もとちゃんの話をすると長くなるのだが・・・まぁ、簡潔に。
四年前、初めて八丈島を訪れた時、最初に仲良くなった島の人がもとちゃんだ。
釣り竿を貸してくれたり、クーラーボックスを貸してくれたり、釣り場へ釣れて行ってくれたり、釣った魚を調理してくれたり・・・色々とお世話になった。(もとちゃんから借りた釣り竿は、おれが海へ落とした)。
で、手紙を書いてねと渡された住所に、手紙を送ったのだが・・・二年後に会った時には、そのほとんどの出来事を忘れていたのがもとちゃんだ。(少しずつ思い出したみたいだけど)。
朝の釣りのあと、少し昼寝をしてから海へ行った。この場合の海へ行くは、海水浴の海である。
散々ぱら、浮き輪でプカプカと浮かんで潮に流されてプカプカと浮かんで潮に流されて・・・少々日に焼けた。
キャンプ場まで、徒歩5分の帰り道。自転車を引いて歩くもとちゃんに発見された。
あっ、もとちゃん!と僕は言ったのだが、もとちゃんはキョトンとした顔をしていた。「こいつ、また忘れてやがる」と思った瞬間、「あー!」ともとちゃんが叫んだのだが、怪しいもんだ。
一緒に歩いてキャンプ場へ。「懐かしいなぁ・・・三年振りかい?」ともとちゃんが聞いてくるから、「去年も一昨年も来てるけどね、一緒に釣りに行ったけどね」と答えると、「あぁ、そうだった、そうだった」と思い出した振りをするのだけれど、怪しいもんだ。
二時間くらい休んで、夕方、もとちゃんと一緒に釣りに出かけた。もとちゃんと行くと結構釣れる。八丈島到着からまだ一匹も釣っていない僕にもチャンス到来か?
魚はいた。メッチャいた。もう完全に目視出来る。大小様々1000匹くらい見えた。でもなかなか食わない。食ってくれない。周りの釣り人もそんな状態だったから、きっとそんな時間帯だったのだろう。
それでも、なんとか、ムロアジ数匹とシマアジを釣りあげた。そして、近所の釣り人からムロアジを数匹いただいた。
キャンプ場へ戻って調理開始。調理はもとちゃんが担当。もとちゃんは板前らしい。包丁捌きはさすがのものだ。あっという間に、ムロアジのお造りとナメロウが出来上がる。シマアジはアジ飯にした。
昨日は何も釣れなかったから、焼きそばを作って食べた。
やっと魚。やっと魚でご飯が食べられるというわけである。もとちゃんのお陰だ。
もとちゃんにはお礼に発泡酒を買ってあげた。
今年のムロアジは脂がのっていて美味い。旨すぎる。
あぁ・・・飽きるほどムロアジが食べたい。そんなことを想う、八丈島二日目の夜なのである。