丘の上の町から、坂を下りて旧市内へ行った。
途中にある高麗川の河畔林にも、秋は確実にやってきていた。
毎年今頃になると、お寺で一緒に勤労奉仕をしたことがある先生が、けんちん汁をご馳走してくれるのである。
奥さんのけんちん汁は味まろやかで、子どもの頃、母が作ったものより美味く、口の悪い骨董先輩も一目おいている。
先生も先輩も地元生まれの地元育ち。隣近所の話題はこの町に流れ着いた森生にとって新鮮である。
最近、裏の畑や庭の柿の木には猪に代わりハクビシンが出没し、雉が退治したのか蝮を見かけなくなった、等々。
先生宅は車が疾走する県道に面しているが、裏へ廻れば別世界。
旧市内といっても、のどかな畑が広がり、その先には宮沢湖を囲み高麗峠に至る丘陵が控えている。
お土産に、先生からは自家製薩摩芋、長ネギ、ちんげん菜を、先輩からは高麗川で洗ったばかりの銀杏を頂いた。
森生はモロゾフのチョコレートを持って行ったけれど、大分手抜きしたようで少し気が引けた。
121116