ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

心を纏う服

2014-01-22 16:15:32 | 
見覚えのあるおじさんが店に入ってきた

こないだまで普通に歩いていたのに

いまは杖をついている



おじさんのタバコを渡し、値段を伝えると

おじさんは片手で財布を探る

もどかしく、少しばかり寂しい時が積もっていく

ようやくおじさんが小銭を出し、僕は安堵した



店を閉め、コンビニへ立ち寄り、暗がりの家へ向かう

居酒屋から炭酸の抜けたような歌声が

冷たい夜風に乗っかって僕の耳に届く

なんとも幸福そうな声だ



足の裏が痛い

靴底が薄いからだろう

僕を纏っているセーターも

きっと薄いから心が痛いんだ



師走前から輝いている

ひっそりした住宅街でひときわ目立つ派手な電飾

クリスマスも終わったことだし

そろそろ消してくれないかな



僕は電飾に恨めしげな視線を送り

少しだけ目を伏せ、それから足を速め

暗がりの家路へ急いだ


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