N国党が衆議院での議席を失った。「NHKをぶっ壊せ」と立花孝志党首は過激なことを叫んでいたが、爺は「公共放送は必要」という立場なので、N国党には全く興味がなかった。そもそも、one issue だけをウリにする政党が存在すること自体、違和感がある。
こうした中、同党が議席を失ったことで、その原因を考えてみようと公約を調べてみたら、「NHKの番組を視聴していないのに、料金を支払えと言われるのは理不尽だ。受信料を支払った人だけが見ることが出来るスクランブル制にすべきだ」という主張であることがわかった。それなら一理ある。N国党はあまりにも過激な発言をウリにしたことで、かえって支持者を集められなかったのではないだろうか。
さて、当家はあまりTV放送を見る方ではない。見るのは、NHKではニュース、大河ドラマ、「クールジャパン」、「ぶらタモリ」、スポーツの中継ぐらいで、民放では、「開運なんでも鑑定団」(但し録画して、CMをスキップする)、ランチタイムのニュースバラエティーぐらいだ。それでも、見る番組が少ないのは当家の勝手であり、視聴料を払うのは当然だと考えていた。ところがスクランブル制ということなら、話は違ってくる。
一方、最近若年層を主体として、TV番組を見ない人が増えているらしい。朝から晩までスマホを見ていれば、TV番組を見る時間はないだろう。ネットの普及は時代の流れである。新聞業界も同じ問題を抱え、ネット版を作るなど、それなりに対応策を講じている。NHKだけが時代の流れに逆らって、既得権に安住するのは許されない。さらに、NHKの番組を見るのは高齢者が多く、民放番組しか見ないという若年層が多いという問題もある。
そうかといってN国党が主張するように、一挙にスクランブル制に移行したらNHKの経営が成り立たなくなることは火を見るより明らかである。
ついては、NHKは、既存制度の手直しということではなく、スクランブル制を大前提とした経営の再構築を検討すべきである。しかし、こうした抜本的改革が自発的に行われることは考えられず、外部の圧力が必要だろう。
N国党はそのために結党されたのかも知れないが、N国党だけに頼っているわけにはいかない。岸田政権が、スクランブル制を前提にして、いかにしてNHKを存続させるかという観点から、この問題に取り組むよう期待する。