月一回開くばばじじ昼食会は総合福祉センターの料理教室で開催する。
栗ご飯、蜆の味噌汁、南瓜の煮物、茄子と大根の浅漬けは、16人のおっかさん(いや、おばぁかな)が拵えた。
面倒な栗の皮むきは昨夜のうちに家で済ませ、当日、栗ご飯を炊いたのは大型電気炊飯器だったけどね。
秋刀魚の塩焼きは、毎回一番乗りしてみんなのお茶を準備するバンダナおじぃが、一人で腸を抜き、4台のガスオーブンを同時に使い分け、丁寧に丁寧に24尾も焼き上げ、無駄口がないため、南瓜とは異なり黒焦げは無かった。
バンダナおじぃは天麩羅も得意。ばばたち、恐れ入谷の鬼子母神である。
食後のデザート、オレンジカップゼリーは「主に」カーじぃが担当した。
何だかんだと御託が煩かったが、作り方はここだけの話、絵本ばぁがいちいち教えてくれたんだもんね。
だが、完成品を余さずに人数分だけ切り分けたのは、元エンジニアを自称するだけのことはあった。
入歯の工事で2回欠席した森生は、大根を洗って下ろし、二つに割ったオレンジから果肉を抉り出し、搾り器でジュースを作り、あちこちの調理台で使った道具を片っ端から洗いまくり.....、と下働き後始末で忙しかったさ。
とはいえ、いつも周辺作業でうろうろしていることに、内心忸怩たるものはありまする。
手作り料理はどれも味がしっかり付いていて美味かった。ははん、今日はあのおばぁが居ないからだな。
ただ、カーじぃ自慢のオレンジカップゼリーは、オレンジのままで何にも手を加えなかったほうが美味かったと思うよ。
ジュースを搾ったオレンジかすを、ジャムにすると言って持ち帰ったエコばぁがいた。さすが!である。
参加者は20人だった。余った4人分は和室で碁を打っていたおじぃたちに、会長ばぁが行商してきた。
一般用食堂「高麗川」の日替わり定食は650円もする。
特別提供価格400円に、4人の碁じじぃは大喜びしたそうだ。
手作り昼食会終了後、森生は最長老の肥ったおばぁを軽に押し込み、自宅まで送ってあげた。
お駄賃にお手製の巾着袋を頂戴した。
呆け予防に毎日作り、世話になった人に配ってるそうだ。
121016