それ以来、毎週土曜日、夫とのSEXが終わった後、彼はベランダにやってきた。
彼は、平日は朝早くから学校があり、夜はバイトをしているそうで、唯一翌日朝寝をできる土曜日だけ夜更かししているらしい。
彼の来訪を拒むことはできなかった。気が付いたら、彼が来ることを期待していた。そして、本人曰く「前に付き合っていた30歳年上のSEX上手な奥様から伝授された」という様々なテクニックに毎回翻弄された。綺麗で涼しげな顔とは裏腹に、彼のSEXは情熱的で激しく、何度も何度も何度も絶頂にいかされた。
自分がこんなにまで性の虜になるとは思いもしなかった。彼との情事が待ち遠しくて、彼の指や彼の唇を思い出しては、自慰行為にふけることも多かった。
でも、平日の昼間に彼に会う気にはなれなかった。それを求めたら彼はもうこなくなってしまう気がしたからだ。彼と会うのは月光の下がふさわしい。
不思議と夫に対する罪悪感はなかった。彼との情事が夢の中の出来事のようなせいかもしれない。それに罪悪感が頭をよぎっても、私を満足させることのできない夫に責任がある、という気持ちが勝った。
彼と密会するようになってから、女性ホルモンが活性化したのか、肌が綺麗になった。それに少し痩せた。夫には「最近キレイになった」と喜ばれている。
土曜の昼過ぎ、玄関のインターホンが鳴った。開けると、見知らぬ男が立っていた。背はとても高く、非常に痩せている。汚らしい無精髭をはやしたあまり印象の良くない男。おまけにすごく煙草臭い。
男は暗い声で言ってきた。
「先週、下の階に引っ越してきたものです」
そのセリフに、奥の部屋にいた夫も慌てて出てきて挨拶をした。
おざなりに夫に挨拶を返した後、男は言った。
「携帯を床に直接置いてませんか?」
毎朝七時に携帯のバイブ音が響いてくる。自分は明け方まで仕事をして、七時くらいに寝るので、そのバイブ音がちょうど気になってしょうがない、と言う。
確かに、私がアラーム機能を七時にセットして携帯をベッド下に置いている。階下まで伝って響くなんて思いもしなかった。
「すみません。これから気をつけます」
頭を下げると、男はボソボソと「お願いします」と言いながら、ふと、私達の後方に目をやって、驚いたように声を上げた。
「お宅……」
「はい?」
聞き返したのだが、男は慌てたように挨拶もそこそこに出ていってしまった。
なんだったのだろう?
男の視線の先を推測してみる。廊下の先にはリビングがある。そこに飾ってある絵のことだろうか?それともカーテン?ベランダにおいてある観葉植物のこと?
「気味の悪い奴だったな」
夫が眉を寄せて言う。
「これから何もないといいんだけど。変なことがあったらすぐに教えろよ」
夫の魅力はこういうところだと思う。優しいだけでなく、とても頼りになる。
「ありがとう」
にこりと笑いかけると、夫は口をへの字にしたままつぶやいた。
「まあ、何かあったら引っ越ししてもいいしな」
「え!だ、大丈夫よ!」
思わず叫んでしまった。
「ちょっと暗いだけで、普通の人っぽかったじゃないの。引っ越しなんてしなくて大丈夫」
笑顔で返しておきながらも、用心しないと、と心の中で思った。
引っ越しなんてされたら彼に会えなくなってしまう。もし、何かあっても、夫にバレないようにしなくては・・・・・・。
彼は、平日は朝早くから学校があり、夜はバイトをしているそうで、唯一翌日朝寝をできる土曜日だけ夜更かししているらしい。
彼の来訪を拒むことはできなかった。気が付いたら、彼が来ることを期待していた。そして、本人曰く「前に付き合っていた30歳年上のSEX上手な奥様から伝授された」という様々なテクニックに毎回翻弄された。綺麗で涼しげな顔とは裏腹に、彼のSEXは情熱的で激しく、何度も何度も何度も絶頂にいかされた。
自分がこんなにまで性の虜になるとは思いもしなかった。彼との情事が待ち遠しくて、彼の指や彼の唇を思い出しては、自慰行為にふけることも多かった。
でも、平日の昼間に彼に会う気にはなれなかった。それを求めたら彼はもうこなくなってしまう気がしたからだ。彼と会うのは月光の下がふさわしい。
不思議と夫に対する罪悪感はなかった。彼との情事が夢の中の出来事のようなせいかもしれない。それに罪悪感が頭をよぎっても、私を満足させることのできない夫に責任がある、という気持ちが勝った。
彼と密会するようになってから、女性ホルモンが活性化したのか、肌が綺麗になった。それに少し痩せた。夫には「最近キレイになった」と喜ばれている。
土曜の昼過ぎ、玄関のインターホンが鳴った。開けると、見知らぬ男が立っていた。背はとても高く、非常に痩せている。汚らしい無精髭をはやしたあまり印象の良くない男。おまけにすごく煙草臭い。
男は暗い声で言ってきた。
「先週、下の階に引っ越してきたものです」
そのセリフに、奥の部屋にいた夫も慌てて出てきて挨拶をした。
おざなりに夫に挨拶を返した後、男は言った。
「携帯を床に直接置いてませんか?」
毎朝七時に携帯のバイブ音が響いてくる。自分は明け方まで仕事をして、七時くらいに寝るので、そのバイブ音がちょうど気になってしょうがない、と言う。
確かに、私がアラーム機能を七時にセットして携帯をベッド下に置いている。階下まで伝って響くなんて思いもしなかった。
「すみません。これから気をつけます」
頭を下げると、男はボソボソと「お願いします」と言いながら、ふと、私達の後方に目をやって、驚いたように声を上げた。
「お宅……」
「はい?」
聞き返したのだが、男は慌てたように挨拶もそこそこに出ていってしまった。
なんだったのだろう?
男の視線の先を推測してみる。廊下の先にはリビングがある。そこに飾ってある絵のことだろうか?それともカーテン?ベランダにおいてある観葉植物のこと?
「気味の悪い奴だったな」
夫が眉を寄せて言う。
「これから何もないといいんだけど。変なことがあったらすぐに教えろよ」
夫の魅力はこういうところだと思う。優しいだけでなく、とても頼りになる。
「ありがとう」
にこりと笑いかけると、夫は口をへの字にしたままつぶやいた。
「まあ、何かあったら引っ越ししてもいいしな」
「え!だ、大丈夫よ!」
思わず叫んでしまった。
「ちょっと暗いだけで、普通の人っぽかったじゃないの。引っ越しなんてしなくて大丈夫」
笑顔で返しておきながらも、用心しないと、と心の中で思った。
引っ越しなんてされたら彼に会えなくなってしまう。もし、何かあっても、夫にバレないようにしなくては・・・・・・。