国営武蔵丘陵森林公園の運営維持管理業務は、財団法人公園緑地管理財団が国交省から受託していたが、この4月から、西武鉄道傘下の西武造園株式会社と株式会社プリンスホテルとの共同事業体が受託することになった。
就いては4月から始まる次年度ボランティア説明会を、財団と西武連合が共同で開催するから皆さん来てね、という通知が公園緑地財管理団武蔵管理センター(森林公園管理事務所のこと)から送られてきた。
ボランティア説明会は新たに加入した人々にはためになるだろうが、森生たち古狸には退屈な年中行事である。
ただ、事前事後に早春の森林公園を無料で散策できるので運動にいいや、と毎年出席していた。
しかし今回は違う。去る財団と来る西武の鞘当が楽しめるぞ、と厳しく寒い朝にも関わらず、暗い内から布団を出て、凍てついた森林公園へ馳せ参じた。
集まったボランティアは凡そ5~60人か。例年の2倍近い人数だ。
日曜日だったけど、殆どがじじばばだった。
例年は2、3人の職員が会場に詰めるだけなのに、今回は職員さんたちが大勢いて大層ものものしい。
ボランティア席に対面し右側には国交省役人園長、昭和記念公園から来てるという出張所長、それに財団から派遣されてる管理センター所長の計3人。
(森林公園の組織図は腕のいい図案家でなければ描けない。職員の身分肩書きはさまざまごちゃごちゃ)
このお三方は森生が10年通っていて初めて拝見するご尊顔であり、この順番で偉さに格差があるらしい。
左側には肩書を聞き漏らしたが西武2社のお父さん3人とお兄さん1人。痩せた角刈りが造園で、メタボがホテルだったようだ。4人ともマジメを絵にしたような硬い表情だった。
始めに国交省から出向しているまだ若い園長のご挨拶。
直属部下が数人しかおらず開園以来数十年、随意契約で財団に全てを任せていたが、昨今の社会状況から競争入札で受託者を決めることにしたら、あっさり西武が落札してしまった。
ボランティアさんには決してメイワクを掛けません。今までとおりのご協力とご活躍を、と言った(はずだ)。
出張所長はここへ着任して1年間。
開園以来蔓延るに任せていた笹を、公園職員を説き伏せ外部業者に刈りまくらせて綺麗な雑木林を再現しつつあったのに......。
(確かに綺麗になった。掲載写真のような川合玉堂、菱山春草の世界が再現されてきたと思う。拍手)
今後も西武さんにはこのセンでいって欲しい、と自画自賛した(ようだ)。つまり、お話し、よく分からなかったのよ。
管理センター長はざっくばらんな内輪話。
受託業務を引き継ぐ西武さんには上手くやってほしいが、上手くやられるのは口惜しい、と驚くべき率直なご発言。
現在、業務引継ぎ中であり、ボランティアさんには決してご不便をお掛けしないように頑張ってます(と聞いた)。
勝って官軍西武側は、お兄さんが代表して格調高いご挨拶。
話は造園・ホテル2社の会社自慢と、こういう場でのお定まり。差障りが無い綺麗事の連発。内容なし(と感じた)。
質疑応答の時間になった。
始めは遠慮勝ちな質問が続いたが、いつもは赤サスペンダーと長靴で威勢がいいおじぃが爆弾発言をした。
なんだい、なんだい! 資料は西武が配った会社自慢の紙っぺら1枚しかだ。これじゃぁ次期説明会じゃないっ。
次年度は一体全体どういう方針で、われわれボランティアに、どう働けと言うのかっ。
2月になっても、4月から1年間の作業予定表すら無いとは呆れたもんだわさ。
この寒空の下、じじばばを呼び出しておいて、シナジーとかホスピタリティとかPPPチームとか。馬鹿にすんな!
西武グループスローガン「でかける人を、ほほえむ人へ。」の実践たぁどういう意味だっ。
会場の雰囲気はガラリと変わり、以後、遠慮の無い辛らつかつ刺々しい質問が続いた。
西武側は動揺し、財団側は何だか嬉しそう、と見たのは森生だけではないだろうね。
お兄さんの言葉尻に「ゴザイマス」が急に多くなった。東電ブースカ部長の記者会見と同じだ。
西武はきっと東電のように何かを隠蔽してるぞ、と勘ぐったね。
無礼にも西武は、海千山千の小煩いじじばばボランティアを舐めてたようだ。これは確信した
それでも西武が会場でとりあえず約束したことは以下のとおりである(と記憶している)。
・次年度ボランティア計画は財団側としっかり引き継ぎ作業をし2月中には取りまとめる。
・園内にある2食堂ははっきり言って不味い。今後、プリンスホテルが腕に撚りを掛け格段に美味くする。
・駐車場が周辺民間駐車場に比べ高過ぎるとご指摘だが、現状1日600円を値下げすることはありまっせん。
(食堂と駐車場は独立行政法人UR都市再生機構が運営を受託していた由! 複雑さにびっくりだ)
・公園内に自生する絶滅危惧植物は、西武造園が必ず守りぬきますのでご安心を。
いやはや。何だ、こりゃ、だった。西武の高邁なコンセプトはいずこに。
でもね、さばさばしてる財団側と緊張してる西武側を、並べて見物できて愉快だった。
3月中にもう一度説明会があれば、森生は喜んで駆けつけるつもりだ。がんばれ西武ライオンズ。
この10年間、財団の職員の方々には大変お世話になりました。
そりゃあトロイと思ったことも、呆れて嫌味を言ったこともあったけれど、愛すればこそだった。作業は痛快だったよ。
偉い方々は決して顔を見せなかったけれど、現場職員の方々は純朴で親切な若者ばかりだった。
改めて、心よりお礼を申し上げます。
西武側は、希望者には引き続き働いて頂く、と言ってるがそれは外交辞令さ。末端職員ならそれも可能だろうが、ある程度の年齢に達している職員はいずれ難癖を付けられて追い払われることになるだろう。
末端だって財団のように牧歌的には働けまい。今後の監督は西武だ。人使いは荒く、あっさり使い捨てるぜよ。
永らくお世話になった森生はいつだって弱い立場の人の味方である。
リストラという嵐も体験してるので、撤退戦がいかに難しく、辛いことかも知っている。
外野席からみなさんに、連帯の熱い声援を送ります。
そして4月から新体制で出発する「国営武蔵丘陵森林公園」へ、春を満喫しに行きますね。
長くなって済みませんが、この記事、まだ続きます。
120207