押し迫ってまいりました。卒論が。
提出〆切まで2週間を切り、さすがの卒論生たちも焦った感じが出てきました。良いことですね、遅いけど。ちょっと前までは「書いてる?」「ええ、まあ…ちょっとは」と極めて怪しげな答えだったのが、目の前で必死にPCのキーを叩いてますからね。がんばれがんばれ。
ではここで、この時期に院生が卒論生にしてあげられることをあげてみましょう
○お茶を入れてあげる
○差し入れのりんご(東北方面出身の教授が毎年持ってきてくれる)の皮をむいてあげる
○OBからの卒論生宛の差し入れのお菓子にお礼状を書く
○文房具などの不足がないか気をつける
○PC周辺機器の調整
○提出用ファイルの作成
○スケジュール、ペース配分
○考えをまとめるのに付き合ってアドバイス
○書けた文章に目を通して赤ペン入れ
○燃え尽きないように気をつける(突然動かなくなったり泣き出したりします)
○ちゃんと栄養分をとっているか注意する(飯を抜く学生が出てくる)
○「がんばれ」と言ってあげる
意外に気を配ることはたくさんあります。こういう忙しい時期に限って、さまざまな機器が変調を起こしたりどこかになくなってしまったりするので注意が必要です。一番稼働率が高いカラーレーザープリンタ複合機(コピー、スキャナつき)の黒トナーがほとんどなくなっていることが月曜日に発覚して、あわてて発注したり(今日届きました)。
今日は6個目に書いてある「提出用ファイルの作成」をしました。
この大学では(というかうちの学部がなのか?)作成した卒論は「フラットファイル」と呼ばれる紙製のファイルに綴じて担当事務に提出します。
PLUS社製フラットファイル使用。
提出する際には、表表紙にタイトル、所属や名前、指導教官を、背中にタイトルと名前を明記しないといけません。このファイルを院生がきれいに作っていつでも綴じるばっかりにしてあげるのが、我が研究室の伝統だったりします。で、本当は院生1年の仕事なのですが、ここ何年か新入生が入っていないのと作り慣れてしまったのとで、去年から私が担当しています。というか作りたいってだけですが。
注意することは、とにかく誤字がないようにすること。事前に各学生が担当事務に、作成する卒論のタイトル、名前、教官名などを届け出てあるのですが、その提出書類と最終的に提出する卒論のタイトルなどが一文字でも違うと事務に受理されないのです。「-(ハイフン)」と「―(ダッシュ)」の違いにすら気をつけないといけないのです。
とはいえ偉そうに書くほど大変な作業というわけではありません。ファイルサイズに合わせてタイトルなどを書き(パワーポイント使用)、きれいな紙に印刷し、切りそろえてスプレーのりでファイルに貼る、だけです。注意に注意を重ね、各学生さんに対し3つずつ(提出用、研究室保存用、各自私蔵用)×4人分のファイルを作成しました。正味1時間ほど。大満足。
しかし数時間後、卒論生の1人がそっと声をかけてきました。一番おとなしくて遠慮がちな学生さんですが、指導してくれるインストラクターの研究員さん(YG先輩)とはあっぷあっぷになりながらも一生懸命議論している頑張りやさんの子です。
学生さん:「あのー、すいません…」
本人:「ん、どうかした?」
学生さん:「この……ファイルなんですけど」
本人:「えっ、なんか間違ってた?」
学生さん:「えと、厳密に間違ってるわけじゃないんですけど、でもー」
本人:「ど、どこ間違ってた? どこどこ?」
学生さん:「あのー、名前が…」
やってしまいました。名前を間違えて印刷したファイルを作ってしまったようです。
本人:「ごめんねー。直せるから大丈夫だよ…って、間違ってる?」
作るときにもさんざん確認したのです。実際、一見どこも間違っているようには見えない。
学生さん:「いえ、あのー…よーく見るとですね、苗字の崎のこの部分が大じゃなくて立なんです…」
本人:「え?」
学生さん:「あのー、ですからどちらでもいいといえばいいんですけど、でもいつもこちらを使うんです…」
本人:「え……あああああ! ほんとだ!」
去年の研究法(学部3年生の研究実習)からこの研究室に来ている学生さんなのに、知らなかった……
もちろんこれは直さなければ。今日に限ってネットワークの調子が酷く悪い中で、ハンコ屋さんのサイトをいくつか巡り、どうにかテキストになっているこの漢字を見つけました(MS-IME手書きモードで探したりしたけど、my PCでは見つけられなかった)。フラットファイルの修正、無事完了。
切羽詰ってくるといろいろ不測の事態が起こって楽しいです。もっとも楽しいなんて言えるのは今くらいで、10日後はどうなっていることか……。