なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高橋雅士先生の講演~HRCTの読影

2016年06月16日 | Weblog

 昨日は呼吸器セミナーという集まりに出た。出席したのは、高名な放射線科医の高橋雅士先生の講演があったから。30分ちょっとと短い時間だったが、HRCTの解剖と読影の基本を話された。講演の最後に自著の宣伝をされたが、そのうち3冊は持っていて、もう2冊は購入検討中。

 その後、3病院の研修医が指導医と一緒に症例を発表した。症例は、マイコプラズマ肺炎、粟粒結核、IgG4関連肺疾患の3症例。

 マイコプラズマ肺炎の症例は、10代の患者さん・白血球数正常・身体所見に乏しいという臨床的な特徴があり、気管支壁肥厚と小葉中心性の粒状影・スリガラス陰影から浸潤影まであった。マイコプラズマは気道親和性(繊毛上皮細胞に付着)があり、気管支壁肥厚が比較的中枢側まで目立つのが特徴だという。また若年者では広範な浸潤影をきたすのが特徴だそうだ。

 粟粒結核の症例は、陳旧性胸膜炎の既往があり、数か月の経過で体重減少とるいそうがある。胸部CTで両側肺にびまん性に粒状影がランダムに分布していた(小葉中心性ではない)。3回の喀痰検査で結核菌PCR陽性。

 最後のIgG4関連肺疾患はまったくわからなかったが、高橋先生はあっさり診断して、発表した先生方が気づいていないIgG4関連腎臓病(多発性造影不良域)も指摘された。縦隔リンパ節が腫脹して、胸膜と葉間胸膜に結節が多発していた。間質性陰影の多発もあった。その病院では入院時から血清IgG4の上昇を確認していたので、最初から鑑別に挙げていたようだ。TBLBでIgG4陽性形質細胞が少し確認できたが、さらにVATSで確診していた。自己免疫性膵炎はなかった。

 HRCTの診かたを実演されたが、胸部X線も確認しながら、まず冠状断で肺全体をスクロールして全体像を見るそうだ。それから細かく診ていくという。著者の講演を聴くと、顔が思い浮かぶので本が読みやすくなっていい。

 当地域の基幹病院呼吸器科から、70歳代後半男性の転院依頼の連絡が来た。誤嚥性肺炎は治癒したが、食事摂取が進まずに退院のめどがつかないそうだ。当院内科の呼吸器疾患は9割以上が誤嚥性肺炎。

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