。

ゆすら梅の赤い実は隣の姫たちと鵯が取り合って、地面に落ちることは無かった。


ひとりしずか

2008-03-30 | 庭いじり

 

 一人静(ひとりしずか)が咲いた。勢揃いで。

名前は義経夫人、元白拍子の静御前の舞い姿を連想して付いた、とか。

      賤(しず)や賤 賤の苧環(おだまき)繰り返し
                            昔を今に直すよしもがな........


静御前は義兄に当たる源頼朝の命令で歌い、舞った。その時の歌詞が不適切で源頼朝を激怒させてしまい、義姉の政子夫人のとりなしで.......、という話はうろ覚えの歌詞を確認する際、偶然見つけた日舞の西川矢右衛門師匠作「メヽスノ舞日」が読み易く分かり易く、面白く、為になる。

とにかく、愛する静御前は頼朝公なんかてんで平気。強かった。
名前を貰った一人静も見かけによらず強健である。

20年も前にポット苗を地植えにし、暫く大切にしていたら、やがてそこいら中に蔓延ってしまった。
普通、日陰に適していると言われるので、少し懲らしめてやろうと一株を日向に移植したけれど全然平気。
まだ新芽で愚図愚図している杜鵑(ほととぎす)、蛍袋(ほたるぶくろ)、紫蘭(しらん)を圧して、堂々の開花である。

ひとり静かどころか、群舞している今日この頃です。

♪「メヽスノ舞日」は右から読んで下さい。
炭坑節の森男は左から読んで、暫く間違いに気が付きませんでした。

なお、静御前が舞ったといわれる「舞殿」は鎌倉鶴岡八幡宮にありますが、
営業の為に玄関を増築して、面影をブチコワシております。


花便り

2008-03-29 | 高麗便り

 

 関東地方は桜が見頃になった、と気象予報士どもははしゃいでいるが、地の果て高麗はまだちらほらである。

そんなわけで、桜の満開を写したいところだが、熱い吐息を吹きかけても、咲かないものはしょうがない。家康でゆくしかないや。

そこで今日のところは、花盛りの辛夷(こぶし)と雑木林の新芽準備風景で代用します。

 
 

.......というか、実はマイピクチャの蛸足フォルダがシッチャカメッチャカ。
整理整頓してたら、もう訳が分からなくなってしまった。ごみ箱行きも多々あ痛っ。
デジカメに付いて来た画像管理脳味噌は「応答せず」を繰り返す。
もう頭、パ~ですぅ。寝るしかありません。
明日は明日の風が吹くだろ。


改装工事

2008-03-29 | 林住期

 

 薄い壁の向こうで戦争が始まった。台所の改造工事がいよいよ開始である。

事前に背広の社長さんが来たのは、森男の呆け具合や代金回収が心配だからだろうな、と僻んでいる。

三日前から食器類の避難を始めた。
なんと言う不要品の多さか!
お祝い金の代わりに若い人に上げようと思うが葬式ばかり続いている。結婚式なんか聞いたことが無い秋の夕暮れ。
嗚呼、ニッポンはガラクタに埋まった爺婆だらけになるのだろうか。

森男はそろそろ店仕舞い。しかし在庫品の処分は一向に捗らない。
とりあえず2階に持ち上げたので猫額亭は少し傾いている。

日常使う食器や調味料は台所の食器棚に残して置いたら、埃除けで完全に封鎖されてしまいお茶も飲めない。
お茶室から思庵へ行くには、一旦庭に出てから通ふことになった。

侘び寂び暮らしに慣れてはいるが、いま地震が来たら不用品の下敷きになる。
今夜は庭先で、桜の蕾を見上げながら寝なきゃあかんな。助平猫どもめ、驚くなよ。

と、一寸した従軍記者気分で「林住記」を書いている。

▲挿絵は五味太郎画「そうだ物置を書斎に改造しよう」(08年暦・絵本館刊より)。
なお、思庵とは我が猫額亭の厠のことです。


ピンぼけ

2008-03-28 | じゃじゃ馬馴らし

  1

 (何にもなし)→スポット/マクロ オフ→スポット測光→マクロ→スポット+マクロ→(何にもなし)→とグルグル回るんでした。

始めからそう書いとけ。ウチのデジカメには出来ない、と思っていたぞ。
取説に書いてある? 
.......ご尤もでした。

ただ、スポット/マクロオフを次のスポット測光に進めるには、どうも気合が関係しているらしく、何回ボタンを押しても進まない時もあれば、素直に進む場合もあって生意気である。

  2

ところで、「スポット測光」の説明がない。
「スポット」、「マクロ」、「スポット+マクロ」の三つはどう違うんだい?

老眼鏡をかけても見えないし.......。しかも直ぐ消えてしまう。
それに、つい「QuickView 」ボタンを押してしまい、液晶がマックロになる。

  3

そんなことでウダウダと艱難辛苦の末、猫額亭庭園のぼけ(木瓜)の花々をマクロして見ました

ナヌ、ピンボケだぁ? 
........................
あなたの目がボケてますっ。ふんっ

  4

1.市内古刹で庫裏新築の邪魔になり、根を貰ってきて、芽吹かせた木瓜。黒い赤が印象的。
2.実家の庭から根を切ってきて、芽吹かせた木瓜。淡い鴇色が優雅。
3.百貨店屋上で買ったポット苗が大きくなった「東洋錦」。赤、白、縞に咲き分ける。
4.所沢の造成地から根を切ってきて、芽吹かせた「草木瓜」。踏んでも切っても大丈夫。

○偽庭師として
上記のように3以外は「根伏せ」で増やしました。木瓜を増やすにはこれが一番確実です。
地上部分は殆ど残さず切り捨て、根を地中に埋めておくと、夏に新芽が出てきます。
枝や葉があると、枯れてしまう場合が多くなります。
時期は1月中が適期です。来年お試し下さいね。

追加。

実は、ボケが始まったなぞとご謙遜の「緑の惑星」さんのブログに打ちのめされました。
ボケるならこうありたい見事な木瓜の写真です。


ラ・クンパルシータ

2008-03-27 | 歌の翼に

 

 フリオ・イグレシアスのCD「TANGO」は残念作である。
チャッ、チャッ、チャッと心地のいい調子でタンゴを歌うのかと思いきや、伴奏がシンセサイザーなのでガッカリだ。

シンセでも富田や宗次郎ならそれなりに素晴らしいが、このCDの場合、音がモヤモヤとして誠に歯切れが悪く、本場アルゼンチンタンゴのギラギラした情趣が無い。
バンドネオンだけは本物を使っているようだが、あとは全てシンセの音で、フリオともあろうものが、伴奏楽団の人件費をケチったな。

 「LA CUMPRSITA」 マトス・ロドリゲス作曲 
                 エンリケ・マローニ/バスクアル・コントゥルシ作詞
                 高場将美対訳

   おまえに知って欲しい 
   私の魂には まだおまえのために抱いていたあの愛情が
   生き続けていることを......
   きっとおまえは知りはしないだろう
   ただの一度もわたしがおまえを忘れたことがなかったことを
   過去を振り返れば おまえもわたしのことを思い出してくれるだろうに.......

   友達はもう ただの挨拶にも訪ねてこない
   つらいわたしの悩みを だれも慰めてくれようとはしない......
   おまえが去っていった日から わたしの胸は痛むばかり
   おんなよ 言っておくれ わたしの哀れな心におまえは何をしたのだ

   (以下始めの「おまえに知ってほしい.......」と繰り返す)

「ラ・クンパルシータ」とは「小さな仮装パレード」の意味の由。
曲が先にあり、詞を後から付けて編曲し、舞台劇で使って人気沸騰したそうだ。

上は直訳らしく、こなれた訳詩じゃありませんね。だいいちシンセの伴奏に乗らないや。
だから意味も発音も分からないけれど、原詩のままフリオと合唱すると、森男もイイ男になった気がして陶然とします。うふふ。

なお、フリオの「TANGO」の全12曲のサワリが試聴が出来る。
他に「CAMINITO(小道だったかな)」がいいけれど、お暇だったらお試しあれ。

 

ところで、
①CD箱の裏側の写真で、お姉さんの左足が無い。
  どこにあるのかダンスがお仕事の「勿忘草」さん教えて。
②フリオの顔写真はキザ。冒頭の写真は海外旅行パンフから転用しました。


♪しつこいアンコール♪

フリオに以上の歌唱力を持つ菅原洋一さんの場合は、加茂六郎訳詩で。

   去りにし面影よ
   今宵もまた胸にせまりて
   悩ましくくるえる
   わが骸はてなく
   さまよい歩みゆく
   たのみなき心に我は泣きぬ

     君よ今いずこ
     町の酒場の灯に
     涙してたたずむ
     あヽひと時
     今はうつろなる
     恋し君しのび
     せめて今宵 踊り明かし
     悩み忘れん

       涙を隠して
       ほほえみ踊れば
       いとしの面影
       わが胸にかえる
       赤きバラの酒
       飲みほし歌えば
       甘き恋の日ぞ
       しのばる

アウフレッド・ハウゼ管弦楽団の伴奏で歌う菅原のタンゴ特集は、
贅沢で優雅なコンチネンタルタンゴに変身して、悪くはないが、訳詩が古過ぎ。


クロッカス

2008-03-26 | 庭いじり

 

 庭に黄色いクロッカスが咲いている。

「ガーデニング」のようなウジャジャケタ趣味は無いが「庭弄り」は好きだ。
どこのお宅もカタカナフラワーが氾濫しているけれど、洋花は厚かましく、しつっこく、風情が無いね。

洋花は花だけ豪華である。なにかと八重咲きに「改良」してしまう。
花は植物にとっては生殖器でしょうが........。
そんなに見せびらかすのは、はしたない、といふものです。

そこへゆくと洋花クロッカスの可憐さはどうだ。

特に、黄、白、青など単色一重咲きが好ましいが、秋に園芸店へ行ってもそういふものは見当たらず、改良型ばかりになった。

クロッカスには豪華絢爛は似合わない。
今のままの素朴がいい。


三人与作

2008-03-25 | お節介

 
 
     ▲地面の緑は草ではなく、枝葉を切り落として細かく切った「葉っぱチップ」です

 雑木山の作業に仲間が一人加わってくれた。
作業中に声を掛けられ、どうせ冷やかしさ、と思っていたら、樹木の知識は森男を遥かに超え、温厚な紳士である。

一緒に、と誘ったら早速取って返して、また現れたときには立派な樵姿。
作業はテキパキと、これも森男以上。

この雑木山で作業をする樵心得は3人になった。
自然に3人になったもので、互いに、面倒な会員組織にするつもりは無い。
作業をする日も時間も場所も、夫々の勝手。

まだまだ、ヒサカキの常緑の密林を伐採している。
多峰主山が見えてきた。

  


アタシも開花宣言

2008-03-24 | 高麗便り

 

 さくらサンばっかりちやほやして、やれ咲いたの、まだ咲かないの、と騒いでるけど、アタシはもう咲いたわよん。
藪が切り払われて急に明るくなったので、調子、狂っちゃったみたい。

とイジケタ山躑躅(やまつつじ)が早くも開花宣言。

来年は雑木林を真っ赤にしてやるわ。

と日陰にいたその他大勢の山娘たちが言っている。
この雑木山には山桜の大木が何本もあるが、山躑躅も負けていません。

 

▲マクロ撮影が上手く出来ません。デジカメが悪いんです。


入るもんか

2008-03-24 | 風に吹かれて

 

 胃袋が小さくなっても湯葉蕎麦だけでは腹がクウクウと催促する。
それで、丸善の荘重な食堂で「早矢仕ライス」を食うことにした。
味は屋上食堂の時と変わらないようだが......。

早矢仕ライスは所詮ハヤシライス。確かに美味いが、冷凍だって美味いさ。
屋上の牧歌的なバラックレストランで、狭くて順番待ちの行列が出来た早矢仕ライスが懐かしい。

新築開店大丸の食堂街は「TOKYOコンテンポラリーゾーン」、と嫌味であるな。
多くの店はゴツイ壁を巡らし店内が全く覗けない。きっと厚い壁の内側でヨカラヌコトをやってるに違いないね。

深川不動前の京都「遠為」でさえ、たかがお茶漬けの癖に偉そうな店構え。

目に星値段の「巨匠ブラッスリ」は入口から少~し店内が見える。
でも、入るには嫌でも財布を点検させられる。
メニュでは夕飯が確か525円と格安だけれど、字が小さ過ぎるますっ。

入ろうとしたがハヤシライスの余韻がある。
それに、同行者が2偏屈さんでは不足だし、家では埼玉懐石料理が待ってるし......。
入るもんかぃ。

近頃の食堂街は昼間っから暗く閉鎖的。通路に追剥が出没してもおかしくない。
どなたでもご利用いただけます、ったって手が制止してる。

▲写真はいずれもイメージです。
大丸さんの食堂の名前は忘れたので、仮名です。


抽象には妄想で

2008-03-23 | 色めがね

 

 何気に入った「ブリジストン美術館」は大当たりだった。
常設展は名画傑作目白押しの贅沢さであり、空いていて絵がよく見られる。
入館料は高嶺者割引で600円。うどん以下です。

展示室は小さく、天井は低く、わが猫額亭の居間に名作を集めた感じ。
遠くからも、顔を近づけても、じっくり鑑賞出来る。
警備員も、あくび姉さんもいない。ルノワールおじさんが描いたジョルジェット・シャルバンティエちゃんにキッスが出来るぞ。
ここで転寝をしたら最高な贅沢だな。

あの1300円もふんだくっておいて、大混雑で絵を見せなかった鳥井サンのぼったくりキャバレー「赤い風車」は、断酒して、地下足袋で稼いだ石橋さんを見習えよ。

コレクションの新地平」というヘンな名前の企画展も良かった。
抽象画ばかりであるが、これも名作がずらりである。

 

連れの2偏屈氏は、分からない分からない、と不平を言うが、一体全体何を分かろうとするのだろうか。
絵の題名を読むからイケナイのであって、

  ・襖紙に使えるし、壁紙でもいい
  ・素敵なカーテンに
  ・山ノ神のエプロンとして
  ・お皿の絵柄に

などと妄想を逞しくして、色彩の妙、意外な配置、筆の弾み、画面の肌合い、等々が気に入れば、抽象画はそれで十分。深刻に意味合いなぞ考えるのは愚の骨頂。絵描きのご高説は無視しよう。気楽に見れば、結構面白いのだ。

ブリジストン美術館に十分満足して、明治屋の通りにある「西勘本店」へ。
三越前の「木屋」以上の刃物・左官鏝(こて)専門店であるが、開けっぴろげで木屋より入り易い。

今まで気にしていなかったが、刃物は良~く眺めるとなかなか美しい。
鋏など諸道具は形態が豊富で、抽象彫刻そこのけ、である。
植木屋が使う道具は、流石流石。

▲画像は上から、「腕を組んですわるサルタンバンク」パブロ・ピカソ。「島」パウル・クレー。
「コレクションの新地平」展示作品一覧表表紙。


趣味いろいろ

2008-03-22 | 林住期

 

 毎日日曜画家の会「僕の会(仮称)」は京橋の美術倶楽部ビルの2階で開催されていた。ご大層な会場だ。
有名大画家の影響が甚大なものから完全オリジナルまで全てが楽しみの結晶で、会場全体がホンワカしたいい雰囲気である。

お目当ての画家は森男の1年先輩である。
今日押しかけた3偏屈とは趣を大いに異にし、定年後から数年前までは某女子大で非常勤講師をしていた温厚な知識人である。
パステル画を出品しており、完全オリジナル。(注意=これ、褒め言葉です)。
なお、皆さん、実に立派な額縁を使っておりました。

花束もお菓子も持って行かないのに、先輩は3偏屈にお茶をご馳走して下さった。

会は先輩の先輩から10年を超えて続いているが、そろそろ全員が高貴高嶺者。
伝統ある会を続けるためには、森男のような「若者」の入会が待たれる由。

う~む。絵ねぇ。
「林住記」を始める前は、肉体労働以外の時間に、また絵を描き始めようかと思い準備はした。水彩画の上達法は随分買った。
読んじゃいないけど、「林住記」の挿絵に、便利に使っている。

樵の作業とブログ執筆(えへん)の間に絵を描く時間が作れるだろうか。
趣味悠々という向きもあるが、どうも趣味バタバタであるな。
画家先輩は紳士なので外交辞令かも知れないが、悩んでしまう。
趣味イロイロ男はツライね。

▲挿絵は来住しげ樹画「里山歩きの水彩画」(日貿出版社刊)より。


雨に唄えば

2008-03-21 | 歌の翼に

 

 銀座一丁目の贅沢ホテルの裏に、以前勤めていた事務所があり、グループ会社は空中分解してしまったけれど、痕跡の小会社は残っているはず。
互いに利用し利用された元マドンナ嬢にご挨拶、と3偏屈はビルに辿り着いたら、今日は祝日、お休みだった。

昼には少し早く、時間潰しに「警察博物館」を見学。
ウエルカムけいしちょう、だとさ。ヤだねぇ。

              備え付けのこの冊子も、役に立ちます。

この辺で厠に困ったらここを利用するといい。清潔で安全です。私服の婦警(?)さんたち、親切です。
普段はガラガラなのに各階に10人程度の子連れの客がいる。お父さんは警察官かも知れないね。
展示物をよ~く見ると、結構面白く、明治初頭の警察官は「難波歩き」をしていたんだ!

昼食後、口に含んだ梅干のタネを飛ばし、その距離を競った路地を抜けると「耳兎(仮名)」があった。
こんな格式ばった店は普段なら素通りするが、祝日のため開いている店は他に無い。
股引を脱いで氷雨の東京へ来たのは失敗だった。とにかく暖まりたかった。

店内は立派なしつらい。店員は奥床しくく、流石に難波の名店であるな。
客はまだ数組しかいない。

隣卓は、写真のとおりのここのウリ。いかにも身体に悪そうなゴーカな饂飩である。
何が入っているのか観察したかったけれど、湯気が立ってピンボケ。
ハッキリ言うと、饂飩は嫌いっ。
3偏屈は湯葉蕎麦840円也、と長生き献立を選びました。

その無味なこと! こちとらぁサイタマの江戸っ子だぃ。
おのれ、調味料原価分を内装費に回したなっ。
......身体だけは温まったが、なんかソンした気分だった。

勘定場で店の自慢、故事来歴資料をどっさり頂いたけれど、あれれぇ、傘立てに森男の傘がないぞっ。
出て来る時に、もう十分にお勤めを果たした傘を持って来たので、雨が上がったらどこかに忘れてくるつもりだったが、まだ雨は降り続いている。置いてある傘は上等品ばかり。
あのゴーカ饂飩紳士だな。

一本ずつ確かめたが、わが糟糠の傘は無かった。
奥床しい店員は、森男が傘立てをかき回しているのに知らん顔。
仕方が無い。適当な一本を頂戴しましたよ。

新しい傘はジャンプ傘だった。折り目だって色褪せてない。
あのゴーカ紳士は滅びの美を心得ておるな。有り難う。
上等の傘に替えた藁しべ長者は、「Singing In The Rain 」を歌いながら京橋の街を行くのだ。

      I'm singing in the rain
               Just singing in the rain
                 What a glorious feelin'
                   I'm happy again
                     I'm laughing at clouds

                 ...........

続いて東京美術倶楽部(だったかな)ビル、ブリジストン美術館、西勘本店、丸善日本橋店、大丸八重洲口店....................。

氷雨は降り続いていたけれど、♪I'm singing in the rain だった。
♪♪♪.......。

▼お巡りさん、著作権法違反や遺失物前物品横領等数々の罪状、見逃して下さいね。


涅槃(ねはん)志望

2008-03-20 | 林住期

 

 もう直ぐお釈迦さんが生まれた花祭りの日だから、今日はお釈迦さんがオシャカ、いや涅槃(ねはん)、すなわち死亡した日であるな。

嘘?
嘘も方便、とお釈迦さんは言っていた。

以下は頗る真面目な話です。

                

九州に「大法輪寺」という無宗派のお寺がある。
最近新築した本堂には、エンゼルが蓮の葉を持っていたり、ステンドグラスがあったり、と新機軸が多くなかなか面白い。

住職の学法さんは、時々、不成仏霊などを持ち出すが、それは人を脅かすためではなく、どうしたら正しく往生出来るかを教え諭すもの。
無闇に人を脅かす太木女史や衣装持ちの大腹兄さんをこき下ろし、痛快です。

檀家が無いので、お布施は頂かないと大法輪寺はやってゆけない。お布施は有難く頂戴するが、経済状態に応じて幾らでも結構、とおおらか。
戒名なども、字数や戒名料は地獄極楽にカンケイナイ、とさっぱり。
また、神父さんと懇意にしたり、葬式仏教を厳しく批判したりもしている。

その学法さんがブログ「坊主が吠える がくほう独り言」で新形式の葬式を報告している。
このお葬式は棺を中心に人々が集まり学法さんが葬儀を進行させる、というもので派手派手しい祭壇なぞは無い。
お釈迦さんの時には、こういうお葬式だったんじゃないだろうか。

             

最近葬式ばっかりで葬式評論家になった森男は、こういうお葬式に賛成です。
自分もこういう風ににして欲しいけれど、実は気になることがある。

それは森男の死に顔が物凄いんじゃないか、ということ。
来てくれた人は棺からきっと顔を背けるだろうよ。
これはマズイね。ぶち壊しだ。

考えれば考えなくてもあと40年もしたら、高貴高嶺者である。そろそろ「林住記」を改装しなければならないな。
好々爺になるために........。

▲図は国宝「佛涅槃図」(金剛峰寺)。

涅槃(ねはん)とは.......。
①煩悩を断じて絶対的な静寂に達した状態。仏教における理想の境地。(以下略)。
②仏陀または聖者の死。入寂。入滅。