ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

夜が明けたように

2025-02-25 12:51:44 | 
年を重ねるほど
くっきりしてくるものがある
夜が明けたように見えるのだ

人生は短いということ
遥か未来もとうの昔も
案外、近いのだ
80才、90才、100才
100年は長い
しかし100年の人生はどうなのだろう

悲劇は突然やってくるということ
前もってそれを教えてくれる者は
めったに現れず
もし顔をあわせても
あまりにも遠慮がちで
そして間もなく襲われる者は
その気配に鈍感だ

それにしても春への歩みは
まだゆっくりしているね
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錯覚

2025-02-18 15:52:00 | 
四畳半が宇宙だった頃
僕は夏に憧れていた
自転車がフェラーリだった頃
早く大人になりたかった
カブトムシがスーパースターだった頃
大きな家に住むことを夢みていた
黒い色した炭酸が魔法の飲み物だった頃
僕は恋という感情をおぼろげに知った

やがて四畳半が四畳半になり
自転車が自転車になり
カブトムシがグロテスクになった
そうして僕は気づいたのだ
錯覚という幸福に
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北風の雛へ

2025-02-13 12:29:20 | 
澄みわたる空は新しく
なのに地上は色褪せて
北風強く吹き荒れる
飛ばされながら歩く君よ
せめて心は青くあれ

世間の風が冷たいか
人は皆 自分がかわいいのだ
君も僕も同じだよ
体内に暖かさを取り込み
体外に冷たさを放出する
呼吸のようなもの

絶望することはない
北風の厳しさを知れば
小さな温もりに感謝できる
そこから優しさは生まれるんだ
飛ばされながら歩く君よ
せめて心は春であれ
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花束

2025-02-07 12:55:30 | 
お笑いのように生きるのか
マラソンのように生きるのか
結論は難しく
答えがあるのかすら
はっきりしない

確かなのは最後に死があることだけ
その時に満ち足りていれば
何を選ぼうが正解なのだろう

歓喜と悲劇のハイブリッド
愛情と憎悪のハイブリッド
戦火と贅沢三昧のハイブリッド

よく生まれてきたと誉めていい
よく生きてきたと誉めていい
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浅香唯「セシル」

2025-02-04 12:28:39 | 音楽
あなたの悲しみ変われるなら
私はこのままそばにいたい
踵を揃えた二人の影
こんなに背の高さ違うの


浅香唯11枚目のシングル。作詞 麻生圭子・作曲 NOBODY。1988年8月発売。オリコン最高位1位。

松田聖子、中森明菜、小泉今日子がアイドルとしての時期を過ぎた後、そのポジションを埋めたのが中山美穂らアイドル四天王でした。浅香唯もそのうちの一人です。
この曲が流行っていた頃、私は月並みな青春を過ごしていたのだと思います。しかし、やがてパニック障害(当時は原因不明)となり、地獄の日々が始まりました。虚しく残ったのは若さだけ。人生にリセットボタンがあれば、躊躇なく押していました。しかし、そんなものがないことも分かっていました。苦しみの中で遠くから小さく、この曲が聴こえていた記憶がうっすら残っています。
勿論、曲も良いのですが、麻生圭子さんの少し哲学的な歌詞も好きでした。
「人は大人になるたび弱くなるよね」「恋は楽しい時より悲しい時に、そっと始まった方が長く続くね」。こうした文章が象徴的です。

「セシル」発売の翌年には「ザ・ベストテン」が終了し、1970年代から続いたアイドル黄金期は終わりを告げました。
諸説あると思いますが「日本で最初のアイドルは南沙織」と聞いたことがあります。彼女の代表曲の「17才」の溌剌さが溢れている世界に比べると「セシル」は深みはありますが、切なさが滲み出ています。そうした意味では、アイドルの終焉にふさわしい名曲だったのかもしれません。


人は大人になるたび弱くなるよね
ふっと自信を失くして迷ってしまう
だから友達以上の愛を捜すの
今夜私がそれになれればいいのに
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