【TATSUROと彼女の手作りキャロットケーキ】
事務所でYUKIちゃんと話していたら
息子のTATSUROが
焼きたてのキャロットケーキを持ってきてくれた。
ほんのり温かくて、
シナモンの香りが効いている。
すりおろしたにんじんが入っていて、
シュガーパウダーでデコレーションした
素朴でナチュラルなケーキ。
昨夜から「明日は日曜日だから彼女とケーキを焼く。」と
宣言していたが、私にも、そして
お客様のYUKIちゃんにまでご馳走してくれるなんて
思いもかけないことだった。
しかも、ふたりで食べてきたらしく
口のまわりには
白い砂糖がついていた。
「砂糖、ついてるよ!」と言うと
あわててトレーナーの袖口で
ゴシゴシ拭いている姿は、まだやっぱり大人の手前である。
YUKIちゃんと私は、
思わず食べる前に写メをとりだし
すかさず激写したのだった。
先月には
彼女のバイトが6時頃に終わるから
クッキーを焼いて待っている。と言っていた。
出張中の私の携帯になんども電話が入り、
オーブンシートはどこにあるの?とか
クッキーの抜き型ってなかったっけ?など聞いてきたが
仕事中でしばらく知らんぷりしていたら
そのうちあきらめたらしく、
自力でなんとか無事に完成したようだった。
***************************
去年だったかのホワイトデーの時のこと。
お返しするからお金ちょうだい!というので
冗談まじりに
「じゃあお母さんも一緒に選んであげる!
オンナゴゴロをグッとつかまえるプレゼントを選ぶから!」
と言ったら、シラッとした面持ちで
「え・・・。いいよ。
手作りのお返しするから。友達んちでみんなで作るんだ。
材料代が欲しいんだよね。」とそっけない。
「手作りってなに???なに作るの?」と聞いても
これからみんなで決めるんだ。と言う。
誰が作ろうって言い出したの?
「まぁ、オレかな?
ホワイトデーどうする?って話になったときに
“今どきのオトコは手作りでしょ!”と言ったら
すぐにみんなが賛成してくれたんだ。」
そして、戻ってきたのが夜中の12時すぎ。
まだぬくもりのあるクッキーを
タッパーに詰めて「できたよ~!」と持って帰ってきたのだった。
これ、バービー(私の母)となーぼー(NAOKOのこと)にも
あげて。お母さんは今食べて!と言って口の中に
ほおりこんでくれた。
たくさんの数があったから
事務所の人たちにも配ると、
最初のひとつはおいしいおいしい!と感激しながら
食べたのだが、2つめになかなか手が伸びず
いつまでもデスクの上に置いてある。
あれ?みなさんどうしたの?と聞いたら、
だって・・・
もったいなくて食べれないの。
と口を揃えて言う。
***************************
一緒にクッキーを焼いたメンバーが
その日の夜バイト先から
まっすぐウチに遊びに来て、
私に、
「今日、バイト先のおばちゃんたちに
クッキーあげたんですよ。
そしたら、おばちゃんたち
泣いちゃった。」
と報告してくれた。
そりゃぁ泣くよ~!と私は思わず
顔がほころびながら大きくうなずいた。
***************************
おとといのクリスマスパーティでも
我が家のリビングで10数人が賑やかに
集まっていたが、
料理や後片付けはオトコのコたち。
4~5人のオンナのコはずっと
ひたすらおしゃべりに花を咲かせていた。
なんだか時代って変わるもんだよな。
男性の出生率が増え、女性が減少している昨今、
保育園時代から高校までを思い出しても
男女別で整列すると圧倒的にオンナのコが少なかった。
TVや新聞などで報道されていることは
本当なんだとリアルタイムで感じていたのだった。
そして、
子どもたちが大きくなると、
こんな風に変化していくのだ、と
世の流れを感じずにはいられない。
今までのおとーさん達のように
家事はいっさい奥さんまかせのつもりでいては
結婚の対象にすらならない可能性のほうが
大きいからだ。
働いて、お給料をもらい
家族のことは省みない「働きバチ」は
もはや過去の遺物となりつつある。
「24時間戦えますか?」モードでは、
もう奥さんたちは勝手に戦ってれば?と
背中を向けてどこかに行ってしまいそうな勢いである。
***************************
これから子孫存続の生き残りバトルが始まるんだわ、と
おぼろげながら予想していたのだが、
そうきたか。
戦わずに、ホロッとさせる作戦のつもりなのかもしれない。
おばちゃんたちが泣いちゃうぐらい、
もったいなくて食べれないぐらい、
オンナゴコロを刺激してしまう作戦なのか?
戦って勝ち取るなんて、
もうそんな時代ではなくなるのだと思う。
「KAORUさんも鍋食べますか~?
よそいますよ」
「あ!KAORUさんもアイス食べますか?」
と若い大学生のオトコのコたちは
人んちのお母さんにまで細やかな心遣いをする。
食文化って生きることと直結していると思う。
世の中全体の流れまでは、わからないけど
確かに変化の兆しを感じる。
作ることを楽しみ、食べることを楽しみ、
そして人をまた喜ばせていく。
普遍的な営みの中で、
わずかかもしれないが、
なんとなく、何かがまた今までとは違う方へと
向かっているような、
そんな気がするのである。
事務所でYUKIちゃんと話していたら
息子のTATSUROが
焼きたてのキャロットケーキを持ってきてくれた。
ほんのり温かくて、
シナモンの香りが効いている。
すりおろしたにんじんが入っていて、
シュガーパウダーでデコレーションした
素朴でナチュラルなケーキ。
昨夜から「明日は日曜日だから彼女とケーキを焼く。」と
宣言していたが、私にも、そして
お客様のYUKIちゃんにまでご馳走してくれるなんて
思いもかけないことだった。
しかも、ふたりで食べてきたらしく
口のまわりには
白い砂糖がついていた。
「砂糖、ついてるよ!」と言うと
あわててトレーナーの袖口で
ゴシゴシ拭いている姿は、まだやっぱり大人の手前である。
YUKIちゃんと私は、
思わず食べる前に写メをとりだし
すかさず激写したのだった。
先月には
彼女のバイトが6時頃に終わるから
クッキーを焼いて待っている。と言っていた。
出張中の私の携帯になんども電話が入り、
オーブンシートはどこにあるの?とか
クッキーの抜き型ってなかったっけ?など聞いてきたが
仕事中でしばらく知らんぷりしていたら
そのうちあきらめたらしく、
自力でなんとか無事に完成したようだった。
***************************
去年だったかのホワイトデーの時のこと。
お返しするからお金ちょうだい!というので
冗談まじりに
「じゃあお母さんも一緒に選んであげる!
オンナゴゴロをグッとつかまえるプレゼントを選ぶから!」
と言ったら、シラッとした面持ちで
「え・・・。いいよ。
手作りのお返しするから。友達んちでみんなで作るんだ。
材料代が欲しいんだよね。」とそっけない。
「手作りってなに???なに作るの?」と聞いても
これからみんなで決めるんだ。と言う。
誰が作ろうって言い出したの?
「まぁ、オレかな?
ホワイトデーどうする?って話になったときに
“今どきのオトコは手作りでしょ!”と言ったら
すぐにみんなが賛成してくれたんだ。」
そして、戻ってきたのが夜中の12時すぎ。
まだぬくもりのあるクッキーを
タッパーに詰めて「できたよ~!」と持って帰ってきたのだった。
これ、バービー(私の母)となーぼー(NAOKOのこと)にも
あげて。お母さんは今食べて!と言って口の中に
ほおりこんでくれた。
たくさんの数があったから
事務所の人たちにも配ると、
最初のひとつはおいしいおいしい!と感激しながら
食べたのだが、2つめになかなか手が伸びず
いつまでもデスクの上に置いてある。
あれ?みなさんどうしたの?と聞いたら、
だって・・・
もったいなくて食べれないの。
と口を揃えて言う。
***************************
一緒にクッキーを焼いたメンバーが
その日の夜バイト先から
まっすぐウチに遊びに来て、
私に、
「今日、バイト先のおばちゃんたちに
クッキーあげたんですよ。
そしたら、おばちゃんたち
泣いちゃった。」
と報告してくれた。
そりゃぁ泣くよ~!と私は思わず
顔がほころびながら大きくうなずいた。
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おとといのクリスマスパーティでも
我が家のリビングで10数人が賑やかに
集まっていたが、
料理や後片付けはオトコのコたち。
4~5人のオンナのコはずっと
ひたすらおしゃべりに花を咲かせていた。
なんだか時代って変わるもんだよな。
男性の出生率が増え、女性が減少している昨今、
保育園時代から高校までを思い出しても
男女別で整列すると圧倒的にオンナのコが少なかった。
TVや新聞などで報道されていることは
本当なんだとリアルタイムで感じていたのだった。
そして、
子どもたちが大きくなると、
こんな風に変化していくのだ、と
世の流れを感じずにはいられない。
今までのおとーさん達のように
家事はいっさい奥さんまかせのつもりでいては
結婚の対象にすらならない可能性のほうが
大きいからだ。
働いて、お給料をもらい
家族のことは省みない「働きバチ」は
もはや過去の遺物となりつつある。
「24時間戦えますか?」モードでは、
もう奥さんたちは勝手に戦ってれば?と
背中を向けてどこかに行ってしまいそうな勢いである。
***************************
これから子孫存続の生き残りバトルが始まるんだわ、と
おぼろげながら予想していたのだが、
そうきたか。
戦わずに、ホロッとさせる作戦のつもりなのかもしれない。
おばちゃんたちが泣いちゃうぐらい、
もったいなくて食べれないぐらい、
オンナゴコロを刺激してしまう作戦なのか?
戦って勝ち取るなんて、
もうそんな時代ではなくなるのだと思う。
「KAORUさんも鍋食べますか~?
よそいますよ」
「あ!KAORUさんもアイス食べますか?」
と若い大学生のオトコのコたちは
人んちのお母さんにまで細やかな心遣いをする。
食文化って生きることと直結していると思う。
世の中全体の流れまでは、わからないけど
確かに変化の兆しを感じる。
作ることを楽しみ、食べることを楽しみ、
そして人をまた喜ばせていく。
普遍的な営みの中で、
わずかかもしれないが、
なんとなく、何かがまた今までとは違う方へと
向かっているような、
そんな気がするのである。