なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高血糖高浸透圧症候群

2016年06月29日 | Weblog

 昨日89歳男性が高血糖で受診した。脳梗塞後遺症・嚥下障害で胃瘻造設による経管栄養を受けている。娘さんが血糖測定していて、ずっと食前血糖は100~150mg/dlだったが、1週間前から300mg/dlが続いていたそうだ(そこで受診してほしかった)。そのまま経過をみていたら、当日の朝は500mg/dlになり、昼はHighと出て、病院を受診するようにという表示が出た。連絡が来たので、すぐに受診してもらった。血糖720mg/dlだった。

 長年一人暮らしで、経口薬は処方しても内服せず、やっと導入したインスリンもしているかどうか不明という経過で、HbA1cが10~15%で推移していた。娘さんが連れて来るので仕方なく受診するが、病気に関心がなかった。娘さん宅に引き取られて、インスリン注射を娘さんがするようになり、血糖は改善し始めた。し始めたところで、脳梗塞が発症した。嚥下訓練で誤嚥性肺炎をきたして、何度かチャレンジしたがSTに経口摂取は無理と判断された。高齢ではあるが、家族の希望もあり、胃瘻造設を行って経管栄養を開始した。

 前回は感染を伴う糖尿病壊疽で外科に入院した。外科では膝上からの切断を考えて、麻酔科医と相談していたが、娘さんが拒否した。悪化すれば命に係わると説明されたが、同意しなかった。幸いに病状は進行せず、入院継続した後にいったん退院となっていた。

 ケトン体は陰性で血液ガスでもアシドーシスはなかった。血漿浸透圧333mOsm/Lで高血糖高浸透圧症候群だった。痰がからんで、吸引しようとしたら、経管栄養食が引けた。血糖がHighと出た後も、経管栄養を注入してから受診していた。てっきり誤嚥性肺炎があるのかと思ったが、胸部X線・CTで明らかな肺炎はなかった。尿混濁もない。炎症反応の上昇は感染を伴う糖尿病壊死と今回出た褥瘡によるものと判断された。

 点滴とインスリン点滴静注で入院後の血糖は600、300と低下して、3号輸液+インスリン混合に変更した。今朝は血糖180mg/dlと改善していた。今週は経管栄養は休止して、来週の状態をみて再開することにした。前回から診ている血管外科医が診察したが、壊疽は案外広がっていないということだった。抗菌薬も投与する。娘さんは思い込みが激しい傾向があり、泣いたり笑ったり忙しい人だ。

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