綾さんと初めて話したのは、私が大学一年生、綾さんが大学三年生の11月。
綾さんと私は同じ演劇サークルに所属していたけれど、私は役者チームで、綾さんは衣装チームだったし、学校も学年も違ったのであまり接点がなく、それまでは挨拶しかしたことがなかった。
だからあの日までは、小柄で、銀縁の眼鏡をかけた真面目そうで大人しそうな先輩、という印象を持っていただけだった。
それがあの日、一気に覆された。
定期公演の本番。
私の役柄は『氷の姫』。出番はそんなに多くないが、印象的な役だった。
主人公の女の子の脳内に存在する、彼女のネガティブな考えの化身。恋愛に臆病で男嫌い。だけど最後に氷は溶けていく。
衣装は白のタイトドレスに、白の大きなショールを身にまとったもの。長身の私に良く似合っていた。
まわりからもハマり役だと絶賛され、すっかりあだ名も『姫』に定着してしまった。
終演近く。あと数分で、私の最後の出番。
舞台袖で軽く身をほぐしながら出番を待っていた時のことだった。
「…………え?」
濁点付きの「え」で叫んでしまった。
ビリッという不吉な音が、自分の後ろから聞こえてきたのだ。
「うそ………」
備え付けの鏡に写してみたら……お尻のあたりが……思いきり破れている。そんなに激しく体を動かしたつもりはなかったのだけれど、負荷がかかってしまったらしい……。
「やだっ姫っ破れてる!!」
舞台進行の愛美ちゃんが真っ青な顔をして小さく叫んだ。
「目立つ?」
「目立つというか……かなりいっちゃってるよ。破れてること分かるよこれ絶対」
「んー、ショールで隠れない?」
「この状態なら、隠れてる。でも、ショールを上にあげたら見えちゃうよ」
「んー、じゃ、あげないようにするか。もう出番だもんね。直す時間ないし…。監督今下手にいる?」
二人でボソボソと話していたところに、
「姫の出番まであと何分?」
鋭い、冷静な声が後ろから聞こえてきた。振り返ると、衣装チームの3年の先輩……国中綾さんが無表情に立っていた。
「あと……5分、くらいです」
愛美ちゃんがストップウォッチと台本を見比べながら答えると、綾さんは、ニコリともせずに私を見上げて言った。
「じゃあ、脱いで」
「は?!」
「早く」
「こ、ここで?!」
「………………」
これ以上なんか言ったらぶっ殺すぞお前、って目をした綾さん。こ、こわい……。
おとなしくドレスを脱ぎ、すでに糸を通した針を持っていた綾さんに渡す。
それからは、本当に魔法のようだった。
ものすごい早さで布を縫い合わせていく綾さんの手。ひたすら手元を見ている真剣な眼差し。戦っているかのようだ。オーラがほとばしっている。
薄暗い舞台裏で、彼女のいる場所にだけ光彩が放たれている。
すごい……綺麗……
見とれてしまった。大人しい印象しかなかった綾さん。実はこんなに美しいオーラを持った人だったなんて。
ドクンドクンと鼓動が高鳴ってくる。
なんて、なんて、綺麗な人なんだろう……
「あと、2分……です」
おどおどと愛美ちゃんが言いにきたのと、綾さんが糸を切って、立ち上がったのはちょうど同時だった。
「着て」
「は、はい……」
羽織っていたショールを取り、急いでドレスを着ると、綾さんがファスナーをあげてくれた。そして背中越しに言われた。
「もう大丈夫だから、最後、ショールをもつところ、練習通りにやって」
「………はい」
「あのね、私たちは客席から効果的に見えるようにデザインを考えて衣装を作っているの。簡単にショールをあげなければいい、なんて言わないで」
「…………っ」
頭を殴られたような衝撃を受けた。
そうだ。私はなんて傲慢なことを………。舞台は役者だけでは成り立たない。監督、衣装、大道具、小道具、照明、音響……表に立たない人たちの支えのおかげで役者は安心して舞台に立てているのだ。
「あの、すみません、私……っ」
「ああ、ごめんなさい。本番前に」
「!」
ドキリとする。さっきまでの殺し屋のような視線はどこへやら、綾さんはふんわりとした笑顔で微笑むと、背伸びしてショールをかけてくれた。
「私、姫の最後のシーン大好きなの。光が効果的にショールにあたって、想像以上に舞台映えしてる。この衣装を作って良かったって誇りに思える。ありがとうね、姫。あなたが着てくれるおかげよ」
「綾さん……」
綾さん、こんな優しい笑顔もできる人なんだ……。鼓動がさらに早くなる。
「姫、出番くるよ!」
愛美ちゃんの泣きそうな声に、軽く手をあげてから、再び綾さんに振り返る。
「綾さん、ありがと」
「頑張って」
「はい」
そして…………
どーーーーしても、我慢できなかった。衝動に負けてしまった。
すばやく、綾さんの小さな唇に顔を寄せる。
「ちょ?!」
「ごちそうさまですっ」
真っ赤になった綾さんに手を合わせると、舞台に向かって走っていく。
『ああ、私はなんて幸せなの! あなたに出会えた! これが恋なのね!』
心をこめて、舞台で叫ぶ。
セリフ通り、まさに今、恋がはじまった私を、スポットライトが照らし出す。
(綾さんの唇、柔らかかったなあ……)
気を抜くとふやけてしまいそうな顔を引き締め、歌いだす。
(綾さん、あなたのためだけに、今このシーンを演じるよ)
白いショールを大きく広げ、私は舞台を舞った。
***
今日は運動会。6月第2土曜日は晴天に恵まれ、気温も30℃近くまで上がり、子供たちの声もいつも以上に明るく響いている。
「先生ーーー!大変大変大変ーーー!!大事件ーーー!!」
佐藤美咲がいつものようにワーワーと騒ぎながら走ってきた。
あの冷静沈着な綾さんの娘とは思えない、いつでもテンション高めのにぎやかな子だ。
「はいはい、どうしたの?」
放送ブースにいた私は、近くの先生にあとをお願いすると、美咲の方へ向き直った。
瞬間、嫌な予感がした。
美咲と仲良しの菜々美、さくらと一緒に、白井鈴子がいる。
鈴子は派手目なこの3人とはタイプが違い、地味目で大人しい女の子だ。それなのに出席番号が近かったせいか、二年生になってすぐに美咲たちと仲が良くなった。でも案の定、メンバー内で浮いてきてしまった。すこし天然ぽいところのある子なので、美咲たちのようなチャキチャキとしたタイプの子をイラつかせてしまうのだろう。次第にイジメともとれる言動も見られたため、かなり注意して監視するようにしていた。
私はクラス全員と仲良くなる必要はどこにもないと思っている。合う人間合わない人間がいるのだから、自分が一緒にいて居心地の良い子達と仲良くすればいい。鈴子には鈴子とあう友達がいるはずなのだ。
早々に席替えをして、鈴子と合いそうな子を近くの席にしてみたり、色々試してみて、ようやく最近、美咲たちと離れたように見えたのに……。
「これ見て! 私と鈴子ちゃんのダンスの衣装……」
「!! ちょっ、これ……なんで……」
声を失ってしまった。美咲が持ってきたのは、2年生全員によるダンスの衣装。家庭科の授業でそれぞれ自分たちで作った、白地のひらひらとした短い丈のワンピース。黄色い花の飾りが首元と裾にちりばめられている。
そのワンピースのお腹のあたりが………ぽっかりと切り取られてしまっているのだ。
「どういうこと………」
「わかんない。次の次の番だからみんな着替えはじめたんだけど、私と鈴子ちゃんのだけこんなになっちゃってて。どうしよう、先生」
「…………………」
誰がこんなこと……、いや、犯人捜しは後だ。それよりもこの場をどう乗り切るかだ。
今、ダンスの前の前の種目の真っ最中。ということは、あと25分くらいしか時間がない。
「先生、確か、見本が一着あったよね?」
菜々美が言う。
「とりあえず、美咲はそれ着ればいいんじゃない?」
「…………」
「だって、美咲、最後センターじゃん。センターが穴空いた衣装着るわけにはいかないでしょ?」
「………」
ああ、なるほど。そういうことね。鈴子の衣装をダメにしたところで、見本の衣装がある。美咲の衣装も一緒にダメにすれば、見本の衣装はセンターの美咲に回る。そうすれば鈴子だけが衣装を着られなくなる……ってことね。
「………」
くっそー、こいつら全員体操着で出してやろうか!
………いやいやいや、冷静に冷静に。何の証拠もない。憶測の話だ。
とにかくこの場を乗り切らなくては………。
「先生、私でなくていいよ~。美咲ちゃんが見本の着て……」
「ダメ」
鈴子ののんびりした申し出を強く遮る。
「みんなで一生懸命練習してきたんじゃない。みんなで出ないと意味がない!」
「先生……」
「せっかく今まで積み上げてきたものをこんな風に……」
こみあげてくるいらだちを拳にためながら、穴の開いた衣装を見つめる。
見本が一着。真ん中に穴の開いた衣装が二着。
穴の開いた衣装が二着。二着………。二着?
「そうだ!!」
思わず叫ぶと、美咲達がビクッと飛び上がった。
「な、なに、先生……」
「美咲さん、お母さん連れてきて! さっき本部左手の観客席で見かけた!」
「…………へ?」
きょとんとした美咲の肩に手を置き、いいから早く!お母さんを連れて家庭科室に行って!と押し出す。
破れた衣装が2着。綾さんの魔法の手があれば………綾さんなら………!
-------------------------------------------------------------
あかねと綾さんのなれそめ話を書けて嬉しかったです。
舞台が始まる前や最中の舞台袖の雰囲気が好き。
運動会も裏方仕事が好き。
あかね先生、ジャージ似合いそう。
あかね先生、運動会の人ごみの中、綾さんがいるところをちゃんとチェックしていたあたりいじらしい。
話続きなので、あまり間を空けず、26日木に更新しまーす。
綾さんと私は同じ演劇サークルに所属していたけれど、私は役者チームで、綾さんは衣装チームだったし、学校も学年も違ったのであまり接点がなく、それまでは挨拶しかしたことがなかった。
だからあの日までは、小柄で、銀縁の眼鏡をかけた真面目そうで大人しそうな先輩、という印象を持っていただけだった。
それがあの日、一気に覆された。
定期公演の本番。
私の役柄は『氷の姫』。出番はそんなに多くないが、印象的な役だった。
主人公の女の子の脳内に存在する、彼女のネガティブな考えの化身。恋愛に臆病で男嫌い。だけど最後に氷は溶けていく。
衣装は白のタイトドレスに、白の大きなショールを身にまとったもの。長身の私に良く似合っていた。
まわりからもハマり役だと絶賛され、すっかりあだ名も『姫』に定着してしまった。
終演近く。あと数分で、私の最後の出番。
舞台袖で軽く身をほぐしながら出番を待っていた時のことだった。
「…………え?」
濁点付きの「え」で叫んでしまった。
ビリッという不吉な音が、自分の後ろから聞こえてきたのだ。
「うそ………」
備え付けの鏡に写してみたら……お尻のあたりが……思いきり破れている。そんなに激しく体を動かしたつもりはなかったのだけれど、負荷がかかってしまったらしい……。
「やだっ姫っ破れてる!!」
舞台進行の愛美ちゃんが真っ青な顔をして小さく叫んだ。
「目立つ?」
「目立つというか……かなりいっちゃってるよ。破れてること分かるよこれ絶対」
「んー、ショールで隠れない?」
「この状態なら、隠れてる。でも、ショールを上にあげたら見えちゃうよ」
「んー、じゃ、あげないようにするか。もう出番だもんね。直す時間ないし…。監督今下手にいる?」
二人でボソボソと話していたところに、
「姫の出番まであと何分?」
鋭い、冷静な声が後ろから聞こえてきた。振り返ると、衣装チームの3年の先輩……国中綾さんが無表情に立っていた。
「あと……5分、くらいです」
愛美ちゃんがストップウォッチと台本を見比べながら答えると、綾さんは、ニコリともせずに私を見上げて言った。
「じゃあ、脱いで」
「は?!」
「早く」
「こ、ここで?!」
「………………」
これ以上なんか言ったらぶっ殺すぞお前、って目をした綾さん。こ、こわい……。
おとなしくドレスを脱ぎ、すでに糸を通した針を持っていた綾さんに渡す。
それからは、本当に魔法のようだった。
ものすごい早さで布を縫い合わせていく綾さんの手。ひたすら手元を見ている真剣な眼差し。戦っているかのようだ。オーラがほとばしっている。
薄暗い舞台裏で、彼女のいる場所にだけ光彩が放たれている。
すごい……綺麗……
見とれてしまった。大人しい印象しかなかった綾さん。実はこんなに美しいオーラを持った人だったなんて。
ドクンドクンと鼓動が高鳴ってくる。
なんて、なんて、綺麗な人なんだろう……
「あと、2分……です」
おどおどと愛美ちゃんが言いにきたのと、綾さんが糸を切って、立ち上がったのはちょうど同時だった。
「着て」
「は、はい……」
羽織っていたショールを取り、急いでドレスを着ると、綾さんがファスナーをあげてくれた。そして背中越しに言われた。
「もう大丈夫だから、最後、ショールをもつところ、練習通りにやって」
「………はい」
「あのね、私たちは客席から効果的に見えるようにデザインを考えて衣装を作っているの。簡単にショールをあげなければいい、なんて言わないで」
「…………っ」
頭を殴られたような衝撃を受けた。
そうだ。私はなんて傲慢なことを………。舞台は役者だけでは成り立たない。監督、衣装、大道具、小道具、照明、音響……表に立たない人たちの支えのおかげで役者は安心して舞台に立てているのだ。
「あの、すみません、私……っ」
「ああ、ごめんなさい。本番前に」
「!」
ドキリとする。さっきまでの殺し屋のような視線はどこへやら、綾さんはふんわりとした笑顔で微笑むと、背伸びしてショールをかけてくれた。
「私、姫の最後のシーン大好きなの。光が効果的にショールにあたって、想像以上に舞台映えしてる。この衣装を作って良かったって誇りに思える。ありがとうね、姫。あなたが着てくれるおかげよ」
「綾さん……」
綾さん、こんな優しい笑顔もできる人なんだ……。鼓動がさらに早くなる。
「姫、出番くるよ!」
愛美ちゃんの泣きそうな声に、軽く手をあげてから、再び綾さんに振り返る。
「綾さん、ありがと」
「頑張って」
「はい」
そして…………
どーーーーしても、我慢できなかった。衝動に負けてしまった。
すばやく、綾さんの小さな唇に顔を寄せる。
「ちょ?!」
「ごちそうさまですっ」
真っ赤になった綾さんに手を合わせると、舞台に向かって走っていく。
『ああ、私はなんて幸せなの! あなたに出会えた! これが恋なのね!』
心をこめて、舞台で叫ぶ。
セリフ通り、まさに今、恋がはじまった私を、スポットライトが照らし出す。
(綾さんの唇、柔らかかったなあ……)
気を抜くとふやけてしまいそうな顔を引き締め、歌いだす。
(綾さん、あなたのためだけに、今このシーンを演じるよ)
白いショールを大きく広げ、私は舞台を舞った。
***
今日は運動会。6月第2土曜日は晴天に恵まれ、気温も30℃近くまで上がり、子供たちの声もいつも以上に明るく響いている。
「先生ーーー!大変大変大変ーーー!!大事件ーーー!!」
佐藤美咲がいつものようにワーワーと騒ぎながら走ってきた。
あの冷静沈着な綾さんの娘とは思えない、いつでもテンション高めのにぎやかな子だ。
「はいはい、どうしたの?」
放送ブースにいた私は、近くの先生にあとをお願いすると、美咲の方へ向き直った。
瞬間、嫌な予感がした。
美咲と仲良しの菜々美、さくらと一緒に、白井鈴子がいる。
鈴子は派手目なこの3人とはタイプが違い、地味目で大人しい女の子だ。それなのに出席番号が近かったせいか、二年生になってすぐに美咲たちと仲が良くなった。でも案の定、メンバー内で浮いてきてしまった。すこし天然ぽいところのある子なので、美咲たちのようなチャキチャキとしたタイプの子をイラつかせてしまうのだろう。次第にイジメともとれる言動も見られたため、かなり注意して監視するようにしていた。
私はクラス全員と仲良くなる必要はどこにもないと思っている。合う人間合わない人間がいるのだから、自分が一緒にいて居心地の良い子達と仲良くすればいい。鈴子には鈴子とあう友達がいるはずなのだ。
早々に席替えをして、鈴子と合いそうな子を近くの席にしてみたり、色々試してみて、ようやく最近、美咲たちと離れたように見えたのに……。
「これ見て! 私と鈴子ちゃんのダンスの衣装……」
「!! ちょっ、これ……なんで……」
声を失ってしまった。美咲が持ってきたのは、2年生全員によるダンスの衣装。家庭科の授業でそれぞれ自分たちで作った、白地のひらひらとした短い丈のワンピース。黄色い花の飾りが首元と裾にちりばめられている。
そのワンピースのお腹のあたりが………ぽっかりと切り取られてしまっているのだ。
「どういうこと………」
「わかんない。次の次の番だからみんな着替えはじめたんだけど、私と鈴子ちゃんのだけこんなになっちゃってて。どうしよう、先生」
「…………………」
誰がこんなこと……、いや、犯人捜しは後だ。それよりもこの場をどう乗り切るかだ。
今、ダンスの前の前の種目の真っ最中。ということは、あと25分くらいしか時間がない。
「先生、確か、見本が一着あったよね?」
菜々美が言う。
「とりあえず、美咲はそれ着ればいいんじゃない?」
「…………」
「だって、美咲、最後センターじゃん。センターが穴空いた衣装着るわけにはいかないでしょ?」
「………」
ああ、なるほど。そういうことね。鈴子の衣装をダメにしたところで、見本の衣装がある。美咲の衣装も一緒にダメにすれば、見本の衣装はセンターの美咲に回る。そうすれば鈴子だけが衣装を着られなくなる……ってことね。
「………」
くっそー、こいつら全員体操着で出してやろうか!
………いやいやいや、冷静に冷静に。何の証拠もない。憶測の話だ。
とにかくこの場を乗り切らなくては………。
「先生、私でなくていいよ~。美咲ちゃんが見本の着て……」
「ダメ」
鈴子ののんびりした申し出を強く遮る。
「みんなで一生懸命練習してきたんじゃない。みんなで出ないと意味がない!」
「先生……」
「せっかく今まで積み上げてきたものをこんな風に……」
こみあげてくるいらだちを拳にためながら、穴の開いた衣装を見つめる。
見本が一着。真ん中に穴の開いた衣装が二着。
穴の開いた衣装が二着。二着………。二着?
「そうだ!!」
思わず叫ぶと、美咲達がビクッと飛び上がった。
「な、なに、先生……」
「美咲さん、お母さん連れてきて! さっき本部左手の観客席で見かけた!」
「…………へ?」
きょとんとした美咲の肩に手を置き、いいから早く!お母さんを連れて家庭科室に行って!と押し出す。
破れた衣装が2着。綾さんの魔法の手があれば………綾さんなら………!
-------------------------------------------------------------
あかねと綾さんのなれそめ話を書けて嬉しかったです。
舞台が始まる前や最中の舞台袖の雰囲気が好き。
運動会も裏方仕事が好き。
あかね先生、ジャージ似合いそう。
あかね先生、運動会の人ごみの中、綾さんがいるところをちゃんとチェックしていたあたりいじらしい。
話続きなので、あまり間を空けず、26日木に更新しまーす。