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華麗なるクラシックバレエ・ハイライト 2011年8月3日 すばるホール公演感想 ;バヤデルカまで
まだまだ途中ですいません。。。。
すばるホールの公式サイトはこちら
富田林市の文化振興財団の施設のようで、プラネタリウムやらなんやらもあります。
キャパそのものや、ホールもそんなに大きくはないですが、こじんまりしている分、客席と舞台がとても近く感じますし、
2階もけっこう張り出しているから見易いんじゃないかなー。
舞台に対して客席もへんにだだっ広いどこぞのフォーラムと違って無理なく作ってあるから、
わたしは左端の席、しかもかなり1階後方で観ましたが、そうそう見切れることも少なく。
ホールエントランスそのものは2階にあって、入った感じは「あー、市の施設っぽい雰囲気」的なカウンターがあったりします。
1階は駐車場やら駐輪場やら搬入口やら、それからレストランがありました。
道路はさんでおむかいにはファミレスがあって、ファミレスの近所には、スリランカ料理店?あれ?インド料理だったかな?
そのようなお店もありました。
近鉄川西駅から600メートルほど。
この駅は単線なので、間違えて反対方向の電車に乗らないように注意が必要です。
近鉄のあべの橋駅から急行と普通を使って、30分弱です。
今回の客層は、バレエレッスンも並行していたので、お母さんもしくはお父さん、兄弟姉妹とバレエっ子の組み合わせが大部分。
でもバレエやクラシックが好きなんだなー、というかたがたもわりと多かったように見受けられます。
当日券もちょっとはあったみたいですが、わたしがホールに問い合わせた7月下旬はもうほとんど1階席は残っていませんでしたね。
客席はほとんど満席だったようです。(2階は知らないけど)
第一部
「眠りの森の美女」よりワルツ、ローズ・アダージオ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
オーロラ:エカテリーナ・ハニュコワ
4人の王子:
セルゲイ・シドルスキー ルスラン・ベンツィアノフ
コスティアンチン・ポジャルニツキー イーゴリ・ブリチョフ
ワルツ:キエフ・バレエ
観た場所はR列、つまり前から数えて17列目、、、というか最後列から数えたほうが早い席の、
一番左端でしたが、舞台の間口に対して、そんなにだだっ広く作ってあるホールではないので、
「ああこれなら、見やすいかも。」と一安心していたのですが、
幕が開いてけっこうびっくり。
思った以上に客席と舞台が近くに感じるんです。
これなら、後列のセンター席で観たら、舞台を楽しむのに最適なんじゃないかと。
まあ、そんなに大きくない施設なので、できる演目には限りがあるかもしれませんが。
ガーランドワルツは男女8組16人。
ここで出ている日本人団員の方は、長澤さんしかわからないのですが、もうひとり日本人の方もいました。(キエフ全体でほかにわたしがわかるのは、田北さんと寺田くん。今回の来日メンバーはこの3人以外でも5~6人いらっしゃいます。)
やっぱり、ワルツはこれぐらいは人数いたほうがいいとさらに実感。
本公演ではおそらくこれに学校の生徒も入るだろうし。
もちろん演出によって、少ない人数で行われるガーランドワルツも、決して悪くはないのですが(この前観た、バーミンガムの「眠りの森の美女」のようにね)
こと、グランドバレエの中のワルツの場面となると、、、コール・ド・バレエの華やぎを味わいたいという気持ちが勝ります。
5月のバーミンガム・ロイヤルと、前後して観たアメリカン・バレエ・シアターの公演、
そちらでは公演そのものはとっても大満足で、感動したのですが、
ことコール・ド・バレエに至っては、両プロダクションとも別々の理由でわたしの中では不完全燃焼。。。
バーミンガムは、カンパニーの規模と演出そのものから、「少数精鋭」みたいな感じでしたので、「眠りはともかく、、白鳥だと厳しいかもしれないなあ」といった感じでした。だからこそのあの人数でのガーランドワルツなのかもしれません。
ABTは。うーむ、なんていったら良いのかなあ。まー、一言で言えば、ばらばらなんですよね(苦笑)。
それは今に始まったことではないですし(こらこら。でも本当。。。)
なおかつ、今回来日してくれた人は「来てくれた」と言っちゃ、本国居残り組には申し訳ないのですが、
まあ、あえて「来なかった」ぶっちゃけ「日本には行きたくない」という人もいたと思うのですね。
だから、そんなメンバーの中でのキャスティングだから、踊り的にどうのこうのというより、
(そして踊りも合ってないんだけども、そこは、それ、ABTだから・笑)
まず、、、見かけが(つまり身長が)ばっらばら。
多少のばらつきがある、という以前の問題で、ほんとにばっらばらだったのですよね。
繰り返しますが、両バレエ団の公演そのものは、ワタクシ非常に満足しておりますし、
ましてや両方とも世界に名だたるバレエ団、もともとのレベルはワタクシがどうのこうの文句をつけるようなものではなくて、プロですし、個々のみなさんはほんと、お上手なんですよ。
そして、わたしはロイヤルバレエ、バーミンガムロイヤルバレエ、ABTのほうが、
パリ・オペラ座やNYCBより断然好みなんです。
しかしまあ。
5月から8月にかけて、こう、、、「美しいコール・ド・バレエ」的なものに飢えていたってのもあるんですよね。
だから、キエフのガーランド・ワルツに、ちょっと、、、、、いや、かなり癒されましたねえ。
ずーっとずーっと昔々の10代の頃、バレエを観始めたころは、
「容姿(身長や体型)で生徒や団員を選抜するなんて、なんだかずるい」
みたいな思いが大きかったのです。
その分、体型的に決して恵まれていないダンサー、
あるいは、ぜんぜんバレエの教育体系の確立していない国(主にそれって、日本のことですが)でバレエをやっている人たちが、ひとつの舞台に掛ける真剣勝負の度合いとかね、そういうものに、より心を惹かれていたという部分が大きいです。
まあ今は、、、そうですねえ。ことコール・ドに関しては、ある程度は身長が揃っていたほうが、「より美しい」と思います。団員さんたちの中で大きい小さいがあるのは当然ですし、
それこそ蟻さんや蜂さんじゃあるまいし、みんながみんな、まったく同じってのも、
ちょっと嫌ですが、まあそこそこ、、、そこそこね。
それもまあ、ダンサーの並べ方、ってのもあるんだろうなあ。
背丈がばらばらでもそれが目立たないような並ばせ方とか、、、ありますよね。
いやもう。。。。だって、ABTの闘牛士、、、、頭抱えちゃったのって、アタシだけ?
すんごい、でこぼこだったんだもん(涙)
セギディリアのメンバーで長身の人とかいましたが(ドン・キホーテをリフトしてた人ですよ)、
ああいう人を闘牛士に入れちゃ駄目なわけ?
そこはそれ、闘牛士って、ソリストやドゥミ・ソリストの階級の人の役なんだろうけどもさ。
でもさー。ほんと、、、でこぼこだったんだもーん。
あとは、やはり踊り手さんのライン。
個性や実力がたとえばらばらでも、揃ってしまう、揃っているように見えてしまう恐ろしさ。
こればっかりは、同じメソッドや、同じ学校で育ってきた人たちにはかなわない。
そういうものを至上主義として礼賛したり、絶対視することはないですが、
素直に「美しい」「心地よい」と感じます。
いい合奏やコーラスを聴いたときのような気分になれます。
(だから逆に、ぜんぜん違う教育で育ってきた人たちばかりで構成されているバレエ団や、
大きなカンパニーにたった一人で外部から入り込んで頑張っている人たちって、、、
尊敬しますね。凄いと思います。)
わたしが高校生くらいの頃からですかね。グラスノスチ、ペレストロイカの機運が高まって。
1991年のソ連崩壊は20歳のとき。
それから、、、キーロフやボリショイの体制が変わって、
さらに外貨を稼ぐためにものっすごくたくさん、旧ソ連圏のバレエ団が来日して。
そのころ「腐ってもボリショイ」とか「さすがはキーロフ。。。。」という声はものすごく聴きましたし、わたしも「ああ、、、これはほんとにかなわない・・・・」と思いました。
あの頃とはもっと今は事情が違うし、
芸術と真摯に取り組む姿勢や、プロフェッショナルとしての真剣さ、意識の高さの度合いなどで言ったら、
わたしの愛する旧ソ連圏のバレエ団、ことに一番好きなマールイの子たちにしても、、、
「イギリスやドイツやアメリカのダンサーを見習ってほしい」と感じることもままあります。
端的に言えば「クラシックの踊り手としての素材が、こんなに恵まれているのに。もったいない!!!!」と忸怩たる思いになることが多いんですよね。
身長に関しては。
キエフやモスクワクラシック、それにロイヤルバレエやバーミンガムロイヤル、、、、
ABTもですが。
これぐらいの身長が、まあ普通だよなあ。
マリインスキーやボリショイやパリ・オペラ座がでかすぎるんだよな。。。。
どこまで行っちゃうんだよ、って思いますね。。。。。
(ドイツやオランダ、北欧に関しては、彼らはもともと長身だからそこはあまり気にならない。んなこと言ったら、ロシアもですけども。でもマリインスキーはでかすぎると思うんだ!)
まあ。
そんなことをいろいろ思いつつ。
ガーランドワルツで心癒されておりました。
華やかで楽しそうでうっとりしました。
長澤さんはいついかなるときでも高く脚があがるよなー。
あれは彼女のこだわりなのかしら。
ギエム後世代の「脚は高く上げるべし」みたいなあれなのかな。どうなんでしょうね。
でも可憐ですし、丁寧な踊りはいつも好印象です。
彼女はバレエ団の中でも小柄なほうだから、四羽の白鳥に入るのかな?と思ったのですが、
そこは違いました。
小柄で東洋人ということで、どこにいてもすぐわかるし、これって、お客様からしたら、どの幕でどんな役柄で出ていてもすぐ見つけやすいし、、、、ラッキーなことですよね。
ウクライナのお客様に愛される、暖かい踊りを見せてくれるバレリーナでい続けてほしいなあ。。。。
今年わたしが好きになったダンサーで、こちらは背が高い女性がいらっしゃるのですが、
ガーランドワルツでも後方や、中央で美しく踊る彼女に魅せられました。
はー、素敵。
マルチナさんに似てる~(←もろ、好みのタイプ)
そんな感じで、長澤さんともう1人の女性に見惚れていたから、あんまりわからなかったのですが、
クリメンコって、左胸にタトゥー入れてるんですかね?
それとも何かの傷跡とか手術とかの痕なのかな?(それだったらゴメンなさい)
静岡のときは気づかなかったのですが、長野(駒ヶ根)で気になり、今回オペグラでチェックしたけれども、、、あんまりよくわからなかったです。
マルチナさんに似たダンサーはナターリア・イゴーラワというダンサーでした。
(Nさま、教えてくださり、ほんとにありがとうございます!)
イゴーラワと一緒に踊っていたダンサーは、えーと、スケートで言うと、、、
今よりもっと歳をとらせた、アントン・カヴァレフスキーっていうかんじ。
かれの顔も覚えたので、次また観る機会が楽しみです。
はー、また、、、海外のバレエ団のみなさんが、安心して来日できるような状態になることを祈ります。
続くローズアダージオは、あいかわらずローズの小道具なしバージョン。
キエフっていつもこうでしたっけ?
去年も観ているはずなんですが、、、、記憶にない。
ハニュコワは本日も麗しく愛らしく、しっとり落ち着いたオーロラでした。
アチチュードの姿勢がほんと、綺麗です。
王さまや王妃さまがいないから、4人の王子から踊りに誘われて恥じらい、父母にどうしたらよいか問うところがないから、ものっすごく初々しいオーロラという感じではなく、
3幕くらいのオーロラの雰囲気も無きにしも非ずなのですが、
踊りはとても良かったと思います。
全幕だとどうなんでしょうね。うーん、でも、なんとなく、彼女の雰囲気からして、
落ち着いた大人っぽい(あ、決して老けている、って意味ではないですよ)オーロラなんじゃないかな~、と思います。
4人の王子は、オーロラの美しさを称える演技なども織り交ぜて、いろいろやっていたと思うのですが、困ったことに、ワタクシ、飽きもせずにシドルスキーばっかり観ておりました。
立ち居振る舞いが素敵でした。
マントの裾を腕にからげて歩いていくところや、オーロラの前で上着をキュキュっと直すところとか、うっとり~。
しかし相変わらず。
帽子がでかすぎるというか、シドルスキーの頭に帽子が合ってないというか、、、、、顔がなんも見えん(笑)
3回観たうち、4人の王子的なまとまりは、このすばるホールの出来が個人的ベストでした。
退場の仕方も良かったです。
「白鳥の湖」第1幕第2場より
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ レフ・イワノフ
オデット:ナタリア・ドムラチェワ
王子:チムール・アスケーロフ
白鳥たち:キエフ・バレエ
本日もアスケーロフの「華麗なる大根」っぷりは顕在。
良いのよ、これが彼の持ち味というか、綺麗な男の子の宿命というか。
それでも、もうちょっと、もうちょっと、、、白鳥たちの中からオデットを探すところは、
もうちょっとわかりやすく「ねえ、何処にいるんでしょうね、愛しい彼女は」みたいなものが見えてくるといいんじゃないかと思います。
ナターシャの白鳥は、どうしても脚の強さのほうに目がいってしまうので、
これで上半身がもっと優雅になれば、オデットらしくなるんじゃないかな~、と思いました。
それでも3回観た中では、この日の白鳥は、一番流れもあって、素敵になっていたと思います。
力みみたいなものもなかったですし。
なんだけども、なんだけども、、、アスケーロフのサポートが、3回観た中では、、、
あんまりよろしくなかったというか(苦笑)。
リフトだったり、オデットの腕やら手やらをとって支える、、、そういうようなものは、
ぜんぜん問題ないのですが、どーーーーも、この日はピルエットのサポートがイマイチ。
わたしは心の中で「シャ、シャドルーヒンに習ってこい!」と絶叫!!!!
ご本人も納得いかなかったのかどうかわかりませんが、この後の出番で、サポートのときの真剣さがヒートアップしていたので、それは良かったと思います。
とてもいいものを持っている子だと思うので、マリインスキーで頑張ってほしいです。
個人的には、おっかないくらいのベテランプリマとどんどん組んで、サポートをびしばし鍛えてもらってほしいなあ、って思います。
そんな感じでけっこうナターシャとアスケーロフばかり観ていたので、
せっかく最後なのに、白鳥さんたちをじっくり見る余裕がなくなってしまいましたが、
みなさま丁寧に踊っていらしたと思います。
「海賊」第1幕より 奴隷のパ・ド・ドゥ
音楽:コンスタンチン・フリードリヒ・ペーター・フォン・オルデンブルク
振付:マリウス・プティパ
ギュリナーラ:カテリーナ・ハニュコワ
ランケデム:ルスラン・ベンツィアノフ
本日も大変盛り上がりました。
ハニュコワはほーんと、鉄板の踊りというか、技術がしっかりしていますね。
それで、テクニックをわりとさらりさらりとこなしているので、あんまり難しいことをやっているという感じがしないんですよね。去年は「まあ、なんて可憐なのかしら~」と思いましたが、
若い子の1年ってほんと、すごい。
すっかりしっとり落ち着いた雰囲気です。
まあこれで、もうちょっと、「奴隷のパ・ド・ドゥ」なんだから、イヤイヤっぷりが出てくるといいんですけども。ガラだからニッコニコ楽しそうでもいいのかな。。。。
ルスランも会場をとても盛り上げてくれました。
お客様のあおり方が上手ですね。
こういう客をあおるのを、観客にこびているとか、子供だましだとか、そういって好まない方もいらっしゃるのかもしれませんけども、そして感じ方はその人それぞれでいいと思いますが、
わたしはルスランのこの役作りは素敵だと思いました。
奴隷商人がお金持ちにギュリナーラを高く売りつけようとしているのと、
お客様を喜ばそうと会場を盛り上げる努力が、
うまい具合にマッチしていましたし。
それに一般的に子供だまし、、、、って言いますけども、子供はだまされませんからね(苦笑)
子供に対して子供だましって、通用しませんから。
手を抜いたら絶対に即わかっちゃう。
「バヤデルカ」第2幕より パ・ダクシオン
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
ガムザッティ:ナタリア・ドムラチェワ
ソロル:セルゲイ・シドルスキー →チムール・アスケーロフに変更
キエフ・バレエ
ルスランとカーチャでワクワクしたあとは、
さて、シドルスキーの美しいソロルを堪能しましょうかね。ふー。
などと思っていたら、
満面の笑みのアスケーロフがナターシャと一緒に舞台を跳んで登場。
ちょっと椅子からずり落ちそうになっちまいましたよ!
あれれれれ?シドルスキーじゃない???????
へへへへ変更?????どういうこと?
などとあわあわしてしまいましたが、舞台の上では華やかにバヤデルカの世界。
ナターシャはガムザッティが得意だろうから、とても生き生きとしていて、
ダリアというか、まるでひまわりのようです。
可愛かったですねえ。
ナターシャは藩主のもとでなにも苦労しないで育った世間知らずなお嬢さんって感じ。
自分がソロルに選ばれないとか、ひとっかけらも思っていないんだろうなあ。
勝気というよりも、年齢の割りにすれてないというか、幼いというか。
女の戦いも泣きながら喧嘩しそうですね。
そしてアスケーロフ。
たしかに。
たしかにわたし、彼に対して「華麗なる大根」とか言ったり、
もうちょっと役になりきれ、とか、その美貌を生かすべくアピールしようぜ!
みたいなことを書きましたが、、、、
それにしても、ここ、バヤデルカのソロルでそれをやっちゃいますか、ああた?
いやー。すごかったですよ。ちょっと正視するのがためらわれるくらい、キラキラ極上のスマイルでした。
もし今日はじめてバレエを観に来たお客さまがいたら、しばらくはアスケーロフの煌きが頭から離れないでしょうし、「王子(とか、ヒロインの相手役とか)の基準」が彼になってしまうんじゃないでしょうかね。当分彼の呪縛から離れられないと思う。
あまりの笑顔にちょっとクラクラめまいというかこめかみを抑えてしまいました。
この場面のソロルって、藩主やガムザッティの手前、ニコニコしていなくちゃいけない、でもニキヤのことでも思い悩み、ところどころ複雑な表情を見せたりするものですよね。
シドルスキーが踊ったときも、このあたりは丁寧にお芝居していたのですが、
アスケーロフはそんな葛藤はひとかけらも見せることなく、キッラキラな笑顔で、
「人生最良の日」をむかえているかのよう。
うーん。ガラだから、まあ、笑顔全開でもいいんでしょうが。
なまじ美形だと、それはそれで、笑顔の使い方も大変なのかもしれない、などと思ってしまいました。
肝心の踊りに関しては、ソロはバリバリ全開で、より高く、より美しく、よりハラショーに踊ろうという気概に満ちていて、とても観ていて気持ちよかったです。
観客への心遣いも伝わってきましたし。
高いジュッテが美しくてなにより。
ピルエットは、ええ、ふつうの意味合いでは、きちっと素晴らしいと思いますが、、、
なんでしょうね。軸脚と振り上げている脚と遠心力のせめぎあいだったり、軸そのもののぶれのなさとか、上半身の感じとか、、そういうものの美しさはシドルスキーのソロルを観ちゃったあとだとかなり分が悪いかもしれません。
でも全体的にはとても良い踊りでした。
ピルエットのサポートに関しては、白鳥のときの反省もあったのか、ものすごく気を使って、丁寧に真剣にやっているのが伝わってきました。
笑顔キラキラもこのときだけは超真顔・・・・
いや、ほんと、こういうのって、実際は目に見えてしまってはいけないというか、
なにごともないかのようにこなさないといけないと思いますけども、
とりあえず、自分の踊りだけに心がいってしまっているより、
バレリーナのために真剣にやってくださるのは好印象ですね。
ああそれにしても。やっぱりシャドルーヒンって、サポート上手いなあと実感です。
ここ数年の男性でどこの誰と組んでもサポートが極上だな、ってのは、
ペター・ヤコブソン(最近か????)とシャドルーヒンとホセ・カレーニョだと思います。
コール・ドにいた日本の女性は四羽の白鳥の人ですよね。ちょっと目鼻立ちがくっきりしてタイプで前髪が横分けっぽい人。お名前はなんておっしゃるのかしら。
休憩時間はダッシュでロビーへ行ってキャスト変更を確認。
良かったー。
怪我や病気でシドルスキーが降板、なのではなく、
ふつうにキャスト変更だった~。
シドルスキーのリュシアンが観られるなんて夢のようだわ~。
第2部
「くるみ割り人形」第2幕より 花のワルツ、アダージオ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:ヴァレリー・コフトン
マーシャ:ナタリア・ドムラチェワ
王子:セルゲイ・シドルスキー
花のワルツ:キエフ・バレエ
「人形の精」よりパ・ド・トロワ
音楽:ヨーゼフ・バイヤー
振り付け:ニコライ・レガート セルゲイ・レガート
人形の精:カテリーナ・ハニュコワ
ピエロ:ルスラン・ベンツィアノフ エフゲン・クリメンコ
「瀕死の白鳥」
音楽:カミーユ・サン=サーンス
振付:ミハイル・フォーキン
田北志のぶ
「パキータ」より
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
パキータ:ナタリア・ドムラチェワ
リュシアン:チムール・アスケーロフ →セルゲイ・シドルスキーに変更
ソリスト:カテリーナ・ハニュコワ 田北志のぶ
コール・ド:キエフ・バレエ
「ゴパック」
音楽:ヴァシーリー・パブロヴィチ・ソロヴィヨフ=セドイ
振付:ロスティスラフ・ザハロフ
ルスラン・ベンツィアノフ
最後の最後まで盛り上げ役に徹してくれました。
パキータの女性コール・ドが半円になった前での豪快なゴパック、とても素晴らしかったです。
この日はこれまで観た中では初めて、アンコールみたいなものがなかったです。
あああれは、オマケだったのね、毎回毎回やるわけじゃないんだ、と。
ルスランのこのノリの良さを観ていると、ガウチョとかやってほしいなあ~、って思います。
次回希望!
すばるホールの公式サイトはこちら
富田林市の文化振興財団の施設のようで、プラネタリウムやらなんやらもあります。
キャパそのものや、ホールもそんなに大きくはないですが、こじんまりしている分、客席と舞台がとても近く感じますし、
2階もけっこう張り出しているから見易いんじゃないかなー。
舞台に対して客席もへんにだだっ広いどこぞのフォーラムと違って無理なく作ってあるから、
わたしは左端の席、しかもかなり1階後方で観ましたが、そうそう見切れることも少なく。
ホールエントランスそのものは2階にあって、入った感じは「あー、市の施設っぽい雰囲気」的なカウンターがあったりします。
1階は駐車場やら駐輪場やら搬入口やら、それからレストランがありました。
道路はさんでおむかいにはファミレスがあって、ファミレスの近所には、スリランカ料理店?あれ?インド料理だったかな?
そのようなお店もありました。
近鉄川西駅から600メートルほど。
この駅は単線なので、間違えて反対方向の電車に乗らないように注意が必要です。
近鉄のあべの橋駅から急行と普通を使って、30分弱です。
今回の客層は、バレエレッスンも並行していたので、お母さんもしくはお父さん、兄弟姉妹とバレエっ子の組み合わせが大部分。
でもバレエやクラシックが好きなんだなー、というかたがたもわりと多かったように見受けられます。
当日券もちょっとはあったみたいですが、わたしがホールに問い合わせた7月下旬はもうほとんど1階席は残っていませんでしたね。
客席はほとんど満席だったようです。(2階は知らないけど)
第一部
「眠りの森の美女」よりワルツ、ローズ・アダージオ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
オーロラ:エカテリーナ・ハニュコワ
4人の王子:
セルゲイ・シドルスキー ルスラン・ベンツィアノフ
コスティアンチン・ポジャルニツキー イーゴリ・ブリチョフ
ワルツ:キエフ・バレエ
観た場所はR列、つまり前から数えて17列目、、、というか最後列から数えたほうが早い席の、
一番左端でしたが、舞台の間口に対して、そんなにだだっ広く作ってあるホールではないので、
「ああこれなら、見やすいかも。」と一安心していたのですが、
幕が開いてけっこうびっくり。
思った以上に客席と舞台が近くに感じるんです。
これなら、後列のセンター席で観たら、舞台を楽しむのに最適なんじゃないかと。
まあ、そんなに大きくない施設なので、できる演目には限りがあるかもしれませんが。
ガーランドワルツは男女8組16人。
ここで出ている日本人団員の方は、長澤さんしかわからないのですが、もうひとり日本人の方もいました。(キエフ全体でほかにわたしがわかるのは、田北さんと寺田くん。今回の来日メンバーはこの3人以外でも5~6人いらっしゃいます。)
やっぱり、ワルツはこれぐらいは人数いたほうがいいとさらに実感。
本公演ではおそらくこれに学校の生徒も入るだろうし。
もちろん演出によって、少ない人数で行われるガーランドワルツも、決して悪くはないのですが(この前観た、バーミンガムの「眠りの森の美女」のようにね)
こと、グランドバレエの中のワルツの場面となると、、、コール・ド・バレエの華やぎを味わいたいという気持ちが勝ります。
5月のバーミンガム・ロイヤルと、前後して観たアメリカン・バレエ・シアターの公演、
そちらでは公演そのものはとっても大満足で、感動したのですが、
ことコール・ド・バレエに至っては、両プロダクションとも別々の理由でわたしの中では不完全燃焼。。。
バーミンガムは、カンパニーの規模と演出そのものから、「少数精鋭」みたいな感じでしたので、「眠りはともかく、、白鳥だと厳しいかもしれないなあ」といった感じでした。だからこそのあの人数でのガーランドワルツなのかもしれません。
ABTは。うーむ、なんていったら良いのかなあ。まー、一言で言えば、ばらばらなんですよね(苦笑)。
それは今に始まったことではないですし(こらこら。でも本当。。。)
なおかつ、今回来日してくれた人は「来てくれた」と言っちゃ、本国居残り組には申し訳ないのですが、
まあ、あえて「来なかった」ぶっちゃけ「日本には行きたくない」という人もいたと思うのですね。
だから、そんなメンバーの中でのキャスティングだから、踊り的にどうのこうのというより、
(そして踊りも合ってないんだけども、そこは、それ、ABTだから・笑)
まず、、、見かけが(つまり身長が)ばっらばら。
多少のばらつきがある、という以前の問題で、ほんとにばっらばらだったのですよね。
繰り返しますが、両バレエ団の公演そのものは、ワタクシ非常に満足しておりますし、
ましてや両方とも世界に名だたるバレエ団、もともとのレベルはワタクシがどうのこうの文句をつけるようなものではなくて、プロですし、個々のみなさんはほんと、お上手なんですよ。
そして、わたしはロイヤルバレエ、バーミンガムロイヤルバレエ、ABTのほうが、
パリ・オペラ座やNYCBより断然好みなんです。
しかしまあ。
5月から8月にかけて、こう、、、「美しいコール・ド・バレエ」的なものに飢えていたってのもあるんですよね。
だから、キエフのガーランド・ワルツに、ちょっと、、、、、いや、かなり癒されましたねえ。
ずーっとずーっと昔々の10代の頃、バレエを観始めたころは、
「容姿(身長や体型)で生徒や団員を選抜するなんて、なんだかずるい」
みたいな思いが大きかったのです。
その分、体型的に決して恵まれていないダンサー、
あるいは、ぜんぜんバレエの教育体系の確立していない国(主にそれって、日本のことですが)でバレエをやっている人たちが、ひとつの舞台に掛ける真剣勝負の度合いとかね、そういうものに、より心を惹かれていたという部分が大きいです。
まあ今は、、、そうですねえ。ことコール・ドに関しては、ある程度は身長が揃っていたほうが、「より美しい」と思います。団員さんたちの中で大きい小さいがあるのは当然ですし、
それこそ蟻さんや蜂さんじゃあるまいし、みんながみんな、まったく同じってのも、
ちょっと嫌ですが、まあそこそこ、、、そこそこね。
それもまあ、ダンサーの並べ方、ってのもあるんだろうなあ。
背丈がばらばらでもそれが目立たないような並ばせ方とか、、、ありますよね。
いやもう。。。。だって、ABTの闘牛士、、、、頭抱えちゃったのって、アタシだけ?
すんごい、でこぼこだったんだもん(涙)
セギディリアのメンバーで長身の人とかいましたが(ドン・キホーテをリフトしてた人ですよ)、
ああいう人を闘牛士に入れちゃ駄目なわけ?
そこはそれ、闘牛士って、ソリストやドゥミ・ソリストの階級の人の役なんだろうけどもさ。
でもさー。ほんと、、、でこぼこだったんだもーん。
あとは、やはり踊り手さんのライン。
個性や実力がたとえばらばらでも、揃ってしまう、揃っているように見えてしまう恐ろしさ。
こればっかりは、同じメソッドや、同じ学校で育ってきた人たちにはかなわない。
そういうものを至上主義として礼賛したり、絶対視することはないですが、
素直に「美しい」「心地よい」と感じます。
いい合奏やコーラスを聴いたときのような気分になれます。
(だから逆に、ぜんぜん違う教育で育ってきた人たちばかりで構成されているバレエ団や、
大きなカンパニーにたった一人で外部から入り込んで頑張っている人たちって、、、
尊敬しますね。凄いと思います。)
わたしが高校生くらいの頃からですかね。グラスノスチ、ペレストロイカの機運が高まって。
1991年のソ連崩壊は20歳のとき。
それから、、、キーロフやボリショイの体制が変わって、
さらに外貨を稼ぐためにものっすごくたくさん、旧ソ連圏のバレエ団が来日して。
そのころ「腐ってもボリショイ」とか「さすがはキーロフ。。。。」という声はものすごく聴きましたし、わたしも「ああ、、、これはほんとにかなわない・・・・」と思いました。
あの頃とはもっと今は事情が違うし、
芸術と真摯に取り組む姿勢や、プロフェッショナルとしての真剣さ、意識の高さの度合いなどで言ったら、
わたしの愛する旧ソ連圏のバレエ団、ことに一番好きなマールイの子たちにしても、、、
「イギリスやドイツやアメリカのダンサーを見習ってほしい」と感じることもままあります。
端的に言えば「クラシックの踊り手としての素材が、こんなに恵まれているのに。もったいない!!!!」と忸怩たる思いになることが多いんですよね。
身長に関しては。
キエフやモスクワクラシック、それにロイヤルバレエやバーミンガムロイヤル、、、、
ABTもですが。
これぐらいの身長が、まあ普通だよなあ。
マリインスキーやボリショイやパリ・オペラ座がでかすぎるんだよな。。。。
どこまで行っちゃうんだよ、って思いますね。。。。。
(ドイツやオランダ、北欧に関しては、彼らはもともと長身だからそこはあまり気にならない。んなこと言ったら、ロシアもですけども。でもマリインスキーはでかすぎると思うんだ!)
まあ。
そんなことをいろいろ思いつつ。
ガーランドワルツで心癒されておりました。
華やかで楽しそうでうっとりしました。
長澤さんはいついかなるときでも高く脚があがるよなー。
あれは彼女のこだわりなのかしら。
ギエム後世代の「脚は高く上げるべし」みたいなあれなのかな。どうなんでしょうね。
でも可憐ですし、丁寧な踊りはいつも好印象です。
彼女はバレエ団の中でも小柄なほうだから、四羽の白鳥に入るのかな?と思ったのですが、
そこは違いました。
小柄で東洋人ということで、どこにいてもすぐわかるし、これって、お客様からしたら、どの幕でどんな役柄で出ていてもすぐ見つけやすいし、、、、ラッキーなことですよね。
ウクライナのお客様に愛される、暖かい踊りを見せてくれるバレリーナでい続けてほしいなあ。。。。
今年わたしが好きになったダンサーで、こちらは背が高い女性がいらっしゃるのですが、
ガーランドワルツでも後方や、中央で美しく踊る彼女に魅せられました。
はー、素敵。
マルチナさんに似てる~(←もろ、好みのタイプ)
そんな感じで、長澤さんともう1人の女性に見惚れていたから、あんまりわからなかったのですが、
クリメンコって、左胸にタトゥー入れてるんですかね?
それとも何かの傷跡とか手術とかの痕なのかな?(それだったらゴメンなさい)
静岡のときは気づかなかったのですが、長野(駒ヶ根)で気になり、今回オペグラでチェックしたけれども、、、あんまりよくわからなかったです。
マルチナさんに似たダンサーはナターリア・イゴーラワというダンサーでした。
(Nさま、教えてくださり、ほんとにありがとうございます!)
イゴーラワと一緒に踊っていたダンサーは、えーと、スケートで言うと、、、
今よりもっと歳をとらせた、アントン・カヴァレフスキーっていうかんじ。
かれの顔も覚えたので、次また観る機会が楽しみです。
はー、また、、、海外のバレエ団のみなさんが、安心して来日できるような状態になることを祈ります。
続くローズアダージオは、あいかわらずローズの小道具なしバージョン。
キエフっていつもこうでしたっけ?
去年も観ているはずなんですが、、、、記憶にない。
ハニュコワは本日も麗しく愛らしく、しっとり落ち着いたオーロラでした。
アチチュードの姿勢がほんと、綺麗です。
王さまや王妃さまがいないから、4人の王子から踊りに誘われて恥じらい、父母にどうしたらよいか問うところがないから、ものっすごく初々しいオーロラという感じではなく、
3幕くらいのオーロラの雰囲気も無きにしも非ずなのですが、
踊りはとても良かったと思います。
全幕だとどうなんでしょうね。うーん、でも、なんとなく、彼女の雰囲気からして、
落ち着いた大人っぽい(あ、決して老けている、って意味ではないですよ)オーロラなんじゃないかな~、と思います。
4人の王子は、オーロラの美しさを称える演技なども織り交ぜて、いろいろやっていたと思うのですが、困ったことに、ワタクシ、飽きもせずにシドルスキーばっかり観ておりました。
立ち居振る舞いが素敵でした。
マントの裾を腕にからげて歩いていくところや、オーロラの前で上着をキュキュっと直すところとか、うっとり~。
しかし相変わらず。
帽子がでかすぎるというか、シドルスキーの頭に帽子が合ってないというか、、、、、顔がなんも見えん(笑)
3回観たうち、4人の王子的なまとまりは、このすばるホールの出来が個人的ベストでした。
退場の仕方も良かったです。
「白鳥の湖」第1幕第2場より
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ レフ・イワノフ
オデット:ナタリア・ドムラチェワ
王子:チムール・アスケーロフ
白鳥たち:キエフ・バレエ
本日もアスケーロフの「華麗なる大根」っぷりは顕在。
良いのよ、これが彼の持ち味というか、綺麗な男の子の宿命というか。
それでも、もうちょっと、もうちょっと、、、白鳥たちの中からオデットを探すところは、
もうちょっとわかりやすく「ねえ、何処にいるんでしょうね、愛しい彼女は」みたいなものが見えてくるといいんじゃないかと思います。
ナターシャの白鳥は、どうしても脚の強さのほうに目がいってしまうので、
これで上半身がもっと優雅になれば、オデットらしくなるんじゃないかな~、と思いました。
それでも3回観た中では、この日の白鳥は、一番流れもあって、素敵になっていたと思います。
力みみたいなものもなかったですし。
なんだけども、なんだけども、、、アスケーロフのサポートが、3回観た中では、、、
あんまりよろしくなかったというか(苦笑)。
リフトだったり、オデットの腕やら手やらをとって支える、、、そういうようなものは、
ぜんぜん問題ないのですが、どーーーーも、この日はピルエットのサポートがイマイチ。
わたしは心の中で「シャ、シャドルーヒンに習ってこい!」と絶叫!!!!
ご本人も納得いかなかったのかどうかわかりませんが、この後の出番で、サポートのときの真剣さがヒートアップしていたので、それは良かったと思います。
とてもいいものを持っている子だと思うので、マリインスキーで頑張ってほしいです。
個人的には、おっかないくらいのベテランプリマとどんどん組んで、サポートをびしばし鍛えてもらってほしいなあ、って思います。
そんな感じでけっこうナターシャとアスケーロフばかり観ていたので、
せっかく最後なのに、白鳥さんたちをじっくり見る余裕がなくなってしまいましたが、
みなさま丁寧に踊っていらしたと思います。
「海賊」第1幕より 奴隷のパ・ド・ドゥ
音楽:コンスタンチン・フリードリヒ・ペーター・フォン・オルデンブルク
振付:マリウス・プティパ
ギュリナーラ:カテリーナ・ハニュコワ
ランケデム:ルスラン・ベンツィアノフ
本日も大変盛り上がりました。
ハニュコワはほーんと、鉄板の踊りというか、技術がしっかりしていますね。
それで、テクニックをわりとさらりさらりとこなしているので、あんまり難しいことをやっているという感じがしないんですよね。去年は「まあ、なんて可憐なのかしら~」と思いましたが、
若い子の1年ってほんと、すごい。
すっかりしっとり落ち着いた雰囲気です。
まあこれで、もうちょっと、「奴隷のパ・ド・ドゥ」なんだから、イヤイヤっぷりが出てくるといいんですけども。ガラだからニッコニコ楽しそうでもいいのかな。。。。
ルスランも会場をとても盛り上げてくれました。
お客様のあおり方が上手ですね。
こういう客をあおるのを、観客にこびているとか、子供だましだとか、そういって好まない方もいらっしゃるのかもしれませんけども、そして感じ方はその人それぞれでいいと思いますが、
わたしはルスランのこの役作りは素敵だと思いました。
奴隷商人がお金持ちにギュリナーラを高く売りつけようとしているのと、
お客様を喜ばそうと会場を盛り上げる努力が、
うまい具合にマッチしていましたし。
それに一般的に子供だまし、、、、って言いますけども、子供はだまされませんからね(苦笑)
子供に対して子供だましって、通用しませんから。
手を抜いたら絶対に即わかっちゃう。
「バヤデルカ」第2幕より パ・ダクシオン
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
ガムザッティ:ナタリア・ドムラチェワ
ソロル:セルゲイ・シドルスキー →チムール・アスケーロフに変更
キエフ・バレエ
ルスランとカーチャでワクワクしたあとは、
さて、シドルスキーの美しいソロルを堪能しましょうかね。ふー。
などと思っていたら、
満面の笑みのアスケーロフがナターシャと一緒に舞台を跳んで登場。
ちょっと椅子からずり落ちそうになっちまいましたよ!
あれれれれ?シドルスキーじゃない???????
へへへへ変更?????どういうこと?
などとあわあわしてしまいましたが、舞台の上では華やかにバヤデルカの世界。
ナターシャはガムザッティが得意だろうから、とても生き生きとしていて、
ダリアというか、まるでひまわりのようです。
可愛かったですねえ。
ナターシャは藩主のもとでなにも苦労しないで育った世間知らずなお嬢さんって感じ。
自分がソロルに選ばれないとか、ひとっかけらも思っていないんだろうなあ。
勝気というよりも、年齢の割りにすれてないというか、幼いというか。
女の戦いも泣きながら喧嘩しそうですね。
そしてアスケーロフ。
たしかに。
たしかにわたし、彼に対して「華麗なる大根」とか言ったり、
もうちょっと役になりきれ、とか、その美貌を生かすべくアピールしようぜ!
みたいなことを書きましたが、、、、
それにしても、ここ、バヤデルカのソロルでそれをやっちゃいますか、ああた?
いやー。すごかったですよ。ちょっと正視するのがためらわれるくらい、キラキラ極上のスマイルでした。
もし今日はじめてバレエを観に来たお客さまがいたら、しばらくはアスケーロフの煌きが頭から離れないでしょうし、「王子(とか、ヒロインの相手役とか)の基準」が彼になってしまうんじゃないでしょうかね。当分彼の呪縛から離れられないと思う。
あまりの笑顔にちょっとクラクラめまいというかこめかみを抑えてしまいました。
この場面のソロルって、藩主やガムザッティの手前、ニコニコしていなくちゃいけない、でもニキヤのことでも思い悩み、ところどころ複雑な表情を見せたりするものですよね。
シドルスキーが踊ったときも、このあたりは丁寧にお芝居していたのですが、
アスケーロフはそんな葛藤はひとかけらも見せることなく、キッラキラな笑顔で、
「人生最良の日」をむかえているかのよう。
うーん。ガラだから、まあ、笑顔全開でもいいんでしょうが。
なまじ美形だと、それはそれで、笑顔の使い方も大変なのかもしれない、などと思ってしまいました。
肝心の踊りに関しては、ソロはバリバリ全開で、より高く、より美しく、よりハラショーに踊ろうという気概に満ちていて、とても観ていて気持ちよかったです。
観客への心遣いも伝わってきましたし。
高いジュッテが美しくてなにより。
ピルエットは、ええ、ふつうの意味合いでは、きちっと素晴らしいと思いますが、、、
なんでしょうね。軸脚と振り上げている脚と遠心力のせめぎあいだったり、軸そのもののぶれのなさとか、上半身の感じとか、、そういうものの美しさはシドルスキーのソロルを観ちゃったあとだとかなり分が悪いかもしれません。
でも全体的にはとても良い踊りでした。
ピルエットのサポートに関しては、白鳥のときの反省もあったのか、ものすごく気を使って、丁寧に真剣にやっているのが伝わってきました。
笑顔キラキラもこのときだけは超真顔・・・・
いや、ほんと、こういうのって、実際は目に見えてしまってはいけないというか、
なにごともないかのようにこなさないといけないと思いますけども、
とりあえず、自分の踊りだけに心がいってしまっているより、
バレリーナのために真剣にやってくださるのは好印象ですね。
ああそれにしても。やっぱりシャドルーヒンって、サポート上手いなあと実感です。
ここ数年の男性でどこの誰と組んでもサポートが極上だな、ってのは、
ペター・ヤコブソン(最近か????)とシャドルーヒンとホセ・カレーニョだと思います。
コール・ドにいた日本の女性は四羽の白鳥の人ですよね。ちょっと目鼻立ちがくっきりしてタイプで前髪が横分けっぽい人。お名前はなんておっしゃるのかしら。
休憩時間はダッシュでロビーへ行ってキャスト変更を確認。
良かったー。
怪我や病気でシドルスキーが降板、なのではなく、
ふつうにキャスト変更だった~。
シドルスキーのリュシアンが観られるなんて夢のようだわ~。
第2部
「くるみ割り人形」第2幕より 花のワルツ、アダージオ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:ヴァレリー・コフトン
マーシャ:ナタリア・ドムラチェワ
王子:セルゲイ・シドルスキー
花のワルツ:キエフ・バレエ
「人形の精」よりパ・ド・トロワ
音楽:ヨーゼフ・バイヤー
振り付け:ニコライ・レガート セルゲイ・レガート
人形の精:カテリーナ・ハニュコワ
ピエロ:ルスラン・ベンツィアノフ エフゲン・クリメンコ
「瀕死の白鳥」
音楽:カミーユ・サン=サーンス
振付:ミハイル・フォーキン
田北志のぶ
「パキータ」より
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
パキータ:ナタリア・ドムラチェワ
リュシアン:チムール・アスケーロフ →セルゲイ・シドルスキーに変更
ソリスト:カテリーナ・ハニュコワ 田北志のぶ
コール・ド:キエフ・バレエ
「ゴパック」
音楽:ヴァシーリー・パブロヴィチ・ソロヴィヨフ=セドイ
振付:ロスティスラフ・ザハロフ
ルスラン・ベンツィアノフ
最後の最後まで盛り上げ役に徹してくれました。
パキータの女性コール・ドが半円になった前での豪快なゴパック、とても素晴らしかったです。
この日はこれまで観た中では初めて、アンコールみたいなものがなかったです。
あああれは、オマケだったのね、毎回毎回やるわけじゃないんだ、と。
ルスランのこのノリの良さを観ていると、ガウチョとかやってほしいなあ~、って思います。
次回希望!
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