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ハード・ロックだけではない! 進化のアコースティック・ミュージック、レッド・ツェッペリン III

2015年05月19日 | LED ZEPPELIN関連
昔は、もし有望な商権を獲得すれば、少なくともその商権を維持することにより10年、20年と企業が存続することが出来ました。しかし、物事の移り変わりが激しい現代においては、そのような甘い商売は存在しなくなり、たえずマーケットの先を見据えながら進化しないと生きていけない厳しい時代となりました。ブランドの力を過信して、それににあぐらをかいていると一瞬のうちにマーケットから消えてしまうことになります。某総合家電メーカー が、つい最近まで大型の液晶画面のテレビをさかんにTVコマーシャルで宣伝していましたが、今はみる影もありません。

と愚痴をこぼしたくなる今日この頃です。

それでは本題に、

1970年に発売されたレッド・ツェッペリン、第3弾のオリジナル・アルバム、 レッド・ツェッペリンIIIは、ジミー・ペイジにとっては自信作であったと思います。

レッド・ツェッペリンは、 単なるエレクトリック・ハードロック・バンドではなく、多彩な表現能力を持ったバンドであることをアピールしたいと思ったのか、今回大胆にもはA面に1曲そしてB面の5曲の全てにアコースティックなトラッド・フォークやブルースぽい曲を配置しました。特に、A面の2曲目のFRIENDSという曲は、弦楽器のアレンジを外すとスティルス・クロスビー&ナッシュの曲のように感じるのは私だけではないでしょう。しかしながら、それを単純に彼らの曲の模倣ではないかというのは的外れだと思います。

なぜなら、すでにレッド・ツェッペリン Iで2曲がアコースティック・ギターとエレキギターの併用の曲、そしてエレキ・ギターが登場しないBLACK MOUNTAIN SIDEという曲を収録しています。またレッド・ツェッペリン IIでも同様にアコースティック・ギターとエレキ・ギターが併用された曲を収録しています。すなわち、レッド・ツェッペリン I と II で登場したアコースティック・サウンドを IIIでジミー・ペイジ好みに進化させたものと捉えた方が適切だと思います。

ただ、今までレッド・ツェッペリン I と II のハードロックに酔いしれていたリスナーにとっては、欲求不満のサウンドに映ったと思います。確かに、アコースティックのフォーク・サウンドに合わして熱狂的に踊り狂うということは出来ませんからね。

というわけで、このアルバムの評価は賛否両論あり、ハードロック・サウンドの移民の歌などの健闘もあり全米と全英の両方でチャート1位を獲得したものの、売り上げは前作に比べて半分程度となりました。

しかしながら、このアルバムに対するリスナーの反応でリスナーが彼らに何を求めているかも理解できたと思えるし、またそれ以上に次作でリスナーをあっと驚かすようなアルバムを制作しようという野心も芽生えたのではないでしょうか。

そういう意味ではレッド・ツェッペリン III は彼らのターニング・ポイントになるアルバムで、その後もトップバンドの地位を保ちながら、更に進化を続けていくことになります。

移民の歌 Led Zeppelin


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