新聞もほとんど読まないし、テレビに至っては、一週間に10分ほど家人がつけっ放しにしているのを眺めるくらいである。
それでも、さして困ることはない。
他人の書いたご高説を読むのや、くだらない笑えないお笑い番組を見るのは真っ平である。
こうして、頑なな、世を拗ねた老人が出来上がっていく。
まあ、仕方がない。
自分も世から好かれようとは思っていない。
一歩一歩、あの世に近づいていくのみである。
軒板の隙間の笛や春疾風 素閑
妻の呼ぶ声薄くして春疾風 素閑
寝覚め床春の嵐に二度寝して 素閑
書き物の春の嵐に倦むはなし 素閑
春嵐饂飩を茹でて吹きこぼれ 素閑
春疾風西に南に星の飛ぶ 素閑
笄も櫛も乱れむ春疾風 素閑
工事場の土くれ砕き春疾風 素閑
春疾風雀は森に飛びにけり 素閑
馬は駆け並木抜き去り春疾風 素閑
春疾風裸電球に逃げこもり 素閑
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