曖昧模糊とした記憶ですが、下の二つの句のどちらかが夏目漱石の俳句のはずです。どれもが違うかもしれませんがね。
・鐘つけば柿落ちるなり建長寺
・柿落ちて鐘が鳴るなり建長寺
それはさておき。
夏目漱石は若い頃、JR北鎌倉駅裏隣にある円覚寺境内の塔頭の一つ、帰源院に滞在していたことがある。
これは、実家が帰源院の檀家なので、住職の言葉や老梅下の句碑などで確認済みの事実だ。
しかも帰源院の背後の高台には、国宝の洪鐘がある。(現在は嘆かわしいことに周囲の大木を伐採し、ところてん屋を併設しているはずだ)
それなのに何故「円覚寺」にせず、近くにあるもう一つの古刹「建長寺」にしたのか。
多分、当時の円覚寺には柿の木がなく、建長寺の方に生えていたのだろう。あはは、正直漱石さんである。
それはともかく、漱石と正岡子規は大変な仲良し。しょっちゅう寄席に同行するほどの親密な仲だったそうだ。
また、最近知ったことだが、漱石も俳句が上手く、たくさんの句を残したそうだ。
正岡子規には有名な句がありますね。因みに、故天野祐吉はこの句を「笑える俳句」に分類しています。
・柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺
そして問題は、漱石の建長寺の柿の実の句が、法隆寺の句の2か月前に発表され、子規の句が漱石の句の後になったことだ。
つまりですね、子規が親友・漱石の句を剽窃し、「建長寺」を「法隆寺」に変えた、ということです。
これは「甘納豆がうふふ」という句で有名な、現代俳壇の大御所・坪内稔典さんのご指摘だったような気がする。
「ような気がする」なんていういい加減な書き方ですが、森生は素人だから資料は手元に何にもないし、ネットを探し歩いても見つからない。
この林住記は、稿料も甘納豆も頂いてないんだから、そんな細かいことどうでもいいじゃありませんか。
ところで、漱石が沢山の句を残したという説には証拠が見つかりました▼
Ads by Google 俳句案内 夏目漱石 秋の句
秋の句だけでも25句*20頁=500句もある。そのほか、新年・春・夏・冬があり、読み切れない。
そこで柿と建長寺を目印にして秋の句を一通り探してみたけれど、目がグーグル回り、該当する句を発見できなかった。
お暇な時に、隅から隅までご覧になり、見つかったらご連絡下さい。
それはそれとして、鐘と円覚寺なら一句ありました。
・冷ややかな鐘をつきけり円覚寺
冷ややかとは、あんまり良くないね。納得できない。
そもそも円覚寺の国宝に指定されている洪鐘の、意匠は豊満、澄んだ美しい音は余韻を長く引き、法隆寺や東大寺に断然勝っている。
そして帰源院境内の漱石句碑に彫ってある俳句です。
・佛性は白き桔梗にこそあらめ
これも感心しないよ。
あとがき。
漱石句集といいながら引用した句はたった2句しか
物足りない方は上記のGoogleをポチッとしてくださいね。いい句沢山ありにける哉ですよ。(7・7ですが)
夏目漱石の絵は山藤章二さんが描いたものです。
近所でいい柿の実がみつかりません。で、干し柿▲は坂利製麺所「ふぞろいな干し柿たちです」冬季限定販売。
140912