その難しそうな本の題名はヘビのように長く、
「セレンゲティ・ルール 生命はいかに調節されるか」 (ショーン・B・キャロル著 高橋洋訳 紀伊国屋書店刊 2376円)
であります。
普段ならスキャンしここに貼り付けるところですが、指先がカビてこないように、指先作業で天気、いや転記します。
長くなるけど、面白いよ。
あの秘密知らないと絶滅するぞ
どうぶつ村は大さわぎ。
「ついにニンゲンが ⊥ の秘密に気づき始めたぞ」
「なんと、あの ⊥ か」
「そうだ。神秘の ⊥、生態系のバランスをつかさどる<調節>の理(ことわり)だ」
「お、フジツボっ娘から着信だ。
もう50年も昔、アメリカのとある西海岸で動物学者がくぎ抜きでヒトデを岩からひぺがし片っ端から海に放り込んでたってさ。
ご酔狂に何をやっとるんじゃとじいさまたちはあきれたが、この本を読んで分かった。食物連鎖の実験だったのね、って。
ヒトデを除去すると、ヒトデの食物のフジツボやイガイが急増して、フジツボたちの食物の藻が食いつくされる。
あれこれ連鎖が起きて、入江の生物は15種から8種へ急減してしまう。
この『蹴っ飛ばして観察する』方法で、入江の『キーストーン種』はヒトデだと判明したってわけさ。
ヒトデ ⊥ フジツボ等、つまりヒトデがフジツボやイガイを<調節>してたのが生態系のかなめ石(キーストーン)だったんだな」
「うぜぇ。バスのオヤジが威張りだしたぜ。湖Aのバスを湖Bに移したら湖Bの藻の繁茂が止まった、
バス ⊥ 小魚 ⊥ 動物プランクトン ⊥ 藻、わしがキーストーン種だわいって」
「ねえ、どうして『セレンゲティ・ルール』っていうの?」
「お前、まだ読んどらんのか。情報に遅れると絶滅するぞ。
タンザニアのセレンゲティ国立公園でライオンやゾウやヌーの個体数を長期に観測した結果、
捕食者による精妙な調節機能をニンゲンたちが発見したからだよ」
「同じような調節の原理が、生命体の分子レベルでも働いてるって話も載ってたわ。
ミクロとマクロの両面からニンゲンの探索が進んでる。きゃー」
「なあ、わしらも蹴っ飛ばして観察してみるか、ニンゲンをさ」
「だな。除去作業はウィルス坊主たちに頼もうぜ」
「もっと賑やかで活気のある生態系になるかもな」
評・山村恭子 東京工業大学教授・歴史学
ふぅ。如何ですか?ご同輩。軽妙洒脱なこの書評の方が原本より良さそうですね。
じじぃは、この本1冊を読み終えた気がしてきて「セレンゲティ・ルール」ってのも知ることができた。
そうして、実物をめくってみたくなってきた。
ところで文中に「⊥」という記号がある。意味は凡そ分かりますよね。
林住記は原文の縦書きを横書きにしたので、記号を左90度に傾けるべきかもしれない。
これ、何と読むのでしょうか?
170817B