春のうららにつられて江図湖の湖畔を歩いていたら、ちょっと変わったものが湖面を動き回っていた。
水に浮かびながら前後に器用に動き、方向転換を繰り返しながら作業をしている。
後方を見ると積載物から湖面に棲息している浮き草の類を収集しているようだ。
ウオーターレタスだの何だのとこのところ外来種が水面を覆い尽くすように繁茂する時期がもうすぐやってくる。
春先のまだ棲息域の小さい頃にやっつけてしまおうと作戦らしい。
確かに成長した後は除去量も膨大なものになるし、作業の困難性も増大する。
最近はこうした外来種に脅かされる事態を頻繁に見聞する。
今年になって、京都の鴨川付近で捕獲されるヌートリアが年々その頭数を増加させているという新聞記事を見た。
この写真は確か5~6年前に京都旅行中に鴨川の堤防沿いを歩いていて、橋脚の横にうずくまっていた妙な生き物を写してしまい、京都市役所に問い合わせたときに使ったものである。そのとき初めてヌートリアなる名前を知った。
セアカゴケグモ、台湾リス、ブラックバス、なんとかマイマイ等々、動物から植物に至るまで入り込む生物は数知れずということだろう。
とくに近年はペットとして輸入されたものが、飼育放棄で捨てられて想像を絶する生物が想像を絶する場所で発見されたりするご時世である。
ただし、コスモスや菊・梅などすっかり古来のものとして定着してしまっているものもあるから、在来種の定義はかなり難しくなってくる。
日本人にしてからが、固有種と南方・北方・大陸などの渡来人との混血で出来上がっている。
自然の風や人や物の動きに乗じて運ばれてくる外来種は適者生存の原則で世界中に広がっていく。
ちょっと恐れ多いが人間も同じ生物だから必要性と排除の問題は、やがて日本への移民の問題などとして顕在化していくだろう。
ヨーロッパなどの成熟社会に日本も突入したということだから、日本らしい足して二で割る柔軟思考や、外来文化も日本バージョンに変化させて取り込んでしまう大らかさ・逞しさを保持できるかが鍵だろうと思う。