すみません。再録です。
2017年3月17日投稿「現実的な話をします4」の「おまけ」のみ。
「おまけ」の話、探すのが面倒なので短編として抜き出してます
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☆慶視点。11月3日まで2週間弱のある夜のこと……
おれがベッドに入ると、浩介は読んでいた本を脇に置いて、ニッコニコで言ってきた。
「問題です!11月3日は何の日でしょう?!」
「…………」
おれの彼氏は世に言う『アニバーサリー男』。記念日が大好きだ。
でも、本人の中ではだいぶ押さえているそうで、なるべく言わないことにしているらしい。(うるさく言うのは、付き合った記念日の12月23日だけだ)。
でも、時々こうして言ってくるので、その度におれはウンウン唸ることになる。
(これ、毎年言ってくれたら覚えられるのに、時々しか言わないから覚えられないんだよなあ……)
とも思うけど、毎年言われるのも面倒くさいから、まあいっか……なんて思っていたら、
「今、面倒くさいって思ったでしょ!」
「え」
ズバリ言われて「いやいやいや」と慌てて手をふる。
「そんなことはないぞ。えーっと、11月3日な……、ああ簡単じゃん」
これはさすがに覚えてたぞ! 去年言われたばかりで、去年したばかりだからな。
「初めてキスした日。それから、結婚式の写真を撮った日、だろ?」
「それから?」
「え?」
にっこりと先を促されて、ウッと詰まってしまう。それからってまだ何かあんのかよ……
「それからって……」
「ヒントは、慶がおれに初めてあることを言ってくれた日です」
「あること?」
おれ、何か言ったか?
「あることって……」
「………覚えてないの?」
「…………」
全然わかんねえ……
うーん……と唸っていたら、浩介は「まあ、覚えてないよね。覚えてないと思ったよ」とブツブツいってから、「じゃあ、おやすみ」と、電気を消した。
……………。
気になるじゃねーかよーーー!!!
「……浩介」
「…………」
無視すんなっ!
「答え教えろよっ」
ガシガシと足を蹴ってやると、浩介はようやくこちらに体をむけた。そして、ふわっと包み込むように抱きしめてくれて……
「……愛してるよ」
「………っ」
耳元で低い声でささやかれて、心臓がドクンと跳ね上がる。
(うわ……っ)
と、思ったのと同時に、思い出した。それだ……
「浩介……」
「………」
コツン、とおでこを合わせてやる。
「愛してるよ?」
「………うん」
プッと二人で吹き出してしまう。
そうだった。11月3日は、初キス記念日で、結婚写真記念日で、それから「初めて愛してると言った記念日」。
「愛してるよ……」
「ん」
溢れる愛しい気持ちを伝えながら、そっと唇を合わせる。
11月3日まであと2週間弱。忘れないようにしないとだ………
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