林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

シェエラザード 知識

2008-09-14 | 歌の翼に


始めに、シェエラザードとは絶世の美女の名前である事を、おさえておきたい。

シャリアール王は、初めの王妃が不倫を働いている現場を目撃。
以来、徹底的な女性不信。
毎晩とっかえひっかえ後宮の美姫と寝ては殺す、という羨ましいような草臥れる生活である。

遂にシェエラザードの番が来た晩。
聡明な彼女は愉快な小話を王の耳元で語り、暴君を楽しませ、続きは次の晩のお楽しみ、とした。

以後、毎晩1話ずつ披露すること千夜。遂に暴君の虎馬を解消した。
つまり心のケアをした心理療法士なんですね、彼女は。

なお、シンドバッドとは、この夜伽に登場する船乗りのことでした。

そしてその夜伽話を出版しベストセラーになったのが、有名な「千夜一夜物語」というわけ。
違うかもしれませんが、そうして下さい。

で以下は、夜、わが猫額亭で妄想に耽る樵の森男の千夜一夜ですぅ。

以下、前の記事へ続きます▼


シェエラザード 妄想

2008-09-14 | 歌の翼に

 

・エジプトに船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな・

さ、船を出します。

で、問題はその「千夜一夜物語」を種本にした、リムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」です。

旋律を聴けば、あぁあれか、と誰もが認める美しい曲である。

各楽章の名前と内容を正式に書くと、

  1.海とシンドバットの船
  2.カランダール王子の物語
  3.若い王子と王女
  4.バグダットの祭り・海・難破・終局

などで出来ているが、第1楽章が特に素晴らしく夏向きです。

なお、各楽章の粗筋はウィキを読んで下さい
でも、いきがかり上ちょっとご説明すると、第1楽章「海とシンドバットの船」は、

   シャリアールの主題+シェエラザードの主題+海

となるそうです。
「主題」とは音楽業界専門用語。俗には「テーマ・ミュージック」。

粗筋では暴君シャリアール王と美女シェエラザードが絡むが、シンドバットが行方不明なのだ。
なのに何でシンドバッドの船なのか?

アラブの国の物語は、およそ論理的でないね。
または、コルサコフ先生が勝手に歴史を捏造したのだ。ロシアらしいね。

そこで森男的には、以下のように妄想することにしました。

  シンドバット船長の出港+王女の熱い想い+波頭を越えてバグダットの王宮へ

なのである。
王女の熱い想いをもっと詳しく説明する前に、前提として、

  王女は華の都アテネへグルメしに行った。
  お土産に財宝をしこたま買い付けて帰途に。
  王女は財宝と共に盗賊の親分に囚われて、危ないとこだった。
  シンドバットが財宝と共に助け出してくれた。
  これからふるさとの王宮へ向かう船に乗っている。

そして肝心の王女の熱き想いは、

  父王や母后は懐かしい。ああ早く王宮に帰りたい。
  だけど、シンドバッド船長さまの勇気、気品、弁舌、その他に参っちゃったわ。
  何時までもこのシンドさまの船に乗っていたい.........。

森男は自分自信を客観的に見ることが出来ないんです。あなたとは違うんです
だからシンドバットはこの森男なのだよ。(えへへ)

なぬっ?  勝手にシンドバッド、だと? 
何だこりゃ? 何、言ってるのか分らん。お互いさまじゃないかぃ。

というわけで、第1楽章にウットリしたついでに、勝手にシンドバッドになりました。
悪しからず。 

以下、前の記事に続きます▼


シェエラザード 鑑賞

2008-09-14 | 歌の翼に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、お楽しみは交響組曲「シェエラザード」第1楽章です。
有名な曲だからCDの品揃えは豊富にあります。

最近ではド迫力ゲルギエフ指揮、キーロフ歌劇場管弦楽団▼が評判らしい。

 

 

 


しかし現実のシンドバッド、つまり森男には、残念ながら財宝が全く無い。
だから手持ちは、ストコフスキーとロンドン交響楽団▼というの超ナツメロなんですね。 

だが、こっちだって負けていないはずだ。

  金管楽器群の咆哮から始まる出帆、
  悩ましく爛れたヴァイオリンが歌う王女の熱い想い、
  弦楽器群による大海原のうねり、
  竪琴は砕け散る波の音か........
.
と豪華絢爛、ケレン味たっぷりです。

 






クラシック音楽のご紹介はボキャ不足。ああじれったい。
百読は一聞にしかず、です。

実は試聴出来ないかとあちこち探したけれど、管弦楽は最長で30秒。金管の咆哮でお終いだ。
それに弱音部が聞き取れない。この演奏はメリハリが効いてなければそれらしくない。

代わりにマニアの方々がパソ用に編曲したシンセ演奏ものがみつかりました。

旋律はそのままだが、厚みや情感はストコフスキーに劣ります。
まぁ、そもそも較べるのが失礼、と言うものでしょうね。
先ずは試聴してみて下さいね▼

  カルロス・レビンさまの編曲 

で、これから買うなら、やはりゲレギエフが一番のようです。
細事に拘らない方なら、西武池袋駅地下改札口で売ってる1050円のCDで十分です。

どうです? 誰でもも船乗りシンドバットになれますよ。
そして、

  人生は短く 夜は長い

秋の夜長に、夢をお楽しみ下さいね。では、

       Bon Vayage !

 


元気なイレタさん

2008-09-13 | うわごと

 

今日は朝から森男の身体はぐったりするほど疲れてる
盆と正月一緒に来たよな庭仕事
ナニがなんだかさっぱり判らず どれがどれやらサッパリ判らず
何も決めずに始めてみたけど 何を伐るやらどこを刈るやら
それがごっちゃになりまして
ワテほんまによう言わんワ ワテほんまによう言わんワ

お陰でぐっすり眠れるけど、朝も疲れてる。眠ることに疲れてる。
このまま永眠すれば疲れはとれるのかもな。

そんな疲れを吹き飛ばしてくれるのが、国営放送のイレタおばアナさんだ。
優等生男アナが、「それではイレタさ~ん」、と画面を中継に切り替えると、

  ハイッ! お早うございまスッ!

と異常なハイテンションで登場し、以後、「ハイッ、お名前は?」とか「サッ、やって下さい!」とか、ハイッとサァを語頭に付けて、セカセカ、ワサワサ、それゆけドンドン、と猛スピードで関東甲信越の事情を中継して下さる。

もう何年も続いてるようなので、随分役に立ってる中継なんだろう。
この方、第41回思い出のメロディで買物ブギを歌って欲しいほど、毎回元気が良い。

今朝は稲刈りが済んだ田圃での自転車乗りだった。
それで森男のとろけた目がシャキッと目覚めた。ありがたいこってすが.....。

イレタさんの実況中継が終わると、またドッと疲れているのには困る。
そして、その後の「土曜すてき旅」で和み、癒されてるのだ。

ワテほんまによう言わんワ ワテほんまによう言わんワ
ああ しんど


画家と庭師とカンパーニュ

2008-09-13 | 拍手

「画家と庭師とカンパーニュ」を観た。心に沁みる映画だった。
故郷に単身で帰って来た画家と、悪戯友だちだった庭師との出会いと短いが濃い交流と別れの物語である。

画家は我儘で浮気性だが、どこか憎めない。
庭師は足ることを知り、朴訥で頑固だ。
それぞれ個性的な二人の友情が、面白く、切なく、羨ましかった。

全体に太陽が明るく降り注ぎ、深刻な話もカラリとして気持ちが良かった。
フランスの田舎が美しく、これだけでも見る価値がある。

映画の終わり近くからモーツァルトのクラリネット協奏曲が流される。
透明な哀切感が印象的だった。

なお、「庭師」より「農夫」とした方がいい。
「カンパーニュ」は「田舎暮らし」か「田舎のパン」がいいのでは.....。
また、この映画で気になることがあったが、別の記事にします。

          

▼以下、粗筋です。

パリで成功した画家が故郷に独りで帰って来る。
度重なる浮気が原因で、妻からは離婚を迫られ、娘には嫌われ、画業にも行き詰っている。

両親は既に無く、家も広い庭も荒れている。
庭師を雇い、母の菜園を復活しようとする。
やってきた庭師に会ってみると、子どもの頃の悪戯友達だった。

庭師は国鉄に勤めていた。退職後、なりたかった庭師になった。
辛い仕事に耐え、家族を守り、豊かではないが現状に満足している。
画家の放縦で贅沢な生活にいちいち驚くが、つつましく堅実な生活を変える気は無い。
画家はそんな庭師の生き方を見て、少しずつ自分の生活を見つめ直す。

画家は性懲りも無くモデルと暫く同棲するが、モデルは若い男の元に去る。
画家は妻に関係修復を願うが妻は取り合わない。だが画家の変化に気付く。

庭師が画家の菜園で倒れた。
庭師は名作でなくていいから、身の回りのものを明るく分り易く描いてくれ、と画家に頼む。
庭師は治療費を心配するが、画家は大病院の懇意の医者に連れて行く。末期癌だった。
応急手術の後、とりあえず退院した。

二人は倒れる前に約束していた釣りに行った。
死神という鯉を釣り上げるが、庭師は池に帰してやる。
庭師は妻の絵を描いてくれ、と画家に頼む。以前、絵を贈るといわれたが断っていたのに。

数日後、画家は庭師のアパートを訪ねた。
奥さんの制止も聞かず、庭師は好きな菜園に行っていた。
庭師は地面に横になり、好きなモーツァルトを聞きながら、豆の収穫をしていた。

画家は庭師の奥さんの絵を描いている。庭師が作った菜園は画家が管理している。
庭師の妻からの電話で、庭師の死を知る。

画家は今までの画風を変え、庭師が希望した、田舎の身の回りを描いて個展を開催。
評判が良く、大勢の来客である。


I KKOさん讃

2008-09-12 | 拍手

 

流行語「どんだけ~」が、IKKOさんの発明であることぐらいは知っていた。
IKKOさんが明るく頑丈なお姐さんであることも知っていた。
だが、近頃これら綺麗どころが表社会に頻繁に顔を出すことは「如何なものか」と、IKKOさんを否定的に把握していた。

国営放送の結構面白い「今日の料理」の後の美容番組をたまたま見てたら、IKKOさんが出てきた。
つい「なんだいNHKまでが」と思わずヒハン的になってしまったが.......。

IKKOさんて、セレブな美容子(師ではカワユクない)だったんですね。
しかも率直で実にいい。森男は誤解偏見を謝ります。
そこで子、曰く。

  ・ワタシ、もう直ぐ50なの。(!)
  ・このオカッパ頭は営業用のカツラよ。OFFは坊主。(!)
  ・最近歳のせいで頬が下がってきたわ。(!)
  ・ガムテープで引っ張り上げ、カツラで隠してんの。(!!!!)
  ・男が、男のくせに眉を描いてるなんて赦せないっ。(!.......周囲の出演者固まる
  ・あらぁ、ワタシはオンナよぉ~。(!!!!!!)

どうだい、この潔さ!
好感が持てます。これまでは失礼致しました。人は見かけによらぬもの。反省します。やっくんと同じだね。

で1週間後、今度は番組をわざわざ見た。
IKKOさんは純白のスケスケドレスを逞しいカラダにまとい、肩はキャミソール風。そして見事なおみ足!
フワフワドレス越しに見える斜に構えたおみ足はスラリと長く、エレガント!

当然、同席の肥ったおばさんタレントは秘訣を尋ねた。
子、曰く。

  ・脚をこう重ねて、
  ・こう斜め横に持って行き、(ここまではなんとか出来る)
  ・もって行った脚の反対側の肩をこう下げ、(逆だったかな?)
  ・足の爪先「だけ」を床に着けるのよ。

早速マネした。イテテテ.......、とても辛抱できない。椅子から転げ落ちるとこだった。
あの優美な姿態は一朝一夕には成らず、日頃の厳しい鍛錬の賜物だったのだ。
そういったイキサツがあって、IKKOさんを尊敬することにした。

女性のお化粧は化けるんじゃなく化かすんだ、ということが IKKOさんのお陰でよく理解できた。
更に手の内も「なぁるほど」だった。

茂木健一郎先生が「視点・論点」でのたまわった(8/29夜)ように、

  ・脳科学からみて女性の化粧は他者の視線を前提に自分を社会的に再構築するという男より高い次元に達している。

な~んて、物凄くオシャレでワケ分らんことを言わないのがいいですね。 
なお、じじいの美容法乃至はカンベンな容姿矯正術についてもご指導して下さったら、森生、もっと尊敬しちゃうワ。

      IKKOさんのHPとブログを覗き、目が点になりました。いえ、褒めてるんですよ。

      いや、化粧より大事なことがある、それでも勉強したい、という方は茂木先生のクオリア日記をどうぞ。

      と、ここまで書き終えたら、朝日の本の広告特集頁(8/27朝)にIKKOさんの面会記事だ。
      ますます感心した。特に、容姿に自信の無くなった人にお勧めします。▼
      読みにくいけど、努力して読んで下さいね。

写真はIKKOさんのHPからです。 080912                     


新式送電塔

2008-09-11 | 拍手

 

帆柱のように美しい送電塔がある。
場所は所沢市緑町。団地の中央緑地帯に4基並んでいる。

昔、所沢に住んでいた頃、義兄にここへ「案内してくれ」と言われた。
この団地を造成する際、景観整備に協力するためにこの形にしたのだそうだ。
勤めていた東電で話題になったので実物を見たかったのだ。

出来てから半世紀。その後この種の送電塔を見たことは無い。
折角の送電塔を誰も褒めないし感謝もしないので、ここだけで止めたようだ。
だから50年経っても新式送電塔なのである。

電線を全て地中化せよとは言わないが、景観を売り物にしている場所では、やはり地中化してもらいたい。せめて意匠に配慮して欲しい。

美しい景観は愛郷心を育むと思う。
送電塔や電柱電線に関心を持とう。

以前は青く塗られていた。今度見たら白く塗り替えていた。
白の方がいいのだが、ところどころに銀杏の緑葉や黄葉を付け足してある。
余計な配慮です。


所沢ビエンナーレとか

2008-09-10 | 色めがね

所沢ビエンナーレ」の「企画概要」はややこしくて頭痛がする。
何回読んでも難解な文章の一番最後を見ると、以下のように書いてあった。

 この展覧会は、前例に無い、画期的なものになるだろうと考えております。
 「引込線」という展覧会のタイトルには、美術に係る者の覚醒した意思を引込む
 吸引力のある磁場を創り出したいという作家側の切なる意図が込められています。

前例に無いとか、画期的とか、覚醒した意思とか、磁場とか、切なる意図とか、物凄いことになっているようだ。
それでつい覚醒し、所沢駅そばにある西武鉄道廃工場に吸引されちゃったのである。

会場は電車修理工場跡だから、とにかくだだっ広い。
ぶら下がったり、ほっ放り出されたり、立ちはだかったりしてるのが、切なる意図を込めた作品なんだろう。

だが、はたから見るとガラクタか出来損ないばっかりだ。肝心の作家たちは全然覚醒してない。これが磁場とはねぇ。
それに、こうい独りよがり展の前例は近頃いくらでもある。少しも画期的じゃない。

理屈はいいから、もっと修練をしてから出直しな。
呆れたもんだ。





出口でアンケートを求められた。回答は以下のとおりとしました。

   お気に入りの作品は?   答・別に.......
   作品全体の印象は?    答・う~む........
   会場の印象は?       答・暑い......

              


長いものには巻かれるな

2008-09-10 | 重箱の隅

町内で有線TVのケーブル敷設が始まった。
作業員2人がクレーン車を使い、ケーブルをわが猫額亭の屋根の上を無断で通過させた。

東電については承知していたが有線TVは無断である。
会社に苦情を言い、数日後やり直す、という約束を××氏から取り付けた。

 

10日後、工事にやってきた。
今度はクレーン車3台に作業員が8人だ。まるでロシア軍の進駐である。
昼前に、出来たから点検してくれ、と言われて見てみると..........。

 一体どこをどうやったんだ?何も変わってないぞ。
 電柱から電柱にケーブルを引けば問題は無いはずだ。
 何故途中から横に曲げるのだ? 
 だから横に引っ張られて屋根にかかるんだろ。

 電柱のある場所は「官地」だから遠慮した。

 「民地」なら構わないのか? 官尊民卑かっ?
 民間なら手続きは要らない、と思ってるのかっ?
 東電に使用料を払ってるんだろ、それをこっちに寄越せっ。

 上司に相談する。

 上司とは××氏だろ。じじいは祟るぞ、と言っといてくれっ。

 上司に相談する。

すっかりヘソが曲がってしまった。
この夏の暑さで気力が衰えていたのに、スッカリ元気になった。
怒りを生きる力に変えるのだっ。気合ダッ、気合ダッ、気合ダァー。

この後、どうなるかは相手次第。
腕力では適わないが、口先では負けない、ああいえばこういう体質。
長いモノには巻かれない、ぞ。


庭の電柱の借地料として3年分1500円を東電から支払われている。
賃料はもう20年以上も据え置きだ。

何年か前に、もう1本、という話があり、断固拒否したら東電は市有地に立てた。
朝一番に目に入るのが、太いぶっちがいの電柱2本と電線であり、目障りだ。

わが町も日本中の他の町と同様に電柱が林立し
電線を蜘蛛の張り巡らせており、景観を著しく損ねている。
だれも問題にしない。不思議不愉快だ。


とんとんとんからりんと回覧板

2008-09-09 | 歌の翼に

 

とんとんとんからりんと隣組
格子を開ければ顔馴染み まわしてちょうだい回覧板
知らせられたり 知らせたり

回覧板が郵便受けに入ってた。昨夜の雨でグショグショだ。
朝刊は濡れてないので、昨夜の雨の最中に入れたのだろう。

格子戸じゃないので誰が入れたか分からないが、多分コドモだろうね。
子どもは小さいから郵便受けに回覧板をシッカリ入れられなかった。
田舎とはいえ夜中のお使いとは危ない危ない。
いつもいつも、そういうこと。

オトナなら、雨の日に新聞が入ってるビニ袋を取っておく。
それに回覧板を入れるわさ。ねっ。
入れたのはコドモだね。

古い歌ですいませんが、思い出して→♪「とんとんとんからりんと隣組
写真は「よこすか海軍カレー館」のものです。


モデル探し

2008-09-09 | 高麗便り

新聞には、間違いが多い。

朝日新聞火曜日朝刊埼玉頁に「ふるさと散歩 作家たちの描いた埼玉」という連載がある。
8/26は曽野綾子の小説「百済観音」を取り上げた。記事はかなり雑な内容である。
なお( )内は森男が付け足しました。

65(昭和40)年に発表された「百済観音」は、この連載記事によると以下のように始まるそうだ。

 ・真言宗智山派光徳寺は、埼玉県日高町の南端、天覧山に近いところにあり......

そしてこの後は、

 ・地元の最大名所、高麗神社の縁起や来歴に触れている。

と書いてある。小説の粗筋は、

  小さな荒れ寺光徳寺で、定朝作らしい阿弥陀如来像が見つかり、一躍有名に。
  隣の浄法寺は伽藍は立派。住職の人望も厚かった。しかし光徳寺への嫉妬に苦しむ。
  遂に、工作して火事を誘い、光徳寺も如来像も焼いてしまう。
  そのあと、焼けた如来像の胎内からは、金色の百済観音像が出てきた。
  一方、理性を取り戻し火災から如来像を救出しようとした浄法寺住職は大火傷を負い、56歳の命を終えた。

と、なっいるそうだ。「工作して火事を誘」とはヘンな文章で、「放火した」とでもいうのだろうか。

記者は作者・曽野綾子や地元の人々から取材している。

①作者には、ヒントになったモデルや出来事、小説の狙いなどを文書で問い合わせた。
その結果、文書で回答が来た。内容は、

 ・一度書いた後は、どの作品もきれいに忘れてしまう。常に次の作品のことを考え ているので。
 ・(小説で言いたかったことは)読者に自由に解釈して頂くのが礼儀。(だから答えられない)。

だそうで、これはこれで作家としての見識であり、モデル騒動を避けるためでもあり、流石、曽野綾子先生である。

②高麗神社祭神直系の60代目高麗文康宮司41歳にも面会した。宮司は、

 ・曽野さんのファンで「百済観音」は学生時代に読んだ。
 ・主人公の内面の葛藤を書いた作品だった、と記憶している。
 ・執筆に当たり曽野さんは神社を訪れたようだが「参拝諸氏芳名」簿にその名は無い。

と、大した成果は無かった。だが、 

 ・作家の取材は、ヒッソリと目立たないように行うのが原則です。

と宮司が作家になったような発言をしていて、ここは記者の創作だろう。

③「高麗郷歴史散歩の会」会長にも会っている。会長から得た情報は、

 ・日高には、大きな災害も小説のような大事件も無かった。

以上①②③から、記者はこう結論付けている。

 ・③の言を待つまでも無く、物語はフィクションだ。
 ・第一、光徳寺と浄法寺の所在地自体が「天覧山に近い」などと、飯能市内かともとれる書き方をしている。
 ・モデルの寺も「これだ」といえるものは一帯にはなさそうだ。
 ・作者のいいたかったことは、ご想像にまかせる、と作者が言っている。

これは随分イイカゲンな結論ですね。
記者は高麗神社の周辺を歩いたのに、何も見ていないし、感じてもいない。
小説が発表された頃の高麗一帯のことを想像していない。

また何故か、高麗神社隣の聖天院住職からは取材していない。これは怠慢です。
どうも、記者は神社と寺院の区別が出来ていなかったようだ。

何故なら、高麗神社隣の聖天院に行き、高麗神社宮司のご先祖にあたる高麗王若光の廟を撮影させているが、掲載写真の説明文は、

 ・高麗神社近くには小説にも出る聖天院が建ち、御祭神・高麗王若光の墓がある。

御祭神とは神社に祭ってある神のことであり、寺院の場合は御本尊と言う。
だから、記者は聖天院を「高麗神社の別棟に過ぎない」と錯覚していたのだろう。

実際、そう勘違いする観光客は多く、拝観料を無料にする正月三が日でさえ、聖天院を素通りする。
また聖天院に来て「高麗神社って広いなぁ」なんて言うおバカさんが多い。


錯覚してなければ、モデルの寺は一帯に無さそうだ、なぞと書くはずが無い。
聖天院は高麗神社よりも大きな伽藍を有しており、見えないとしたら、目は節穴である。

 ・第一、所在地自体が「天覧山に近い」などと、飯能市内ともとれる書き方をしている。

と記者は書いているが、天覧山とは「日和田山」のことである。
曽野綾子がモデル問題を避けるために、飯能の天覧山の名前を敢えて使った可能性がある。

小説が主人公の内面の葛藤を書いたものなら、キリスト教徒である曽野が、日和田山を「天覧」山に置き換えたのではなかろうか。
聖天院は日和田山(天覧山)に近く、小説にあるとおり聖天院はまさに「真言宗智山派」に属する古刹である。

この小説が発表された65年当時は、聖天院には江戸時代から二層の山門(雷門)があり、また寺格は高いが質素な田舎寺だった。
現在の壮麗な伽藍と庭園は、前住職が陣頭指揮をして造営し10年過ぎた現在も工事は続いている。

当時は高麗神社も同様に冴えない神社だったようだ。
戦後暫く、初詣は高麗神社より、国道299沿いにある「滝不動」(聖天院末寺の別院)の方が遥かに混雑したそうだ。

しかし、記事にあるとおり現在の高麗神社は地元の名所として有名で、観光客や参詣客を多数集めている。
集客数は恐らく聖天院の十倍以上だろう。

それは高麗神社が広報や集客に熱心であるのに対し、聖天院はむしろ観光客を拒むという姿勢にあると思う。

現在の高麗神社は埼玉県では2番目の初詣客を集めており、皇族、政財界、文化人、韓国政財界人等有力者の参拝が多い。しかし、それらは檀家に較べれば、後々までアテにはならない。

氏子や参詣客に頼る高麗神社より、檀家制度に支えられた聖天院は財政的には安定しているのだろう。
境内を荒らす他所者なぞ必要ないのだ。

明治以前の宮司は祈祷師をしていた、と書いた本を読んだ記憶がある。
神社が公開している資料にもそれをうかがわせる来歴が書いてある。

一方、聖天院は廃仏毀釈令以前は、寺院として神社の上に格付けされていた。幕府からの扶持米も聖天院の方が多かった。
前住職は近年ますます盛大になる高麗神社に対して、屈折した感情を持っていたようだ。

共に、旺盛な計画力と傑出した行動力決断力を持つ前住職と前宮司。
片方は伽藍や池泉の整備に、他方は宣伝と集客に向かった。
年齢も近く、似たもの同志の二人は、互いに最大のライバルだったのだ。

曽野綾子が、出世をご利益にし渡来人を祭神とする高麗神社に来ながら、聖天院に寄らなかったはずが無い。
当時から隣にある聖天院は目立ったのだ。

美的感覚が優れ、プライドが高く、血気盛んな頃の前住職にも会っているだろう。
そして小説家としての第六感で、聖天院住職と、高麗神社の宮司の間の微妙な確執を感じ取った、と思う。

当然、高麗の隣にある飯能市にも行き、「天覧山」という名前を知っただろう。
もっとも、「天覧」は明治天皇が巡幸し、山頂から周囲を見下ろした、という事実によるものだが。

したがって、光徳寺は実は高麗「神社」であり、浄法寺は高麗山聖天院勝楽寺、通称「聖天院」といわれている「寺院」である。
また「真言宗智山派」は聖天院から剥がし、光徳寺に貼り付けたのだ。
モデルもヒントもあったのである。

勿論、阿弥陀如来の発見や、その後の火災、住職の死は全くの作り事だ。
たまたま先生が暖めていたテーマを、聖天院と高麗神社の関係に当てはめ、想像を膨らませ、小説「百済観音」を創作したものである、と考えるべきではないだろうか。

  以上、モデルの詮索は、曽野綾子先生のお考えのとおり愚。
  肝心の小説を読んでもいないのに、意見するのはそれ以上に愚

  写真は聖天院雷門です。
  小説「百済観音」は曽野綾子選集第7巻にあるようです。


舐められる

2008-09-08 | 庭いじり

植木屋に舐められた。
「庭のお手入れします」、っていうチラシを郵便受に入れやがった。

ふんっ、森男さまだって植木屋だぃ。

確かにわが猫額亭庭園は荒れ放題だ。
寝る時は明日こそ、と決意をしてもこの蒸暑さと長雨。地面や葉っぱは乾かない。
殿様庭師はまだ夏篭り中である。

根本奈緒ク~ン、お天気何とかして。

どうしても他人に頼むなら
大阪の nihonneko さんにしたい。
最近独立し手製チラシ配りで顧客開拓中。
マジメだけど、ぶっ飛びとオトボケビデオは大笑いです。

▲写真は猫額亭庭園で奮闘するありし日の森男


男はつらいよ

2008-09-08 | 林住期

蒸暑い。三ツ星れすとらんに肌着のまま入ってしまった。
毎日素麺ではミイラになる、たまには贅沢をしよう、と出かけたのだ。

むさくるしいのは承知しているが、家では肌着である。
うっかりして、肌着のままだったのだ。

フニクロの吸汗速乾高級肌着で何を恥じることがあろうか、と思いながらも気恥ずかしい。朝のカレー臭がしているかもしれないし........。
丸首なら丁シャツに見えるが生憎V首だった。肌着は何故かU首やV首である。

大汗をかいて徒歩帰亭しすぐシャワー。だが、シャツが身体に貼り付いて脱ぐのに四苦八苦する。吸汗は本当だが「速乾」は過剰表示である。
それで前開きシャツがあれば、と思う。

前開きシャツは介護用のものがあるが、それじゃあんまりだ。
で、狙いはダボシャツである。お祭りに着る鯉口シャツとは少し違うらしい。
ふーてんの寅さんやバカボンパパが着ていたであれです。

ネットに広告が出ていたので浅草寺本堂前の「中屋」へ行った。
中屋はお祭り用品がお囃し中で、目もくらむ楽しい店である。

鯉口シャツはあった。山ほどあった。
でもなぁ、あんなクリカラモンモン壷模様では、三ツ星れすとらんにはミスマッチだ。
白無地もあるが値段はまるで舶来ブランドもの。そうか「江戸一」か。

ここはひとつ、来年はフニクロさんに、背中に「WESAITAMA」のロゴ入りダボシャツを発売して頂きたい。アロハ柄でもOKです。但し1000円でね。

女は半裸でも肌着でも街を歩ける。そこへゆくと、男はつらいね。
ダボシャツを着て、さすらいの旅に出たいものだ。

▲青花釉裡紅蓮池魚藻紋壷。読み方は分りません。大明宣徳年産名品の由。
森男が鯉口シャツ着るとこうなるか、と思いまして......。


汗滴る

2008-09-07 | お節介

朝から異常に蒸暑い。
向こうの山並みは灰色一色。芝居の書割のように平らな景色だ。

先週の小学校はズル休み。今日の作業をまたズルしたら、ズルズルっと引退してしまう。
気合を入れて作業服に身を固め、公園に出かけた。

参加は10人でいつもより少ない。
作業は下刈と枯枝整理だった。

林間は少し涼しいが、薮蚊と虻の猛攻だ。「ピタッと貼るだけ虫よけシール」は全く効かない。
斜面で踏ん張りながらの作業は破れかぶれだ。

作業はお昼に終了した。
集中豪雨に負けない汗だった。

男郎花が咲き始めた。

    


秩父暮色

2008-09-07 | 風に吹かれて

秩父駅から御花畑駅までは短い距離だが面白物件が多い。

文化財蕎麦屋は今日も休み。もう1軒の胡桃蕎麦屋は見つからない。
案内所で「秩父童子」の由来を聞いたら、

  そういえばありましたよね。

案内所には夜祭札所と鉱泉宿しか無いようだ。
だから武甲山を掘り崩し、内部をガランドウにした。

西武秩父駅には日暮れに着いた。