白雲去来

蜷川正大の日々是口実

茫然と轟然と獄は春嵐

2017-04-21 13:34:36 | 日記
四月十九日(水)晴れ。

わざわざ出かけてまで食べたくはないが、いわゆる「駅そば」が好きだ。食べるのは暖かい「かき揚そば」。蕎麦好きなのだが、暖かいつゆ蕎麦は、高級な物でなくとも十分食べられる。今日のように大行社の会議に行く時は、保土ヶ谷か、品川か田町のどこかの駅で、昼食に蕎麦を食べるのが、ささやかな楽しみである。

三時から、大行社の幹部会議に出席。相談役として、挨拶をさせて頂いた。四時に終了。大学に行っている子供から連絡が入り、横浜駅にて待ち合わせた。二人で夕食の買い物を済ませて帰宅。

野村先生の『獄中日記』の、昭和四十二年の四月の日記には、「連日、三十年ぶりの寒さ。箱根は雪。獄舎は嵐なり」とある。先日の低気圧での春の嵐を思い出した。先生は、この時、二日で六つの句を作っている。句集『銀河蒼茫』に掲載されている句とされていない句がある。

茫然と轟然と獄は春嵐
怒るべからず春燈衣囚青く染む
たたかいの光る春の夜あらし吠ゆ
未来暗き国の灯獄に春暁す
自問自答の天は帰雁を赫く燃す
草笛はいつも母なる山河呼ぶ

先生はこの時、三十二歳。獄中四年目の春であった。

夜は、久しぶりに、先生の『獄中日記』を読みつつ、酔狂亭で月下独酌。

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