熊本市川尻の工芸館を訪ねた。
配偶者が久留米絣の展示会が催されており、是非見てみたいというのである。
残念ながら私には着物の展示会など、ほぼ天敵に等しい。
しかしまあ、ここは度量の大きいところを見せておくことにした。
ほかにも工芸品はあるだろうし、振るい江戸時代からの細川藩の港町ではあるし、見るべき物は他にも多いはずだと思ったのだ。
久留米絣は着物の他に小物に加工されたものもかなりあったが、配偶者の求める物とは品物も値段もかなり違っていて、早々に会場を後にして私が本来見たかった所に移動した。
工芸館に車を置いたまま港の方向に歩いた。
途中に参勤交代などでの薩摩藩の本陣跡があったり、西南戦争当時の西郷軍の司令部後があったりして、歴史のかおりも漂ってきた。
奇異に感じたのは、車両用の道路とも歩行者用の道路ともつかない不思議な道路のこと。
道路自体は昔の狭い道路なのだが、おおむね直線の道路にうねうねと曲ったラインが引かれ、舗装の形式も変えてある。
たぶん歩行者に用心させ、車にも錯覚を起こさせてスピードを控えさせようという目論みなのだろう。
写真では鮮明でないが、上空から見たらきっとグニャグニャが続いているのが見える筈だ。
川沿いに道路を歩くと古い港に出た。案内標識も不十分で、工芸館でもらった付近の案内図がなかったらたどり着けなかった。
時代がかった石造りの船着き場は結構な長さで続いていた。
この川はすぐそこの有明海に繋がっていて、藩政時代には栄えていた港であったことが分かる。
所期の目的が達成できなかった、配偶者は直接久留米の展示館の見学を希望した。
そこで、久留米絣展示館で入力してカーナビ任せで緊急目的地変更・・・・出発。
なぜか展示館は柳川市あたりばかり、柳川下りには何度か行ったが久留米絣は初耳。
しかし結果的に、とんだ着物の拾い物(配偶者の弁によれば)をして、ご満悦のご帰宅。
同じ有明海沿いではあるが、熊本の川尻と福岡の柳川は・・共通点は「川」の字がつくというだけであって、場所的にも180度逆方向の町である。
大体いつもこうなのだ、脇道・寄り道の方が本来の目的地より遠かったり大袈裟だったり・・。
そして、思いがけない拾いものというのは、寄り道の方に転がっていたりするものなのだ。