シンポジウムに行った。
会場になった有楽町「よみうりホール」は満席。9割以上がおばばたちだった。
おばばは勉強している。おじじが敵うはずがない、と痛感した。
シンポジウムのお題は、
私の老後は私が決める!
最期まで私らしい人生を送るために必要なこと教えます
だったが、内容は少し違った。「老後」を「最期」と書き換えるベキだった。
おばばたちは「最期」に狼狽えるようには見えなかった。
基調講演は、かの勇ましい上野千鶴子先生だった。でもこの講演、素晴らしく良かったんですねぇ。
森生はこの上野先生の人生相談(朝日新聞土曜版「悩みのるつぼ」)を愛読讃嘆していて、桁外れの猛女を想像していたが、まるで違った!
小柄で美しくイト淑やか。優しく美しい声色に関西系の方言を交え、微笑み、言語明瞭意味明瞭。それでいて綺麗ごとではなかった。
講演の結論は、
最期をどうするかを息子や娘に任せてはいてはダメだ。自分で決めておこう。
最期は病院や施設でなく、自宅で迎えよう。ひとりでも最期は迎えられる時代だ。ひとりは自由で楽しい。
でも、財布は最期まで握っていること。なるべく上手く遣いきること。
遠くの家族より、近くの友達を大切にしよう。
ということだったろうか。メモを録らなかったため勘違いがあるかもしれない。既に持っている4冊を読んでみようと思う。
上野先生も「私の本を買って、読んで下さいね」と言っていたので、森生もご同輩に、お勧めしますね。
このシンポの主催者は「サービス付き高齢者向け住宅協会」と「読売新聞社」で、後援は国交省と厚労省だった。
つまり主催者の「サ高住協」は「自宅で最期」ではなく、ビジネスとして「施設で最後を」と勧めているるはずですね。
ところが上野千鶴子さんときたら.........。勇敢なお方だなぁ。
シンポジウムのパネリストでは、樋口恵子(高齢社会を良くする女性の会代表)さんが、何度も爆笑を誘った。
この先生、84歳になって、今まで施設に入るために溜めていた虎の子で蔵書の重みで傾いた自宅を取り壊し、新築中とか。
同居している「鬼娘」とは断捨離を巡り、死闘を繰り返し、体重が随分減った由。
それでも、主催者に配慮したのか「いよいよの時は施設を選ぶかも、まぁ成り行きですね」だとさ。
最高齢のパネリストは91歳。曾孫が4人いる寡婦。藤沢市の「ココファン湘南片瀬」入居者会田千枝子さんだった。
片瀬(実は藤沢市大庭)では通じないので鎌倉と言ってる由。往時、片瀬・江の島は鎌倉郡だったもんね。
この元気ばばさま、司会者そっちのけのマイペース。
しかし「サ高住」選びの経緯を愉快に紹介し、その快適至極な毎日を謳歌して笑いをとり、主催者側の期待に十二分に応えた。
厚労省課長・杉並区課長・別府市参事・医療法人理事長等4人の小父さんパネリストが何を話したかは、覚えておりません。
かれらは数字を並べ、漫画を見せ、台本を読み、詰まらないデータしか語れない、退屈な紳士たちだった。
高齢化社会に入った日本は、女性陣営に運営をお願いした方が上手くゆく、のではないかと思った。
今回の急なシンポジウム出席は、畏友・韋駄天じぃの勧めだった。
題を聞かされウンザリしたが、目玉は上野千鶴子先生だった。他にサミット厳戒下の銀座をぶらぶらしたかった。
だけど韋駄天じぃは、シンポが終わったら、地下鉄有楽町駅に一直線。
ガッカリしたよ。
《お勧めする上野千鶴子本》
①おひとりさまの老後 ②男おひとりさま道 ③おひとりさまの最期 ④上野千鶴子のサバイバル語録
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