帰省ラッシュがピークを迎えているらしい。
帰省というか旦那と一緒に我が家に来ていた娘が涼しいところに行きたいと言い出した。
突然なのでいろいろ考えた結果、先般の水害で被害に遭っていなくて、しかも涼しい場所を選定することになった。
球泉洞という鍾乳洞があってあそこなら文句なく涼しい。
それに時間帯が合致すればSL人吉号も走ってくれる筈である。
SLの時間だけ把握して、とりあえず出発。
線路脇には沢山の真っ白な百合が咲いていた。(どうやら自生しているらしい)
鍾乳洞に入ってからSLの通過時間を気にするのは嫌なので、SLを見てからにすることにした。
結構な待ち時間があったし、撮影ポイントを探してうろうろしていたら一勝地駅という小さな駅舎が目に付いた。
ここなら、走ってくるところも停車中の所もどちらも写せるし、駐車場にも困らない。
待ってしばし・・・配偶者と娘が、笑いながら駅舎から出てきた。
聞けば8月は水曜日が運休日らしい。その水曜日が今日でどんぴしゃりだったのだ。
来ないものを待つというのは、完全に肩すかしを食わされたわけで、悔しさもひとしおだ。
駅のオバサンが気の毒そうに運行予定表をくれた。
折角なので案内標識を頼りに付近を散策した。
球磨川沿いに上流に向かうと、のんびり鮎を釣っている人も。
元気な若者はわいわいきゃあきゃあと歓声を上げながら川下り。
脇道を山手に進むと、棚田百選にえらばれている山あいの村についた。
平地がないので田んぼはすべて棚田。
訪れる時期によっては、良い写真がとれそうな雰囲気の場所だった。
そのあと鍾乳洞のある球磨川沿いの森林館のほうへ引き返す。
鍾乳洞は入り口付近の建物からしてすでに涼しいし、外と洞内の気温差で入り口付近には霧のようなものが漂っていた。
寒いのなんの・・・冗談で持ってきていた長袖が役に立った。
目的の鍾乳洞は既知の場所で何度も訪れていて涼しい以外は感慨もないのだが、予定外に回ってしまった暑い最中の付近の散策の方が以外と楽しかった。
そういえば、旅行の思い出などでは目当てのものより、ついでに回った所とかトラブルやハプニングの方が後々思い出に残っていたりして、よその土地を訪ねる楽しみも、その土地に暮らしている人達とか風景や動物との触れ合いにあるような気がする。
人の良いオバサンや、名調子の案内の小父さんなどつい思い出してしまうものだ。
もう随分昔に訪れた終着駅の町の駅前食堂で、志村けんの演ずるヨレヨレのお婆さんの、実物版にお目に掛かったことは家族中が今でも憶えている。
「お客さん・・どちらから・・おおおおそれはそれは・・・遠い所から・・・大変でしたねえ」
志村けんは、ここのお婆さんをパクッたのではと思わせる迫力だった。