ヒトが言葉を獲得する前から
僕らはタイムマシーンに乗っている
但し、それは一方通行である
上りだか下りだか知らないが
未来や死に向かっているのは確かだ
過去に体ごと移動するものは
まだ発明されていない
音楽や景色が心のみをひととき
過去へ散歩に連れ出すことはあっても
子供の頃にその意識は薄いが
大人になり、年を重ねれば気付くだろう
思いもよらぬ時の進み具合に
春のタイムマシーン
夏のタイムマシーン
秋のタイムマシーン
冬のタイムマシーン
ぐいぐいと力強く前進していく
人は、いや生き物で有る限り
死ぬまで降りることは許されない厳格
僕らはそこから下車する時
どんな気持ちになるのだろう
夏服が咲く駅前通り
探すような早足の青年
立ち止まり、アスファルトに近づく老人
灼熱のタイムマシーンに流されながら