林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

隣の土

2013-04-12 | 高麗便り

地元の人が耕す畑の土は、見るからに肥沃だなぁ。
直ぐそばにあるウチの庭の土は、造成地なので石ころだらけなのにさ。

耕運機もかっこいい。あのカーじぃが乗り回している天井がやけに低いスポーツカーよりいい。
ちょっと乗って、動かしてみたい。

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今日でお別れ

2013-04-10 | 林住期

坂道の途中で、車上の電脳の神様に呼び止められた。例のカメラを出せるかい?丁度いいから見せてくれよ。
少し前に万年青で会ったとき、古いカメラの処分方法を相談したことがあったのだ。
森生は有無を言わさず車に押し込まれ、神さまはわが猫額亭に降臨された。

先ず【オリンパスOM-1】でのたまわく。

おお これは凄い これは名機だ。中古カメラ屋に持ち込んじゃダメだぜ。
大事にしまっといて、要らなくなったら言ってくれ。必ず引き取るから。
レンズの蓋に付けておいたスポンジが粉々になっただけだ。シリカゲルを入れて大切にな。

 

そして【初代ニコマート】▲

わぁ 凄え黴だ ほら、レンズの中もだ。これじゃぁ救いようがないや。金属ごみの日に捨てるしかないね。

やっぱりダメだったか。ふぅ.......。
万年青で相談した時に、多分かびてるぜ、と言われて、恐ろしくて箱にしまったままだった。

ボディを分解してプリズムが欲しい。さぁさぁサァ、決断の時期だぞ。
.......エエイッ、持ってけ神さま仏さま。

思ひ起こせば、ニコマートは半世紀前に、ボーナス2回分でやっとこさ買ったものである。
しかし、ズームと広角を装着した2台は相当な重量だ。また会社の疾風怒濤に巻き込まれて、年中無休の馬車馬勤務。使いこなす間も無くお蔵入りし、使い方さえ忘れていた状態だった。

森生の老年性優柔不断は、電脳の神さまによって急遽解決された。
青春とは今日でお別れとなった。

濡れ雑巾でお身拭いしたけれど、神さまに急かされて、お別れの記念写真は、涙で滲んでおりまする

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長崎の仇

2013-04-09 | 林住期

昼飯を食いに、贔屓にしている三ツ星れすとらんへ行った。
日替わり定食は「長崎ちゃんぽん風うどん」だった。見た目にもあまり美味そうじゃない。

でも森生ははっきり注文した。630円で昼飯にありつけるところはそれほどないもんね。
そして兄ちゃんは注文をしっかり承知したはずだ。

だが、いくら待ってもちゃんぽん風うどんを持ってこない。
後から来たほかの客には次々と運んでくるのに、すっかり無視されて、どんどんヘソが曲がってきた。

さっさと兄ちゃんに催促すればいいのは分かってた。兄ちゃんに以心伝心や気配りを期待する方が無理というもの。
しかし、いつになったら気付くのか、息を潜めて待っているうちに、森生は透明人間になってしまったようだ。

ちゃらんぽらんな兄ちゃんに、だんだん腹が立ってきた。
透明マントはかなぐり捨て、スックと立ち上がり、
兄ちゃんに近寄り、耳元で凄ささやいた。、

  おい、注文は取り消しだぁ、もう来てやんねぇからな。こんな店、潰れちまえっ。

家に帰る道で、石垣の庭の垣根の下から小型犬に吼えられた。耳に噛み付かれるかと思った。
吃驚して立ち止まり、キッと睨みつけるともう一匹の小型犬がすっ跳んできて、更に激しく吼えかかる。
そのうち若奥さんが出てきて、二匹を嗜める。

  まぁまぁ、ダメじゃない、二人とも。

  よく吼えますな。

  立ち止まると余計吼えるんですよ。

  ほぅ! 公道で立ち止まっっちゃぁいけないんですか。お宅じゃ犬より通行人を躾けるってわけですかぃ。

  ぐっ。

森生はバカ奥さんに、入歯も忘れ、猛然と噛み付いてやった。
溜飲は下がったけれど、また世間が狭くなったようだ。

もうこの道は歩けまい。

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晴れた空

2013-04-08 | 高麗便り

爆弾低気圧」とはいかにも大袈裟だった。緑の風で、予報士諸君はアタマを冷やしたまへ。
低気圧が過ぎ去った後は見事な晴天になった。空は秋ばかりでなく初夏(いや、まだ春だったかな)でも高いのだ。

巾着田では、三月の大風で吹き飛ばされた小屋は早くも再建されて、爆弾低気圧にも負けなかった。
なにはともあれ、めでたしめでたし。

空高く、あちこち歩き回れば、馬じゃなくてもハラが減る。
それで、馴染みの三ツ星れすとらんに寄り道したけれど..........。

 

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新しい朝が来て

2013-04-07 | 高麗便り

 

「爆弾低気圧」は恵みの雨をもたらしただけで、何事もなかった。
新しい朝が来て、木々は一層
元気になったようだ。

 

静かな夜だったので、風で飛んできたモノは何もないだろうが、家にいたのでは何事も始まらない。
さぁ、何はさておき、出歩かなくてはね。

 

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今日の笑顔

2013-04-06 | 高麗便り

・ 故郷やどちらを見ても山笑ふ ・ 
                         .........正岡子規

俳句を捻るヒトたちによると、春は山が笑うそうだ。
ふむふむ、そういえば確かに笑ってる。



五日前はクスッとしただけだった。
あと五日もすれば、きっと大笑いしてるだろうな。

高麗の山桜がようやく満開になりました。

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若菜摘む

2013-04-05 | 高麗便り

 

・・ 君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に花は降りつつ ・・                                  

高麗の里。聖天院の雷門前。僅かに残った田圃。

摘み草なんてしちめんどくさいことするのはおばばだけ。
若いママだったらピッタリなんですが.......。


光孝天皇さま、ごめんなさい。
なお、聖天院雷門は修復工事中です。

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村はぶらぶら

2013-04-04 | 風に吹かれて

町営うどんの昼飯は大分遅くなったけれど、日暮れはまだまだだ。
なのに匠さんとうさじぃは野暮用があるらしく、夫々の車で慌しく帰ってしまった。
森生はうどん屋に車を置いたまま、近所をぶらぶら歩いてみた。

宿(しゅく)交差点の周りには、骨董屋「四万十」、陶芸店「寧々房」。
建具会館、(郵便)局前(農産物)販売所などがあった。
建具会館以外は何もないところだと思っていたが、歩いてみると見るものが多かった。




四万十はもの凄い。
古民具の山が、家からはみ出し、道路にまで積み上げられて、足の踏み場もない。

元名主邸に間借りする寧々房は創作陶器の店である。
美人作家が偶然店に居て、わぁ~い、楽しいかったよ。


建具会館はすっかり変わっていた。
以前は建具だけの暗い展示場だったが、食品や物産品を商うようになっていた。
店番の娘さんが素朴でよかった。

農産物販売所は爺さまが店番だ。花咲爺さんのように快活で、村の生き字引だった。

正法寺に、もう一度行きたくなった。
山の分教場の幅
広(ひもかわ)饂飩も食わなくちゃぁな。

都幾川村は懐が深い。村は足でぶらぶら歩かなければね。

 

 

 

 

 

 

 

 

寧々房先生の作品とお話しは「花ひらく工房」をどうぞ。

下に続きます▼

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桃源郷

2013-04-04 | 風に吹かれて

都幾川村一の建具工場に勤めたのは、バブルが弾けた頃だった。工場はJR八高線近くにあった。
あの頃は多忙で西平の小盆地に行くことはなく、越生町の銀行に手形のやり繰りに往復するだけだった。
工場を辞めてから、慈光寺見物に行く時は車だったので、沿道風景を観察することはなかった。


今回、桜を探して慈光参道入口の宿(しゅく)交差点から霊山院、正法寺などを足で一回りして気が付いた。
都幾川村西部、都幾川上流にある西平という小盆地は桃源郷なのだ。余所者にはそう見える。


小盆地には花が咲き乱れ、杉檜が盛大に花粉を撒き散らしていたが、マスクをした柔なヒトはいなかった。
家屋敷にはゆとりがあり、住人は誰もが穏やかで親切だった(尖った愉快な爺さまが一人いましたが)。


商店や飲食店は殆ど無く、町からは随分遠い。
そこが魅力なのだから下手に活性化・郊外都市化せず、いつまでも桃源郷であってほしいものである。


なお、都幾川村は、国の平成の大合併政策を受け容れ隣の玉川村と合併し、現在は「ときがわ町」に「昇格」した。
「ときがわ町」だなんて、安っぽいなぁ。ね、そうでしょ?

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お待たせうどん

2013-04-03 | 風に吹かれて

「やすらぎの家」は古民家を移築・活用した都幾川町町営の饂飩屋であり、建物はお代官さまが住んでるみたいだ。
店は昼飯時を過ぎた平日なのに、遠方からの千客が万来で、土間も座敷も大変な混雑だった。

「職員」はお母さんがたったの三人。大車輪で働いているけれど、いかにも町営らしく要領が悪いようだ。
町役場は応援の職員を出すか、業務動態分析をしてみなさいな。

 

さんざん待たされて、やっと座敷に上がれ、また待った。
遂に、この先の黒蕎麦が名物の「とき庵」から出前を取ろうか、と談合が始まる頃、ようやく茸饂飩が運ばれてきた。

味? (空腹の極みの所為か)うんまい! 町営饂飩800円とは思えない美味さだ。
厨房のおばさんが頑張って何km分も足踏みした成果である。うどん
はオススメできます。

 

空腹時、立腹しやすいヒトにご注意。
焼き団子とお~いお茶のペットボトルを前の農産物直売所で買ってから座敷に上がったほうがいい、と思うよ。
それから、音入れが外だから、つっかけやサンダルで行かないこと。

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額縁から見る

2013-04-02 | 風に吹かれて

正法寺がある谷あいの道から西平の小盆地に出るとぐ~んと風景が広くなる。
折りしも盆地は桜桃三つ葉躑躅の花盛りだ。

都幾川にかかる中尾原橋の袂に原っぱがあり、イーゼルに載せた、画布がない額縁が立ててあった。

絵になるので額縁を撮っていると目付きが鋭い爺がやって来て、額縁から先の風景を撮らなきゃダメじゃないかっ。
ふんっ、どう撮ろうと自由じゃないかっ、と思ったけれど、爺サマは額縁の持ち主で道路向こうのへたれ喫茶店のオヤジだと分かったので、ぐっと堪えて村のあれこれを聞いてみた。

正法寺は「しょうぼうじ」っ、霊山院は「りょうぜんいん」っ。
ウチの「水出しコーヒー」はいちばんだ。浮かべたミルクはコーヒーに混ぜずに飲みなさいよ、などといちいち煩い。
喉が渇いていたので運は試し、「水出しコーヒー」つまりアイスコーヒー400円を注文。

原っぱの椅子席まで爺サマが運んできた水出しアイコは、場所が良く喉が渇いていたためか確かにゼッピンだった。
ただ、うさじぃがうっかりストローでミルクを掻き回すと、ダメだと言ってたじゃないかっ、と怒鳴られたりしたけどね。
爺サマより、客のほうが言葉遣いが丁寧になってしまうのが癪だった。


村の住民らしくなく、何て尖った爺サマだろうと、おっかなびっくり身上調査をしてみた。
はは~ん、やっぱりそうなる成り行きだったわぃ。身から出た錆とはいえ爺サマがちょっと可哀相に思えてきた。
個人情報はここまでだが、爺サマの実体はロマンチスト。自負と親切があり余る額縁型老人なんでした。

店内には「托爺所」と称する作業土間や小間物売場があるけれど、土間はごみ屋敷寸前で足元注意。
水出しコーヒーは水で8時間もドリップするそうで、確かに雑味が無く、まろやかで美味かった。
店内の小物や手描き地図も面白く、詳しいことは擦り傷覚悟で、あなた様がお確かめくださいまし。

 

額縁じぃは話好き。身の上ばなしは、よいしょすれば、いくらでも聞かせてくれますよ。
ただ、あんまり煩いので、ドーモ君もこのとおり痩せてしまったようだ▲

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花之山寺恐怖八百米

2013-04-01 | 風に吹かれて

参道の終点は慈光寺ではなく霊山院だった。

1300年前に創建された慈光寺は、最盛期には僧兵をも養う大寺院だったそうだが、今は国宝の装飾経を所蔵するだけの侘びた山寺である。最後に行ったのは5~6年前だったけれど、そう変わってはいないはずだ。
国宝を通りすがりのじじぃに見せてくれるわけがない。徒歩10~20分先の慈光寺は失礼し、霊山院で休憩した。

臨在宗霊山院は、元は天台宗慈光寺の一塔頭だった由。今、境内は慈光寺よりも整備されているのではないか。
境内に咲き競う花々を眺めながら、墓地の片隅で匠夫人手作りの桜饅頭を美味しく頂いた。花より饅頭、極楽極楽。
居合わせた庭師君は若いのに礼儀正しく、見習うべし。





眺望が開けた墓地に「正法寺まで800m」という道標が。正法寺は素晴しかったよ、と匠さん。
下り坂で近いのならこの道を行くのが当然である。しかし、この判断は間違いだった。

下り坂は最近人が通った気配はなく、目が眩む急傾斜だ。石ころがごろごろ崩れ落ち、カラダは自然に前のめり。
一歩間違えたら、両側の深い樹林に転落する。立ち木にしがみ付きながらの地獄の山道になった。

近頃、畳の上でもよろめく森生に気を配ることもなく、大柄な若爺・匠さんはばたばたと急坂を下りて行く。
コンパスが短いうさじぃも大いに難渋。そもそも兎やカンガルーは下り坂はニガテだもんね。
後ろを振り返りもせず遠ざかる匠さんを、何て薄情なヤツだ、と呪ったものだ。

暗い杉林の坂道を過ぎると、突然、正法寺本堂の裏庭に降り立った。やれやれだった。
この裏庭を歩くだけで、あちこちの札所をまとめて巡礼したことになるようだ。
岩殿観音にもそういうシステムがあったけれど、ご住職の営業努力に、アタマが下がりますな。





堂宇はそれなりの山寺ながら背後を険しい岩山に囲まれ、広い境内は花・花・花。わさびや水芭蕉まで咲いている。
花を植える余地はまだある。
霊山院に続き、ここも極楽、花の寺だった。

但し、残念ながら門前の山が伐採されて丸裸。荒涼たる風景が広がっている。
渓流の向こうの新築2階建ても、失礼ながら、大型模型みたいな文化住宅で、お寺の雰囲気にそぐわない。
慈光寺・霊山院参道の希少種桜同様、見られるようになるのはあと十数年先だろうね。

 

匠さんは、正法寺へは奥さんと車で来た、今日の山道は全て初めてだった。
後ろを振り返る余裕も無く、引力に導かれてカラダが下へ、正法寺へと動かされたのだそうだ。そういう事情なら赦す。

狭くとも、長い九十九折でも車道が2本ある。
じじばばは慈光寺・霊山院・正法寺へは車で行くのが正解です。

新・歌舞伎座の人気にあやかるために改題しました。
読み方は「はなのやまでらあぶない800メ-トル」でありまする

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