ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

浅香唯「セシル」

2025-02-04 12:28:39 | 音楽
あなたの悲しみ変われるなら
私はこのままそばにいたい
踵を揃えた二人の影
こんなに背の高さ違うの


浅香唯11枚目のシングル。作詞 麻生圭子・作曲 NOBODY。1988年8月発売。オリコン最高位1位。

松田聖子、中森明菜、小泉今日子がアイドルとしての時期を過ぎた後、そのポジションを埋めたのが中山美穂らアイドル四天王でした。浅香唯もそのうちの一人です。
この曲が流行っていた頃、私は月並みな青春を過ごしていたのだと思います。しかし、やがてパニック障害(当時は原因不明)となり、地獄の日々が始まりました。虚しく残ったのは若さだけ。人生にリセットボタンがあれば、躊躇なく押していました。しかし、そんなものがないことも分かっていました。苦しみの中で遠くから小さく、この曲が聴こえていた記憶がうっすら残っています。
勿論、曲も良いのですが、麻生圭子さんの少し哲学的な歌詞も好きでした。
「人は大人になるたび弱くなるよね」「恋は楽しい時より悲しい時に、そっと始まった方が長く続くね」。こうした文章が象徴的です。

「セシル」発売の翌年には「ザ・ベストテン」が終了し、1970年代から続いたアイドル黄金期は終わりを告げました。
諸説あると思いますが「日本で最初のアイドルは南沙織」と聞いたことがあります。彼女の代表曲の「17才」の溌剌さが溢れている世界に比べると「セシル」は深みはありますが、切なさが滲み出ています。そうした意味では、アイドルの終焉にふさわしい名曲だったのかもしれません。


人は大人になるたび弱くなるよね
ふっと自信を失くして迷ってしまう
だから友達以上の愛を捜すの
今夜私がそれになれればいいのに
コメント
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